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【グレンデール(米アリゾナ州)19日(日本時間20日)=四竈衛】メジャー1年目のドジャース佐々木朗希投手(23)が、今キャンプで初めて打者相手の実戦打撃「ライブBP」に登板した。2回、27球を投げ、1安打1四球2奪三振と上々の内容だった。大物ルーキーの初登板には、大谷翔平投手(30)、山本由伸投手(26)、ムーキー・ベッツ内野手(32)ら約50人が「観戦」に駆けつけるほど注目度抜群の初登板だった。
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数人のスタッフが準備を始めると、ネット裏に続々と選手が集まり始めた。打席に立つ予定のなかったベッツ、フリーマンら主力野手陣だけでなく、山本ら投手陣もズラリ。最後は、完全休養日の大谷までもクラブハウスから姿を見せて、グラウンドへ足を踏み入れた。もちろん、お目当ては佐々木だった。ベッツは笑みを浮かべながら言った。「何が起こるのか、みんな彼を見たがっていたんだ」。MLBでプロスペクト(若手有望株)最上位の「デビュー登板」は、この日の最大イベントだった。
スーパースター達から熱視線を浴びても、怪物ルーキーはケロリとしていた。「思ったより(ネットの)後ろの選手が多かったので、ちょっとはビックリはしましたけど、緊張はしなかったです」。その言葉通り、先頭ボティを見逃し三振に仕留め、好スタートを切った。3人目のエドマンに中前へ運ばれたものの、安打性はその1本だけ。インターバルを挟み、通算169本塁打のロサリオからスプリットで空振り三振を奪うなど、随所で大器の片りんをのぞかせた。
終了後は、詰めかけたファンから拍手も起こった。ド軍関係者によると、直球の球速は95マイル(約153キロ)前後。「今まで踏んできたブルペンの感覚よりも、想像していたよりはいい状態で投げられたかなと思います」。この日は「ピッチクロック」が作動し、捕手スミスとの間では電子機器「ピッチコム」でサイン交換を行った。「ライブBPと試合はまた別だと思う。初めて経験することだったので、ちょっと焦ったりしたんですけど、それも慣れだと思う」と不安視していない。
今後は、再度のブルペン投球を経てオープン戦へ移行する見込みだ。日本での開幕シリーズで山本に続き、第2戦での先発が濃厚。本番まで実戦登板の機会が限られるものの、仕上がりへの自信ものぞかせた。「回数というより、どれだけ自分のパフォーマンスを出せるかが大事。集中していかないといけないと思います」。堂々としたプレートさばきだけでなく、先を見据える冷静な姿勢も、新人の領域ではなかった。
▽スミス捕手(ライブBPで佐々木のボールを受け)「みんなが期待している球を捕るのは楽しかった。(スプリットは)かなり動くし、訳の分からない感じの球。何がやってくるのか予想できないよ」
▽ボティ(佐々木と対戦して見逃し三振、遊ゴロ、右飛)「(注目された対戦に)こんな打撃練習はしたことがなかったよ(笑い)。なかなかクールだったね。良かったのは、みんなでサポートしようとしていること」
▽エドマン(佐々木と対戦して中前打と四球)「(スプリットは)いろいろな動き方をしていた。彼にとって大事な球種になるだろう。特に高めの球はキレていたし、いい速球だった。彼の後ろで守るわけで、エキサイティングな1年になるだろう」
▽ロサリオ(佐々木と対戦して二ゴロと空振り三振)「スプリットを見たかった。2種類の動きがあった。1つは外角へ、1つは内角へ動いていた。彼を打つのは難しい」