
<センバツ高校野球:聖光学院7-4早実>◇25日◇2回戦
早実(東京)が16年ぶりの春8強入りを逃した。
エースで主将の中村心大投手(3年)は「(聖光学院打線は)1番から9番まで粘り強い。手ごわかった」と脱帽した。
先発し3点リードで迎えた4回。「何とか粘り強く投げようと思ったんですが、2巡目に入り、自分の武器である真っすぐが捉えられた」。ベース寄りのラインギリギリに立ち、踏み込んでくる聖光学院打線に制球を乱し、ゾーンで勝負できず苦手な変化球に頼ってしまった。「ベースの半分でしか勝負できなかった」と3失点。5回でマウンドを降り、右翼の守備に代わった。
外野から見る甲子園のマウンド。投手陣が必死につなぐマウンドを、見つめた。「自分が4回のイニングで、試合を壊してしまった…このままじゃ終わりたくない」。悔しさが沸々と湧き上がた。
エースの思いが、指揮官に届いた。和泉実監督(63)は「中村は悔しくてしょうがないと思ったので。負けるにしても最後にセンバツのマウンドにお別れする。思い切って腕を振らせてあげたいと思った」と、4-7で迎えた9回から再びマウンドへ。2死二塁から中村は「悔いのないボールを投げよう」と、最後の打者を6球すべて真っすぐで勝負し、空振り三振で締めた。「センバツに別れを告げてきたんじゃないですか。今度は、新しい中村が夏に戻ってこられるように。彼は絶対努力するでしょう」と和泉監督。敗戦にも頼もしいエースの姿に期待した。
エースで主将。力強くチームをけん引した春。「これが自分の実力。背番号1を外してもいいと思ってるぐらい、自分の実力が足りなかった」と、敗戦の責任を背負いながらも「ここで終わりじゃない」と、前を向く。「もう1度、一から練習して、圧倒的な力でバッターを支配できる投球を身につけて、夏ここに帰ってきたい」。センバツのマウンドに別れを告げ、夏の甲子園を目指す。【保坂淑子】