中日の来季コーチに就任する松中信彦氏(50=打撃担当)の会見が30日、名古屋市内の球団事務所で行われた。井上一樹監督(53)の要請を受け、1軍打撃部門を担当する平成の3冠王は「話をいただいたときは正直ビックリしました。引退して8年になりますが、年々指導したいという思いはあったので、やってやるぞという気持ちになった。強い打球を打てる選手を育てていきたい」と意気込みを明かした。
平成の強打者が令和の強打者育成に乗り出す。「僕たちの時代は(練習で)マスコットバットを使っていた。(今の選手は)投手のボールが速いので操作しやすい870グラムとかのバットを使うようになっている」。長打力を奪われ、3割打者も限定的となった超投高時代はスイング力の低下も要因のひとつとした平成屈指の強打者は井上監督に秋季練習でのマスコットバット使用を提案、すでに間接的指導を開始していたことを明かした。
現役引退後は独立リーグでGM兼総監督やロッテでの臨時コーチを務めたが、NPBでの本格指導は初めてとなる。「指導者としては(実質的に)1年目だと思うが、現役でいろんなことを学ばせてもらった。引き出しもあると思う。選手に存分に伝えていきたい」と目を輝かす。井上監督は「すごい実績を持っているが、練習もすごくやってきた選手。技術もそうだが、熱いものを持っている。なかなか得点力が上がらない中、いの一番に決めた人材」と弱点克服の切り札として期待を寄せた。
04年、史上7人目の3冠王に輝き、通算352本塁打、1168打点の強打者。今季もリーグワースト373得点と得点力不足に苦しみ続ける中日打線に息吹を吹き込む。