
<オープン戦:オリックス1-1阪神>◇21日◇京セラドーム大阪
な~んも心配いりまへん! 阪神村上頌樹投手(26)は自身初の開幕投手に向け、最終調整の場となったオリックス戦とのオープン戦を6回途中4安打1失点にまとめた。4回に今春の実戦5試合目で初失点を喫したが、キャンプから計17回2/3を1失点と抜群の安定感を継続。新球スライダーでピンチを切り抜ける場面もあり、3・28開幕広島戦(マツダスタジアム)へ上々の総仕上げを飾った。
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村上はほぼ全球種を生かして新球で締めた。6回無死一、二塁で打席には西川。直球を3球続けた後、カウント1-2から外角に新球スライダーを投じた。合わせただけのゴロは遊撃手の正面へ。併殺に打ち取りると口元が少し緩み、リラックスした表情でマウンドを下りた。
「いいところに投げられた。配球の中で入れられたので良かった」
見逃しでストライクを奪うなど、カウント球としてもスライダーを有効活用。開幕前最後の登板で新球種をさらに上のレベルに引き上げた。
手応えを感じたのは同球種だけではない。1週間後の3月28日に迫った開幕戦を見据え「全球種を確認しながら投げられた」。カーブ、73キロも計測したスローカーブ、フォーク、カットボール。「全部いいところに投げられたし、悪いところもあった。1週間しっかり練習できたら」。課題も自信も得て、また気を引き締め直すところが、主戦格としての責任感だ。
レギュラーシーズンさながら、ギアを上げる場面もあった。「最少失点に、という意味で。いいところ、いいところと意識して投げた」。3回1死三塁で打席には福田。初球は外角低めへの148キロ直球で見逃し。変化球だけでなく直球のキレも見せつけ、最後はカットボールで空振り三振を奪った。捕手坂本の好送球で飛び出した三塁走者もタッチアウト。あっさりピンチを切り抜けた。
4回2死二塁から5番オリバレスに左翼線へ先制適時二塁打を浴びたが、直後に6番宗を捕邪飛。「失点後もしっかり投げきれた。落ち着いて投げられたので良かった」と切り替えにも納得顔。今春の実戦初失点を喫したものの、これで計5試合で17回2/3を1失点、驚異の防御率0・51で準備を整えた。
大役を任命した藤川監督は「準備はできたんじゃないですかね。さあどんなシーズンにしてくれるんだろうと、すごく期待をしています」と胸を躍らせた。ペナントレースで最高のスタートダッシュを切りたい阪神。MVPに輝く活躍で23年Vに導いた右腕から、王座奪回を目指す逆襲ロードを走り出す。【塚本光】