
【グレンデール(米アリゾナ州)4日(日本時間5日)=四竈衛】ドジャース佐々木朗希投手(23)がオープン戦初登板となるレッズ戦で、3回2安打無失点5奪三振と鮮やかなデビューを飾った。最速99・3マイル(約159・9キロ)をマーク。5奪三振中、4三振をスプリットで奪うなど、本来のスタイルでレ軍打線を圧倒した。次回登板は、同地での最終戦となる11日(同12日)のガーディアンズ戦に決定。日本での開幕シリーズ登板へ前進した。
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スタンドのどよめきが、インパクトの強さを表していた。背番号「11」の佐々木が、初めてのオープン戦で投じた第1球。右中間の電光ボードに「99」が映し出されると、直前まで息をのんで見つめていた場内に、驚きの声が響いた。「すごくわくわくした気持ちと不安がどっちもあった。マウンドに立ってから、集中して雰囲気をかみしめながら投げることができました」。予定の3イニングを46球でまとめた佐々木は、ホッとした表情で初登板までの心の動きを振り返った。
佐々木は先発山本の後を受け、5回から2番手で登場。慣れない救援に加え、4回終了まで約1時間あまりと、慌ただしくデビューを迎えた。「ちょっと落ち着かなかったですけど、何とかしっかり準備して入ることができました」。登板直後の5回は安打と死球で走者を背負ったが、上位打線をいずれもスプリットで見逃し三振。昨年来、実戦から遠ざかっていても、投手としての本能は眠っていなかった。
こだわり続ける球速も、納得の水準に達していた。時速99マイル(約159キロ)超は5球。前回のライブBPと比較しても、「平均(球速)は明らかに良かった」と自ら合格点を出すほど、指先に残る感触は上々だった。「自分の良さはしばらくは変わることはないと思うので、それを大事にしながら反復して、どうにかしていくしかない」。速球とスプリットで、屈強なメジャーの猛者をどこまでねじ伏せられるか。自らの意思を再認識するかのような米国初マウンドだった。
公式戦では実現する可能性が低い、大谷、山本との「競演」も実現した。ところが、佐々木がクラブハウスへ戻ったのは、2人の先輩の帰宅後。「僕の登板の後には誰もいなかったので。寂しかったですけど…」と、本音? をのぞかせ周囲を笑わせた。
現時点で、有力視される日本での登板は正式に発表されていない。佐々木自身「特別なこと」と言う、日本でのMLBデビューへ。首脳陣に「Goサイン」を促すのに十分な、お披露目登板だった。
▽レッズ・フリードル(スプリットで見逃し三振)「スプリッターは僕の視点から見ると2種類の異なる変化をしていた。最初は、速くて縦に沈みながら内側に食い込む感じ。次はもっと典型的で消えるような軌跡。最後は、最初のようにフォーク気味で内に戻ってきた。かなり良いボールを持ってるね」
▽レッズ・ウィンズ(直球を初安打となる右前打)「クールな瞬間だったけど、まだ春季キャンプだからね。そりゃ安打は打たれるよ。彼はちょっと興奮していたように見えた。初ヒットは、しっかり記録に残しておくよ」