<データで見る2024ペナント・巨人(セ1位77勝59敗7分)>
プロ野球の快記録や珍しい記録からシーズンを振り返る連載「データで見る24年」。全13回で、プロ野球を球団別に12回、最終回は日本人大リーガーを記録から分析します。第12回は巨人。
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戸郷翔征が156三振で奪三振王に輝いた。最多奪三振は2年ぶり2度目だが、戸郷はまだ24歳。奪三振王を2度以上獲得した投手は40人目になるが、24歳シーズンまでに2度は史上14人目。過去の13人はそうそうたる顔触れが並び、巨人では37年春、秋の沢村、38年秋、39年のスタルヒンの2人以来の記録だ。巨人で奪三振王3度は、年齢にかかわらず81~83年の江川だけ。来季は連続タイトルで球団記録にも挑戦したい。
防御率も1・95で、自身初の1点台。今季は22歳の高橋宏(中日)も1点台だったが、巨人で24歳シーズンに防御率1点台は89年斎藤(1・62)以来35年ぶり。また、奪三振王で防御率1点台は昨季の山本(オリックス)以来で、セ・リーグでは8人、12度目。12度のうち10度が70年以前の投手で、最近50年では20年大野雄(中日)と戸郷だけだ。巨人では1リーグ時代に4人、7度達成しているが、2リーグ制後では初めて。48年に記録した中尾(1・84、187三振)以来、球団では76年ぶりの快挙だった。
防御率1点台の要因は、走者を置いた場面で打たれなかったから。走者なしでは420打数96安打の被打率2割2分9厘で、走者ありでは218打数33安打の同1割5分1厘。今季防御率リーグ1位の高橋宏が2割1分1厘、パ1位のモイネロ(ソフトバンク)が1割7分4厘だから、戸郷の方が打たれていない。2リーグ制後の規定投球回到達者と比べてみると、1位は防御率0・98を記録した70年村山(阪神)となり、戸郷は歴代4位にランクイン。ランナーを背負った場面では村山や金田(国鉄)といったレジェンドにせまる圧倒的な成績だった。【多田周平】