再生医療等製品「ビズノバ®」保険収載了承のお知らせ
NEWS RELEASE
2024年8月8日
各位
合同会社オーリオンバイオテック・ジャパン
再生医療等製品「ビズノバ®」保険収載了承のお知らせ
合同会社オーリオンバイオテック・ジャパン(本社:東京都千代田区、代表社員:オーリオンバイオテック・インク、職務執行者:長谷川 秀二)は、2024年8月7日に開催された中央社会保険医療協議会の総会において、再生医療等製品、培養ヒト角膜内皮細胞・調整・移植キット「ビズノバ®」が2024年9月1日付で保険収載されることが了承されましたのでお知らせいたします。
ビズノバ®(一般的名称:ネルテペンドセル)は、「水疱性角膜症*1」を効能、効果又は性能とし世界で初めて製造販売承認を取得した、ヒト角膜より分離・培養して製した成熟分化培養ヒト角膜内皮細胞を含む角膜内皮細胞剤を主構成体とした再生医療等製品です。これまで水疱性角膜症の治療には、ドナー角膜組織を用いた角膜移植術(角膜内皮移植等の部分移植を含む)が行われてきました。一方で、ドナー角膜の供給は慢性的に不足しており、水疱性角膜症治療の大きな課題の一つでした。ビズノバ®は、1人分のドナー角膜から複数患者分の製品を製造できるため、ドナー角膜不足を解消する糸口になることが期待されています。
本製品の医師主導治験責任医師である京都府立医科大学 特任講座 感覚器未来医療学の木下茂教授は、「日本発、世界初、かつ世界標準治療となる可能性のある培養ヒト角膜内皮細胞を移植する技術の製品化は、水疱性角膜症の治療の発展に大きく寄与するものと期待しています。」と述べられ、医師主導治験調整医師である京都府立医科大学大学院医学研究科 視覚機能再生外科学の外園千恵教授は、「水疱性角膜症の既存治療である角膜移植術には課題が多く残されています。ビズノバ®はそれらを克服する新たな治療選択肢となり得ると考えられ、水疱性角膜症患者の日常生活の質の向上につながることを願っています。」と評価されています。
本製品の製造はS-RACMO株式会社*2に委託し、製品供給体制を整えています。
当社は、革新的な細胞培養技術を用いた再生医療等製品の開発にチャレンジしています。角膜障害による視力低下や視力喪失に苦しむ患者さまの明るい明日への鮮やかな光となるよう邁進してまいります。
【保険収載の概要】
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M107598/202408074726/_prw_PT1fl_N5Q0CyTu.png】
【開発の経緯】
京都府公立大学法人京都府立医科大学は、角膜移植に代わる新規治療法としてドナー由来の角膜内皮細胞を生体外で培養拡大後、高機能な培養ヒト角膜内皮細胞の懸濁液を水疱性角膜症患者の前房内に移植する革新的な再生医療技術である培養ヒト角膜内皮細胞移植を開発してきました。2013年12月10日に京都府立医科大学附属病院で水疱性角膜症に対する培養ヒト角膜内皮細胞移植の臨床研究を世界で初めて開始し、2年間の観察期間を終了した最初の11例の成果をまとめた論文がThe New England Journal of Medicine(2018年3月15日版)にOriginal Articleとして掲載されました。
2017年から京都府立医科大学附属病院、京都大学医学部附属病院及び国立長寿医療研究センター病院の3施設で水疱性角膜症に対する培養ヒト角膜内皮細胞移植の多施設共同医師主導治験を実施し、その有効性と安全性を証明しました。京都府立医科大学感覚器未来医療学(木下茂教授)、同学大学院医学研究科 視覚機能再生外科学(外園千恵教授、上野盛夫准教授)などを中心とした成果です。
本技術開発は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「再生医療実現拠点ネットワークプログラム(再生医療の実現化ハイウェイ、技術開発個別課題)」「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業」「再生医療実用化研究事業」の支援を受けて実施しました。
Aurion Biotech, Inc. *3は、京都府立医科大学などから本製品の基本技術に関わるライセンスを取得しております。合同会社オーリオンバイオテック・ジャパンは、2022年6月に厚生労働省へビズノバ®の製造販売承認申請を行い、2023年3月17日に再生医療等製品の製造販売承認を取得しました。
【ビズノバ®移植概念図】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202408074726-O1-7CP2kr8L】
出典:医学のあゆみ vol.274 no.13 p.1305
*1:水疱性角膜症について
水疱性角膜症は、角膜に水疱状に水がたまる浮腫を生じる眼疾患です。混濁により角膜の透明性が損なわれ、症状が進行すると光を感じ取れる程度にまで視力が低下し、失明に至る恐れがあります。また、角膜の表面には知覚神経が数多く存在しているため、角膜に生じた水疱により強い痛みを生じることもあります。
角膜は5つの層で構成されており、角膜内の水分を一定に保つ働きをもつ角膜内皮細胞が最も内側にあります。角膜内皮の細胞密度が減少し、角膜内皮細胞が機能不全を起こすと、角膜から水分を排出する機能が損なわれ、水疱症角膜症に至ります。既存の治療法は、ドナー角膜を用いた角膜移植術(角膜内皮移植を含む)のみとなります。
*2:S-RACMO株式会社について
S-RACMO株式会社は、住友化学株式会社と住友ファーマ株式会社により、2020年9月に設立された合弁会社です。再生医療、細胞治療の早期普及及び産業化に貢献すべく、再生・細胞医薬分野の製法開発、製造などの受託(Contract Development and Manufacturing Organization)事業に取り組んでいます。S-RACMOは住友化学が有するiPS/ES細胞の基盤技術や医薬品の受託製造に関するノウハウと、住友ファーマ株式会社が再生・細胞医薬事業における複数のプロジェクトで培った高度な製法開発や製剤開発などのノウハウを生かす考えで設立されています。詳しくは、https://www.s-racmo.co.jpをご覧ください。
*3:Aurion Biotech, Inc. (オーリオンバイオテック・インク)について
Aurion Biotech, Inc.は、米国ワシントン州シアトル市(本社)及びマサチューセッツ州ケンブリッジ市に拠点を置く眼科領域において革新的な再生医療技術により視力の低下で悩む患者さんの視力回復を目指すバイオテック企業です。同社は、京都府立医科大学 特任講座 感覚器未来医療学 木下茂教授などから培養ヒト角膜内皮細胞の再生医療製品の基本技術に関わるライセンスを取得しており、同社の子会社であり、東京都千代田区及び京都市に拠点を置く合同会社オーリオンバイオテック・ジャパンの日本での製造販売承認取得に続き、米国及びカナダでも臨床試験を実施し、BTD(画期的治療薬指定)及びRMAT(再生医療先進治療薬指定)をFDA(米国食品医薬品局)より取得しています。同社は、Deerfield、Alcon、Petrichor、Flying L Partners、Falcon Vision / KKR、Visionary Venturesなどから出資を受けています。Aurion Biotech, Inc.は2022年にPrix Galien Award for Best Start-up in Biotech / Pharma (ガリアン賞:画期的な 医薬品 を開発した者に贈られる賞)を受賞しています。詳しくはhttps://aurionbiotech.comをご覧ください。
合同会社オーリオンバイオテック・ジャパンは、Aurion Biotech, Inc. の日本法人です。詳しくはhttps://aurionbiotech.co.jpをご覧ください。
以上
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