サッカー日本代表は2025年3月、史上最速で26年W杯北中米大会の出場を決める。来年6月の本大会に向けて、着実に歩みを進める森保一監督(56)が新春インタビューに応じた。今年は過去最長の準備期間を有効活用し「W杯優勝」へ近づくための1年。テーマを「進化」と位置付けた。【取材・構成=佐藤成】
「歴代最強」をアップデートする。MFの三笘薫(27=ブライトン)や久保建英(23=Rソシエダード)ら前線のタレントに加え、DFにも冨安健洋(26=アーセナル)や伊藤洋輝(25=Bミュンヘン)ら世界クラスがそろう。昨年は、W杯アジア最終予選で5勝1分け。3月20日に埼玉スタジアムでバーレーンを下せば、日本の8大会連続W杯出場が史上最速で決まる。
森保監督 まずはW杯の出場権を自分たちでつかみ取れるよう(25年の初戦となる)バーレーン戦に向けた戦いに挑みたい。これまで通り1戦1戦、進化、成長、さらに前進していけるようにしていきたい。
昨年は、年明け早々、痛い目を見た。優勝の大本命だったアジア杯カタール大会で準々決勝敗退の憂き目に遭う。教訓も糧に、以降負けなし。強さが際立つ。
森保監督 痛みも「ポジティブ変換」して、チームの力として来られている。
次のW杯で、臆することなく「優勝」を掲げる。コーチ、監督として2度の出場経験がある指揮官には、そのために必要だと強く実感したことがあるという。
森保監督 競技団体、競技力だけで勝てる場ではない、ということは、すごく感じました。国の関心事として、スタジアムで応援してくれる方も、日本全国、世界各国にいる日本人の皆さんや、日本代表サポーターの皆さんから“気”を送ってもらう。パワーがなければ勝てないということをすごく感じました。
世界的漫画「ドラゴンボール」の「元気玉」のごとく、皆の力を結集し、サッカー大国へ挑むイメージ。だからこそ、日々「共闘」を呼びかける。ピッチ内外で世界一の取り組みをしなければ到達できない頂だ。
森保監督 (チームづくりの段階は)50~60%じゃないですか。ここからアジア予選が終わって9月から親善試合ができるようになって、また見えてくるものはあるのかなと思います。
新年のテーマは「進化」と定めた。W杯本戦までの準備期間が長くなるだけ、取り組める強化選択肢に恵まれる。9月以降、強豪国とガチンコ勝負を重ねてタフさを身につける。その過程で戦力の底上げを図る。
森保監督 FIFAランキングで我々(15位)より上のチームと戦いたい。勝つか負けるか分からない、より拮抗(きっこう)した試合をしたい。できるだけ多くの選手を見た中で最終的に、W杯に向けて最強のチーム、最高のチームを作っていきたいと思います。
○…A代表は、まずW杯アジア最終予選の残り4試合に注力する。突破に王手をかけて3月のホーム2連戦のバーレーン、サウジアラビア戦を迎える。6月の敵地オーストラリア戦は、同国連盟によると、なじみの薄い西部の都市パースに決まった。7月には東アジアE-1選手権が韓国で。海外組はオフ期間だが、慣例では国内組の代表が結成されW杯への新星が輝くか注目される。9~11月の国際Aマッチデーで強化を加速したい森保監督は強豪との腕試しを要望しており、海外遠征が見込まれている。