ソフトバンクは4日、21年ドラフト1位右腕の風間球打投手(21)、中村亮太投手(26)、三浦瑞樹投手(25)、笠谷俊介投手(27)、田上奏大投手(21)、川原田純平内野手(22)、仲田慶介内野手(25)の7選手に来季の契約を結ばないことを通告したと発表した。
1軍登板0の風間は球団打診の育成契約を受諾し、3桁の背番号で再出発を期す。戦力外通告は合計23人となり、日本シリーズでDeNAに敗れた一夜明け、パ王者に秋風が吹いた。
◇ ◇ ◇
3年前のドラフト1位右腕風間は、球団から呼び出しを受けた時点で覚悟していた。「当然の結果というか。厳しい世界なので。これをしっかり受け止めたい」。みずほペイペイドーム内の球団事務所を訪れ、来季の構想外を通達された。チームが日本シリーズでDeNAに敗れて4年ぶりの日本一を逃した一夜明け、非情の宣告を受け止めた。
「イメージ通りの3年間じゃなかった」。157キロの直球を武器に鳴り物入りでプロの世界に飛び込んだ。「世代最速の男」として注目されたが、在籍3年間で1軍登板なし。22年に右肘痛、23年は腰椎分離症と度重なる故障に泣かされた。「自信ありながら入ってきて、復帰してから自信のない投球が続いた。悔いの残る3年間でしたし、まだやり残していることはたくさんあるので」。入団会見で「300勝」の大目標を掲げたが、背番号1が鷹の本拠地を沸かせることはできなかった。
それでも未来のエース候補と期待していた球団は、育成での再契約を打診する方針でいる。永井智浩編成育成本部長は「僕らも『戦力でない』と判断したら育成でオファーはしないです。今の育成選手もそうです」。12球団で唯一4軍制を採用し、1軍が貯金42でぶっちぎり優勝するほどの選手層を誇る。支配下選手70人の上限は若鷹にとって狭き門。それでも完全な戦力外ではなく、育成の道を残してくれた。風間は懸命に前を向き、一からの再出発を誓った。
「気持ちを切り替えて、支配下になれるように。自分はまだ期待に応えられていない。負けず嫌いというか、絶対に取り返すぞっていう気持ちはあります」
このままでは終われない。終わっていいはずがない。名誉ある背番号1は球団に返上。3桁の背番号から必ずはい上がる。【佐藤究】
◆風間球打(かざま・きゅうた)2003年(平15)10月11日生まれ、山梨県甲州市出身。野球は奥野田小1年で始め、3年から投手。塩山中時代は笛吹ボーイズでプレー。ノースアジア大明桜では1年春からベンチ入り。3年夏の秋田大会準々決勝の秋田戦で、157キロをマークし、そのまま優勝。1回戦の帯広農(北北海道)戦で2失点完投し、同校32年ぶりの甲子園勝利に貢献。2回戦で明徳義塾(高知)に敗れた。21年ドラフト1位でソフトバンク入団。家族は両親と長男球道(きゅうどう)さん、次男球星(きゅうせい)さん、四男球志良(きゅうしろう)さん。今季推定年俸は1000万円。184センチ、97キロ。右投げ左打ち。
▽ソフトバンク中村亮 悲観的にとらえずに、前を向いてやっていきたい。(トライアウトで)しっかりしたパフォーマンスを見てもらえるように準備していきたい。
▽ソフトバンク川原田(球団が育成契約を打診) 育成で残してもらえるだけ、率直にありがたい気持ちです。(2月に右足首を負傷して、8月に手術を受け)来年に向けて、前向きにリハビリをやっていきたい。
▽ソフトバンク笠谷 覚悟は毎年していました。悔しいけど、結果の世界なので。現役は続けるつもりで、できるところがあれば家族とも相談していきたい。
▽ソフトバンク田上(球団が育成契約を打診)あまりネガティブには思っていない。年齢的に来年は勝負だと思うので、開幕から1軍に戻れるように頑張りたい。