KiteのCAR T細胞療法イエスカルタ(R)に関する解析、 非ホジキンリンパ腫患者さんへの治癒の可能性を支持
ギリアド・サイエンシズ株式会社
KiteのCAR T細胞療法イエスカルタ(R)に関する解析、 非ホジキンリンパ腫患者さんにおける治癒の可能性を支持
-ZUMA-1試験の事後解析が、大半の難治性大細胞型B細胞リンパ腫患者さんに おける5年間のリンパ腫関連無イベント生存率を示す- -ZUMA-5試験の4年間のフォローアップで、再発/難治性濾胞性リンパ腫患者さんにおける持続的奏効および長期生存が示される- -65歳以上の患者さんを対象としたZUMA-7試験の全生存サブグループ解析に より、年齢がCAR T細胞療法実施への障壁ではないことが示される-
ギリアド・カンパニーのKite(本社:米カリフォルニア州サンタモニカ、ナスダック:GILD)は12月11日、再発または難治性(R/R)非ホジキンリンパ腫(NHL)の複数のサブタイプである患者さんの長期生存の可能性を示す、イエスカルタ(アキシカブタゲン シロルユーセル)に関する3試験のフォローアップから得られたデータを、第65回米国血液学会(ASH)年次総会で発表しました。この発表には、イエスカルタ投与後12カ月、24カ月の時点で完全奏効(CR)を維持していた難治性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者さんの、72カ月時点での疾患特異的生存率(DSS)の推定値がそれぞれ94.4%、100%であったことを示した、ZUMA-1試験(抄録番号 #4864)が含まれています。ZUMA-5試験(抄録番号 #4868)およびZUMA-7試験(抄録番号 #1761)から得られた長期データについても発表されました。
Kiteの上級副社長で、臨床開発グローバル責任者のフランク・ノイマン(Frank Neumann, MD, PhD)は次のように述べています。「治療の難しいリンパ腫とともに生きる患者さんのフォローアップを継続する過程で、一度のイエスカルタ投与によるより長い生存へのパターンを目にしています。これらの試験結果は、当社の迅速かつ信頼性の高い製造力と併せて、治癒の可能性を有する治療としてのイエスカルタのベネフィットと有用性に関する一連の知識を補強するもので、がん治療を変革し、数多くのリンパ腫患者さんに希望をもたらすでしょう」
イエスカルタ関連の抄録に関する詳細情報
抄録番号 #4864
アキシカブタゲン シロルユーセル(Axi-Cel)による治癒の可能性:難治性LBCL患者さんを対象としたZUMA-1試験の長期生存に関する探索的評価
ZUMA-1試験は、難治性LBCL成人患者さんを対象に、CAR T細胞療法イエスカルタの安全性および有効性を評価する、現在進行中の多施設共同、単群、非盲検、第I/II相試験です。ZUMA-1試験の事後解析では、最長6年間のフォローアップを行い、イエスカルタによる治癒の可能性を探る手段として、5年間の長期リンパ腫関連無イベント生存率(LREFS)が使用されました。イエスカルタは、大半の患者さんにおいて、長いLREFSを示し、5年時点での生存率は34%でした(CRを達成した患者さんでは57%)。さらに、この探索的解析では、6年時点で、全生存期間(OS)の中央値は、以前行った解析と一貫性を示し25.8カ月(95%信頼区間[CI]:12.8-63.7)、12カ月時点および24カ月時点でCRを維持していた患者さんの72カ月時点でのDSSは、それぞれ94.4%、100%でした。この結果から、OS延長を予測できる可能性があります。CRを達成した患者さんの主な死亡リスクは、投与24カ月後の症状進行や有害事象以外の要因でした。
抄録番号 #4868
R/R低悪性度NHL(iNHL)患者さんに対するアキシカブタゲン シロルユーセル(Axi-Cel):第II相ZUMA-5試験の4年間のフォローアップ
ZUMA-5試験は、122名のR/R iNHL成人患者さん(iNHL;濾胞性リンパ腫[FL]および辺縁帯リンパ腫[MZL])を評価する、現在進行中の単群、非盲検、国際共同、多施設の第II相試験です。本試験では、フォローアップ中央値の52.5カ月(範囲:20.3-69.4、FL:53.7、MZL:43.8)の時点で、全奏効率(ORR)は過去の解析と一貫性を示しており(ORR:90%、CR率:75%)、奏効持続期間(DOR)の中央値は55.5カ月(95%CI:38.6-推定不可[NE]、FL:55.5、MZL:未達)でした。4年間のフォローアップのデータカットオフの時点では、無増悪生存期間(PFS)の中央値は57.3カ月(95%CI:34.9-NE、FL:57.3、MZL:46.9)、48カ月時点でのOS率は72%(FL:72%、MZL:68%)でした。3年時の解析と比較して、4年時の解析では、神経系の事象、低ガンマグロブリン血症例、グレード3以上の血球減少症、あるいはグレード3以上の感染症の新たな発現はありませんでした。
テキサス大学MD Anderson Cancer Centerのサットヴァ・S・ニーラプ博士(Dr. Sattva S. Neelapu)は次のように述べています。「他の試験も併せて考えると、ZUMA-5試験の4年間の解析や、ZUMA-1試験の最長6年間のフォローアップで私たちが確認した結果は、前の治療を受けた後に症状が進行したFL患者さんおよびLBCL患者さんに対するaxi-celの効果持続性および安全性を支持しています。私たちはこれらのデータ、特にこれらの患者集団における本療法による治癒の可能性を示す持続的奏効および長期生存について、心強く思っています。このような患者さんを継続してフォローアップするとともに、これらの肯定的な生存傾向が持続することを願っています」
