
<カブス1-4ドジャース>◇18日◇東京ドーム
ドジャース山本由伸投手(26)が、凱旋(がいせん)登板で5回3安打1失点と好投した。
カブスとの開幕戦(東京ドーム)に先発し、今永とともにメジャー史上初の日本人開幕投手対決が実現。2回にアマヤの適時二塁打で先制を許したが、3回以降は無失点。打線は今永に4回まで無得点に抑えられたが、5回に大谷の今季初安打を絡めた攻撃で逆転に成功。山本が日本人選手で4人目となる開幕戦での白星を手にした。
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6回表のドジャースの攻撃中だった。5回1失点で降板が決まった山本は、ベンチで大谷からハイタッチを求められ、右肩をモミモミされながら「良かったね」とねぎらわれた。エースのカーショー、グラスノーら次々にチームメートから声をかけられる。ベンチが山本の好投をたたえるムードに包まれた。
「東京で開幕するということで特別な気持ちだったので、もう本当に最高の気持ちです」
魂の72球だった。打線が3点を奪って逆転した直後の5回。2球で2死を奪って、ハップを155キロの速球で空振り三振にねじ伏せた瞬間、迫力満点の雄たけびを上げた。「とにかく気持ちのこもったピッチングができたので、最後まで全力を出し切れて良かった」。時折、山本の気合の入った声がスタンドに響いた。
2年目の進化を数字で証明した。この日、最速98・1マイル(約158キロ)を計測した速球の平均球速は、昨季から1・3マイル(約2キロ)アップ。「今日はすごく良く、配球の中でも多くなった」と評したスプリットの平均球速は2・2マイル(約3・5キロ)もアップし、パワー自慢のメジャーの打者をスピードで圧倒した。
アクシデントにも動じなかった。1回。山本の1球目をファンも息をのんで見守る中、ピッチコムの調子が悪く、15秒以内に投球できず。ピッチクロック・バイオレーションでボールが宣告された。「少しビックリしたんですけど、切り替えて次の打者に向かえた」。先頭打者に四球を与えたが、冷静に後続を抑えた。
今永とのメジャー史上初の日本人開幕投手対決に注目が集まる中、鈴木との対戦にも“勝利”した。1打席目はバットを粉砕する平凡な遊直。2打席目も三ゴロに詰まらせ、2打数無安打に封じた。日本での開幕戦で大きな重圧がかかる中、日本人選手では4人目の開幕戦での白星を最年少で達成した。【久保賢吾】