メジャー流2番!? 阪神藤川球児監督(44)が2日、秋季安芸キャンプで3日に行う新体制初の紅白戦で佐藤輝明内野手(25)と前川右京外野手(21)を両軍の「2番」に据えるオーダーを組んだ。超意外なラインアップに背番号8は「監督が言う、僕が2番というのはアメリカっぽい」とやる気満々。果たして藤川監督の狙いは? ファンを楽しませる紅白戦が、来季の新たなバリエーションを広げる一戦になるかも。
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囲み取材で3日の初紅白戦について聞かれると、藤川監督は手書きの文字が並んだ用紙を2枚取り出した。「明日のメンバー表、持ってますよ、ちゃんと」。笑顔で広げ、丁寧に両軍の全打順を読み上げた。「紅組、1番センター井坪、2番サード佐藤…」。今季55試合で5番を務めるなど、主軸に座ってきた佐藤輝が「2番」に記されていた。
対する白組の2番は前川だ。「浅知恵です。浅い知恵です」と笑ったが、実は1、2番は藤川監督が提案したという。来季の開幕までまだ5カ月ある。「みんなに可能性というか。いろんな景色。2番の役割はすごく大事なんですけど、今は狭める時期じゃないので、ちょっとそういうのも見てみたいなって」。日本での2番は進塁打やつなぎも含め、状況によって多様な役割を求められる難しい打順。今季の阪神では中野が132試合担ったが、その可能性を佐藤輝や前川にも探ろうというプランだ。
「バリエーションを持たせないと。固定のレギュラーだったので、そこに対する同じでいいのかというところと。(選手が)どんな野球するんだろうなと思ってるところを、みんなで探りながら」。打席に立って初めて2番心理が分かる。今季もソフトバンク柳田が打ったように2番最強打者説もある。意外な適役かもしれない。来年の戦い方を広げることプラス、ファンを楽しませる意味もある。
伝え聞いた佐藤輝も2年ぶりの打順にやる気十分だ。「監督が言う、僕が2番は、やっぱりアメリカっぽい感じですかね。どんどん長打を狙っていけたら」。ドジャースのベッツなど2番に強打者を置くメジャー流を頭に置いた。「打順が早くなるにつれて、その責任は大きくなると思う。それに見合う活躍をしたい」。実は藤川監督、敗れたチームにランニングの罰ゲームも準備。負けられない戦いで2番として新たな存在感を見せる意気込みだ。
この日は雨天で練習場所が限られたため、投手は午前10時から、野手は正午からの2部制で練習。効率第一の「球児流」で、3日の紅白戦に備えた。前日にオーダーを発表したのも、ファンを楽しませたい思いから。日曜日の安芸は満員確実。誰もがワクワクの一戦となりそうだ。【磯綾乃】
◆2番の強打者 日本では少ないが、メジャーではチームの主軸を2番に置くケースが多い。今季ドジャースのベッツは、従来の1番から快く2番に回り大谷をアシスト。ワールドシリーズでは全5試合で2番を打ち、第2戦から4試合連続安打で優勝に貢献した。ほかに今季メジャーでは、打率3割3分2厘でア・リーグ首位打者に輝いたロイヤルズのウィットも、全161試合でスタメン2番。ヤンキースの強打者ソトも、全41本塁打を2番で先発した試合で放った。
▽阪神前川(3日の紅白戦に2番で出場)「2番はシーズン中も経験しました。打順の役割があると思いますが、オフシーズンなので、結果よりも今取り組んでいることをしっかりやりたいと思います」