<全国高校サッカー選手権:高川学園2-1青森山田>◇31日◇2回戦◇NACK
高川学園(山口)は「トルメンタ」をさく裂させ、前回王者の青森山田に競り勝った。
0-0の後半7分、右CKでこの試合初の奇策を発動。4選手が輪になって手をつなぎながら反時計回りに回転後、四方八方に散らばる。キッカーはゴール前に走り込んだ味方にボールを届けるそぶりを見せながら、輪から抜けた1選手にショートパス。パスを受けた選手の左足シュートは左ポストをたたいたが、跳ね返りをつないで最後はFW大森風牙(2年)が押し込んだ。
先制点を挙げた大森は「今年のチームは上背がない分、ショートコーナーは準備している。最後は自分の(得点への)嗅覚が出たと思う」と、してやったりの笑顔。同33分には再び大森がPKで加点し、リードを広げた。2得点の2年生エースは「PKはキック前の(江本孝)監督からの助言でリラックスできた。良かった」と振り返った。
相手のマークを混乱させる独自セットプレーの「トルメンタ」。3大会前の準決勝では青森山田にセットプレーのチャンスをもらえず、0-6で大敗していた。江本監督は「当時からセットプレーの内容やタイミングなどは選手たちに任せている」とし、「先輩たちの分も今日もどこかでトルメンタをして欲しいと言っていた。まさか、その流れで点が入るとは思わなかった」とビックリしていた。
最終盤に1点を返されたが、球際、こぼれ球の反応で青森山田を上回り、奇策で仕留めた。指揮官は「3年前の準決勝で走れないと勝てないことを思い知った。選手は『何でこんなに走らないといけないんだ』と思っているかも知れないが、そこが結果につながった」とうなずいた。
3回戦は静岡学園(静学)と対戦する。江本監督は「自分が選手時代に静学と対戦している。苦手とは思わない。さらにチャレンジャー精神をもち、みんなでいい準備をする」。3大会前を上回るトルメンタ旋風を巻き起こす。【小林忠】