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新小結琴ノ若、気負いなし=祖父の突き押し学ぶ―新年、父祖に誓う(上)


 大相撲初場所は8日、東京・両国国技館で初日を迎える。1898(明治31)年春(1月)場所以来、125年ぶりの「1横綱1大関」。三役は61年ぶりに4関脇4小結となり、しのぎを削る。新小結に昇進した琴ノ若と若元春の姿を追った。  ◇待たされた昇進  番付運にも恵まれず、新三役を目前に足踏みしてきた琴ノ若。「番付が一つ上がっただけ。いつも通り前に出る相撲を続ける」。しぶとく白星を重ねてきた自負もあり、気負いは感じさせない。  2007年に他界した母方の祖父は元横綱琴桜。父は師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)と相撲一家に育った。普段は優しかった祖父も相撲には厳しく、褒めてくれるのは小学生の大会で優勝した時だけ。銀メダルを持ち帰ると、見つからないようにそっと、かばんの底に隠した。勝利への貪欲さは幼い頃から植え付けられてきた。  最近は、強烈なぶちかましや突き押しで一気に攻めた祖父の取組の動画から学ぶことが多い。右四つの取り口を自分のものにしようとしつつ、「簡単には持ち込めない。そのために押しを掛け合わせていきたい」という。師匠も「先代のような相手に何もさせない相撲を磨いてほしい」と期待を寄せる。  新番付発表の記者会見で師匠は、大関に昇進した際には「琴桜」を襲名させる意向を披露。「いつ、おじいちゃんのしこ名をくれるの」と無邪気に尋ねていた相撲少年の願いは徐々に現実味を帯びてきた。  昨年末、墓前で昇進を報告した時、「うかうか喜んでいる場合じゃない。ここからだぞ、と生きていたら言われるだろうな」と祖父の顔が浮かんだ。「一番上に行くまでは挑戦者」と25歳。次代の主役候補が飛躍を誓う。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕新小結で迎える初場所に向け稽古する琴ノ若(右)=2022年12月30日、千葉県松戸市
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