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今年もこのライバル2人がシーズンを通してMLBの話題を盛り上げていくのだろう。
ドジャース大谷翔平投手(30)とヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(32)のことだ。今は所属するリーグが違うが昨年ワールドシリーズで対戦した際には「トップスター同士の激突」と大きな注目を集めた。シーズン中には「オオタニとジャッジ、どちらがより優れたシーズンを送っているか」と2人を比較する論争も米メディアで何度となく起こっていた。
今季もキャンプが始まったばかりだというのに、早くも「大谷ジャッジ論争」が勃発している。米専門テレビ局MLBネットワークが毎年恒例で選んでいる「現在のトップ100選手」のランキングで大谷が1位、ジャッジが2位に格付けされたためだ。
ヤンキースの名物実況アナウンサーとして知られるマイケル・ケイ氏は米専門局ESPNラジオの自身の冠番組でこのランキングを猛烈に批判していた。「どの惑星に行ったらオオタニがジャッジより優れているなんて言えるんだ? オオタニが今季、圧倒的な投手として復活するとでも見込んでるのか?」と語気を強め「盗塁だけは優れているが、他の打撃成績はどれもジャッジが優れている。WARは一番重要視されている指標だけど、それもジャッジが上」と憤慨。「MLB関係者全員が、オオタニの能力に圧倒されていると思うし、そうあるべき。彼は史上最高の選手の1人だし、ジャッジもそうだ。拮抗(きっこう)する2人の選手がいるときに、差をつけるとしたら数字を見るべきでしょう。数字ならジャッジがはるかに上だよ」と主張した。
ニューヨークのスポーツラジオではこれをきっかけに「大谷ジャッジ論争」に火が付いたようで、WFANのトーク番組でも、パーソナリティーのクリス・マクモニングル氏が「オオタニが投手をやらないシーズンなら、ジャッジの方がベストだ」と主張しトークを展開していた。
こうして大谷とジャッジの周辺は騒がしいが、今季はそれぞれが気合を入れて臨むシーズンだ。大谷はもちろんマウンドへ戻り二刀流復活という大きな仕事が待っている。
一方のジャッジは、昨年のワールドシリーズ第5戦でイージーフライを落球し、それが大量失点につながり敗戦という苦い経験をした。昨季は主に中堅を守りレギュラーシーズンの守備指標も悪化していたが、今季は本来の右翼に戻り守備の信頼を取り戻し、再び頂点を目指す。
そんな2人にとって周囲の騒ぎは、ほとんど気にもならない単なる雑音に過ぎないのかもしれないが「大谷ジャッジ論争」はこれからも絶え間なく続いていきそうだ。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「水次祥子のMLBなう」)