<明治安田J1:浦和0-0新潟>◇8日◇第38節◇埼玉スタジアム
新潟はアウェーで浦和と0-0と引き分け、自力でJ1残留を決めた。シュート数は後半の4本のみだったが、DF堀米悠斗主将(30)と、約5カ月ぶりの公式戦出場となったDF早川史哉(30)を中心に完封した。J1復帰2年目の今季はルヴァン杯で決勝まで勝ち進む躍進を見せた一方、リーグ戦は苦戦。10勝12分け16敗の勝ち点42で、16位フィニッシュとなった。
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スコアレスのまま、表示された後半追加タイム4分超が経過。最後は相手GKがボールを蹴り出したところで試合終了のホイッスルが鳴った。選手たちは降格危機の重圧から解き放たれ、ホッとした表情で静かにタッチを交わした。守備の時間が長い中、無失点で勝ち点1をもぎ取りJ1残留というミッションを達成。17年の降格を経験している主将の堀米は両足をつりながら執念の守備を見せ、試合後はベンチで大粒の涙を流した。
「みんなの顔を見た瞬間に(涙が)出た。後半途中に(18位の)磐田の情報が入った。全員が体を張った。自分たちのスタイルを曲げざるを得ないところまで自分たちを追い込んでしまったけど、今日はこれが正解だったと思う」
堅守速攻がトレンドになりつつあるリーグの中で、J1復帰2年目の今季もパスをつないで前進する独自スタイルを貫いた。ルヴァン杯ではクラブ史上初の準優勝。だが、リーグ戦では勝ち点を積み上げられず、中位と下位をさまよう苦しいシーズンだった。
開幕5試合は2勝2分け1敗と上々のスタートを切ったが、4月後半からケガ人が続出。徐々に選手は戻ったが、9月14日の第30節湘南戦以降、この日の浦和戦を含めて9戦未勝利でシーズンを終えた。「試合の内容は悪くないしルヴァン杯で大勝したりと、どこかで次(リーグで)は勝てるだろう、という甘さが全体にあったのかもしれない」と振り返る。
うまくいかなかった部分を次につなげる-。最終節まで苦しみながらも、自力で来季もJ1で戦う資格は勝ち取った。「僕自身は来年も新潟でやるので」と明かし、「今のスタイルをより明確にするために組織力とか、いい距離感で互いを生かし合うっていうベース、バランスをもう1度、取り戻したい」と、早くも来季を見据えた。【小林忠】