巨人が中日を退団したライデル・マルティネス投手(28)と来季契約を基本合意したことが15日、分かった。
中日の保留選手名簿から外れ自由契約となり、キューバ政府との交渉を進めてきた。契約条件は2年総額1600万ドル(約24億円)とみられる。ハワイ優勝旅行中の阿部慎之助監督(45)は、過去2度のセーブ王を誇るクローザーに9回を、大勢には8回を託す構想を明かした。
朗報は常夏の島に舞い込んだ。元中日マルティネスと、巨人が来季から2年契約で合意したことを受け、クローザー起用を問われた阿部監督は「そう」と即答した。8回には今季まで抑えを務めた大勢が入り、7回にはバルドナード、ケラーに加え「高梨だったり、船迫だったり。相手からしたら、6回までに点取らないといけないというプレッシャーをかけられる」と、完全無欠の必勝パターンを構築していく。
守り勝つ野球を掲げる来季に向け、大きなピースが加わった。キューバ出身のマルティネスは今季までの8年間で166セーブを積み上げてきた。セーブ王のタイトルは、22年に39セーブで初めて獲得。今季はチームが最下位に沈む中、60勝のうち43セーブ挙げ2年ぶり2度目のタイトルを手にした。阿部監督は「よーいどんで、俺が言った守りの野球からというのも含めて、取りに行ってもらっているから。それが一番」と、リーグ2連覇と日本一奪回に向けブルペン強化に着手。これ以上ない補強に成功したことで、厚みは一気に増す。
大勢が入る8回を“鬼門”と捉えていた。「(大勢は)8回、セットアッパー。去年もそうだったけれど、8回が鬼門だったから」。今季はイニング別の通算失点数が、9回26失点に対し8回41失点、昨季は9回35失点で8回50失点だった。今季防御率0・88と、抜群の安定感を誇る大勢に「それ(不安)は一切ない」と信頼するからこそ、8回に回ることで鬼門を解消。球界屈指のクローザー2人が8回から試合を締めくくる。
かつて3連覇した12年~14年は「スコット鉄太郎」が一世を風靡(ふうび)した。マシソン、山口、西村がブルペンを強固にし、12年は日本一まで駆け上がっていった歴史がある。13年ぶりの頂点に向け、後ろから固めていく。