
<センバツ高校野球:浦和実3-0滋賀学園>◇22日◇1回戦
昨夏の甲子園8強の滋賀学園が浦和実(埼玉)に完封負けし、初戦で姿を消した。変則左腕の相手エース、石戸颯汰(3年)を打ちあぐね、フライアウトが実に16個。山口達也監督(53)は「序盤にしっかりとらえたかった。タイミングが立ち遅れ、という感じがしました。フライアウトが16ですか? ちょっとそれではなかなか…」と困惑の表情を浮かべた。春3度目の出場で初戦敗退は初めてだ。
石戸を攻略する好機はあった。4回、先頭の川畑鯉太郎外野手(3年)がチーム初安打で出塁。続く秋満大知内野手(3年)はきっちり犠打を決め、1死二塁と先制機をつくった。だが、そこから連続フライアウトでチャンスを逃した。7回1死二、三塁からは2者連続空振り三振。8回2死一、三塁の好機も生かせず、甲子園では春夏4度目の完封負けを喫した。
「変則フォームに対していかにタイミングを合わせていくか、ということだけなんですけどね。なかなかあのフォームはまねもできませんし、左投手を打ってきましたけど、なかなかうまくいかなかったですね」。山口監督は事前の対策が実らなかった無念を明かした後、「(球の)出どころが見にくいのと、ちょっと上を向いてくるんで、どうしても(打者も)上がってしまう」と脱帽した。
それでも下を向いてはいられない。「今後、こういうピッチャーは夏に向けて出てくると思いますし、緩いボールもあると思うので。しっかりとらえる部分では精度を上げていかなければいけないと思います。これを糧に夏に向けてやっていきます」と繰り返した。
攻守のバランスの良さを誇った前チームは、ベンチ外メンバーによるアルプススタンドでの「キレキレダンス」にも支えられ、8強入りの快進撃。そのあと、現チームはスタートを切った。秋に向けて短期間で仕上げ、県大会を制した。秋季近畿大会1回戦では大阪桐蔭に競り勝ち、学校初の夏春連続甲子園出場を勝ち取った。
山口監督は「時間のない中ですごく頑張ったチーム。それだけに(センバツで)1つ勝てば、ぐっと成長できたと思います」とくちびるをかんだ。難敵に苦しんだ経験を夏への糧にする。