
<敗戦を越えて:滋賀学園・長崎蓮汰投手(3年)>
<センバツ高校野球:浦和実3-0滋賀学園>◇22日◇1回戦
長崎は背番号「13」をつけベンチから見つめるだけだった憧れのマウンドに、今度は「1」をつけて初めて立った。自己最速に並ぶ142キロの直球を軸に4回まで無失点。ただ、5回に浦和実に傾いた流れを止められず、7回途中3失点で降板した。「悔しい気持ちしかないです」。無念の聖地デビュー戦となった。
ライバルの存在が成長への糧となった。昨夏は同学年の土田悠貴投手が背番号11を背負い、2年生ながら準々決勝の青森山田戦に先発。6回1失点と好投した姿を目の当たりにした。「ライバルの土田が目の前で活躍しているのを見ると、チームが勝つうれしさと同じくらい悔しさがありました」。同校初の夏8強入りに貢献できなかった現実にモヤモヤしていた。
2年春に背番号1をつけていた時期もあったが、成績が振るわず夏は2桁台となった。新チームとなり、ウエートトレや食トレに精を出し、直球の質が向上。期待も込められ、昨秋の滋賀県大会から再び1を背負った。近畿大会初戦の大阪桐蔭戦で2失点完投と躍動し、結果で応えた。センバツでもエースとして初戦を託されたが「ここ一番で詰めの甘さが出た」と唇をかみしめた。
この日は昨秋に苦戦した土田が7回1死から2番手で登板し、2回2/3を無安打無失点に封じた。「秋は土田がうまくいかなくて、春は自分がうまくいかなかった。夏は絶対2人ともいい状態で夏の甲子園に戻ってきたいです」。最後の夏へ、ライバルとの切磋琢磨(せっさたくま)は続く。【古財稜明】