starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

【阪神】難病から復活目指す湯浅京己「楽しみながら」続ける「ボルダリングトレ」多方面で効果期待


阪神タイガースの湯浅京己投手(25)は、「胸椎黄色靱帯骨化症」という国指定難病の手術を受けた後、リハビリの一環としてボルダリングに取り組んでいる。兵庫県西宮市内のジム「OLD BUT GOLD」に通い、神経伝達の改善や筋力アップを目指している。ボルダリングは、彼の神経伝達系を刺激し、全身運動として効果を発揮している。その結果、神経症状の改善が見られ、リハビリ中にもかかわらずブルペン投球を再開するまでに回復した。周囲に経験者が少ない難病への対処として、異競技の挑戦が彼にとって重要な転機となっている。過去に腰椎分離症など幾度もの挫折を経験した湯浅選手は、今回のチャレンジを通じて、さらにたくましい投手へと成長することを目指している。

ボルダリングトレーニングを行う阪神湯浅(撮影・前岡正明)

力強く、這い上がる-。阪神湯浅京己投手(25)が独自で続けている「ボルダリングトレーニング」に潜入した。

兵庫・西宮市内のジム「OLD BUT GOLD」に今年9月から通っている。国指定の難病である「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」の手術後、リハビリも兼ねて継続。神経伝達の改善や筋力アップ、気分転換など多方面で効果は抜群だ。実際の練習を見学&体験し、取り組みへの思いを聞いた。【取材・構成=波部俊之介】

   ◇   ◇   ◇

湯浅の1歩1歩は丁寧かつ、力強かった。登る壁は決して平らではない。地面とほぼ平行に伸びたものや、大きく突き出た部分もある。「ホールド」と呼ばれるブロックも形状や大きさから、さまざまだ。時に数本の指で全身を支えながら、ゴールを目指してクライミング。落下しても笑顔を絶やさず、再び立ち上がって挑戦に向かった。

「足に神経症状が出ていたからこそというか。手術して神経症状がなくなって、もっと感覚が良くなるように。元に戻すのではなく、もっと感覚が良くなるように何ができるか考えて」

今年8月下旬に「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」の手術を受けて退院。消えていた右足の感覚や、ピリピリと感じていた肋間(ろっかん)神経痛のような違和感に良化が見られた。リハビリ期間は体にあらゆる刺激を加える「神経伝達系」を意識した練習に着手。脳から筋肉へ伝わる神経伝達を促進させることで、あらゆる動きの精度を高められるというものだ。

時にサッカーボールを使ったリフティング、時に左投げでのキャッチボール。工夫を凝らし、さまざまな体の動きを練習に組み入れた。全身を使うボルダリングも、その1つとして取り組んできた練習だった。

「まずはリハビリとして全身運動。前腕とか指の力とかを使って、プラスなことしかない。下半身の動きとか、股関節も柔らかく使わないといけない。神経伝達もだし、いろんな意味がある。野球につなげる意味でも、いいリハビリがないかなと思っていた。できることは限られていたので」

退院して間もない9月ごろ、SNSを通じて直接ジムに連絡。およそ週1回のペースで通い、常に楽しみながら練習を続けてきた。鳴尾浜などを中心に行う普段のリハビリは、自身の体と向き合い続ける孤独な日々。周囲に経験者の少ない難病であれば、なおさらだろう。異競技の出稽古は、気分転換としての意味合いも大きかった。

「楽しみながら鍛えられる。ずっと鳴尾浜とかで同じ空間にいると、しんどくなる時もあるじゃないですか。最初はリハビリだったから、気分転換を兼ねてとかもあった。それを継続して、今もやっています」

オーナーの石塚力さん(41)から時折アドバイスを受けながら、楽しんで練習。自宅では上級者の動画などを見て参考にするほどハマっている。「うまい人の動画を見たら、動物みたいな、虫みたいな動きをするんです」と笑顔だ。この日は通常であれば週3日通いで約4カ月はかかるとされる、中級者向けの中でも難しいコースに挑戦。ジムに通ったのは半分ほどの日数ながら、登り切ることに成功した。石塚さんも「相当すごいです」と驚きを隠さない。

これまでも3度の腰椎分離症を乗り越えるなど、度重なるリハビリから何度もはい上がってきた。今立ち向かう壁も、間違いなく大きく難しい。それでも、すでにブルペン投球を再開するなど順調に段階を進めてきた。食らいつき、登り続ける-。乗り越えた先には、何倍もたくましくなった姿が待っている。

湯浅の苦闘

◆聖光学院 腰痛で2年秋までマネジャー

◆骨折 プロ1年目に腰椎を疲労骨折。翌20年も公式戦登板できず。

◆悪夢 23年はWBCから帰国後、守護神として開幕。プロ初セーブなど好調だったが4月に疲労のため再調整。5月に復帰後は調子が上がらず、6月15日を最後に戦線離脱した。

◆叱責(しっせき) 今年2月の紅白戦で3連打を浴び岡田監督に「後ろ(の投手)は喜怒哀楽を出したらあかん」と厳しく責められる。その後、2軍キャンプ合流。

◆体調不良 3月から4月の約1カ月、微熱に悩まされ、右足に力が入らない症状も。2軍では25試合で防御率7・48と不調を極めた。

◆難病 「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」を患い、8月に胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化切除術を受けた。

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2025
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.