新戦力が殴り込みだ。巨人にFA移籍した甲斐拓也捕手(32)の人的補償でソフトバンクに加入した伊藤優輔投手(28)が21日、みずほペイペイドーム内で入団会見に臨んだ。先発起用が決まっている右腕は、開幕1軍ローテ入りとシーズン100イニングを照準に定め、し烈な先発争いを勝ち抜く覚悟。パ・リーグの強打者たちには真っ向勝負を宣言した。
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伊藤が新天地に足を踏み入れた。黄色のホークスカラーのネクタイは「自分で買おうと思ったんですけど、(巨人の)高梨さんからいただいたので」。古巣からエールを受けてホークス入り。都内の実家は保育園などに供給するパン屋。伊藤は縁のなかった九州、福岡はほぼ初上陸だ。「まずは僕のことを知ってもらうのが一番。キャンプでしっかり投げて僕の強みを見てもらえたら」と意気込んだ。
巨人にFA移籍した甲斐の人的補償で入団した。すでに先発起用が決まっており、巨人では杉内俊哉投手チーフコーチ、内海哲也投手コーチからアドバイスを受けてきた。例年以上に投げ込みやランニング量を増やし「とにかく体力面。キャンプで不安なく入れるように」。今オフはジャイアンツ球場で単独で自主トレを行っていたという。
25年の先発ローテーション争いは一層の激しさを増す。有原、モイネロ、スチュワートが内定済みで、残る3~4枠を10人以上が争う構図だ。「開幕で1軍に残っていることが大事。それが先発ローテなら、なおいい。キャンプで活躍してアピールして開幕1軍の座をつかむ」。ベテラン東浜や同じ新戦力の上沢、上茶谷、浜口らに負けるつもりはない。昨季1軍デビューした遅咲きの右腕は「先発だったら100イニング以上」と目標を掲げた。
最速156キロの直球と鋭いカットボールが持ち味。「スイングが強くてスケールの大きいバッターが多い」というパの打者に対しては「真っ向から挑んでいきたい」と強気に立ち向かう。21年11月に右ひじのトミー・ジョン手術を行ったが「去年1年間で全く体に不安なく投げられた。不安はない」と完全復活を宣言した。母校の小山台で「都立の星」として名をはせた右腕が、福岡で満開の花を咲かせる。【只松憲】
◆伊藤優輔(いとう・ゆうすけ)1997年(平9)1月14日生まれ、東京都出身。都立高の小山台ではエース兼主将として14年春の甲子園に21世紀枠で出場。中大ではリーグ通算8勝。社会人の三菱パワーを経て20年ドラフト4位で巨人入団。1年目の21年11月に右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(トミー・ジョン手術)を受け育成契約に。24年7月24日に支配下登録され、同30日阪神戦で1軍デビュー。1軍通算8試合、0勝0敗1ホールド、防御率1・04。178センチ、82キロ。右投げ右打ち。