抄録番号 #1761
高齢LBCL患者さんの二次治療における、標準治療を対照としたアキシカブタゲン シロルユーセルによるOS改善:ZUMA-7のサブグループ解析
ZUMA-7試験は、難治性または一次治療後12カ月以内に再発したLBCL成人患者さんの治療において、標準治療(SOC:奏効を示した患者さんを対象に化学免疫療法後、HDT-ASCTを実施)と比較して、イエスカルタの安全性と有効性を評価する、無作為化、非盲検、国際共同、多施設、第III相試験です。本解析では、ZUMA-7試験に参加した65歳以上および70歳以上の被験者を対象とした一次OS解析から得られた、最新の有効性および安全性の結果について報告しました。フォローアップの中央値である46.6カ月の時点で、SOC群と比較すると、イエスカルタ群のOSは、65歳以上のグループ(ハザード比(HR):0.691、95%CI:0.401-1.190)および70歳以上のグループ(HR:0.330、95% CI:0.135-0.809)ともに、長いことが認められました。治験医師が評価したPFSは、SOC群と比較して、イエスカルタ群の方が、65歳以上のグループ(HR:0.406、95% CI:0.230‑0.715)および70歳以上のグループ(HR: 0.206、95% CI:0.078‑0.547)ともに、長いことが確認されました。ZUMA-7試験の無イベント生存率(EFS)解析以降、新たな治療関連死は認められませんでした。
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M106647/202401235607/_prw_PT1fl_761n9wSw.png】
アムステルダム大学メディカルセンター(Amsterdam University Medical Centers)のマリー・ジョゼ・ケルステン教授(Professor Marie José Kersten)は次のように述べています。「これまで高齢のR/R LBCL患者さんは、年齢や併存疾患に応じて副作用増加が懸念されるため、一部の治療を受けることができませんでした。しかしながら、画期的なZUMA-7試験のサブグループ解析結果では、高齢のR/R LBCL患者さんに対してもaxi-celを検討してよいことがデータにより明らかに裏付けられています。より多くのデータが得られるとともに、患者さんが年齢に関係なく、奏効や生存延長の可能性が最も高い治療を受けられることを願っています」
イエスカルタの米国における添付文書には、サイトカイン放出症候群(CRS)および神経毒性リスクに関する枠組み警告が含まれており、これらのリスクのため、イエスカルタの承認にはリスク評価・リスク緩和戦略(REMS)が伴います。重要な安全性情報については、以下をご参照ください。
濾胞性リンパ腫(FL)について
FLは、悪性腫瘍の増殖は遅いが、時間の経過とともに進行が早くなる可能性のあるiNHLの一種です。
FLは、最も一般的なiNHLであり、世界で二番目に一般的な型のリンパ腫です。世界でリンパ腫と診断される人の約22%を占めています。
コントロールの進歩と、長期生存率の大幅な改善にも関わらず、FL患者さんのアウトカムはさまざまです。現在、二次治療以降のR/R FLに対する標準治療はありません。
大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)について
全世界的に、LBCLはNHLにおいて最も一般的な型です。米国では、毎年18,000人以上がLBCLと診断されています。LBCL患者さんの約30-40%が、がんの再発、または一次治療に対する難治性(治療の効果が見られない)のため、二次治療を必要とします。
イエスカルタについて
効能・効果、警告、禁忌・禁止および医薬品情報を含む電子添文(完全版)をご参照ください。
イエスカルタは、CD19を標的とした遺伝子改変自家T細胞免疫療法で、米国においては次に挙げる患者さんの治療を適応としています。
・一次治療の化学免疫療法に対して難治性を示した、または一次治療の化学免疫療法後12カ月以内に再発したLBCL成人患者さん
・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)非特定型、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、FL形質転換のDLBCLを含む、2つ以上の全身療法後のR/R LBCL成人患者さん
○ 使用上の制限事項:イエスカルタは、原発性中枢神経系リンパ腫患者さんの治療を適応としません。
・2つ以上の全身療法後のR/R FL成人患者さん。本適応症は、奏効率に基づき迅速承認されました。本適応症の承認を継続するには、検証的試験で臨床的ベネフィットを検証し、証明することが条件となります。
米国における重要な安全性情報
枠組み警告:サイトカイン放出症候群(CRS)および神経毒性
・重度または生命を脅かす反応を含むCRSが、イエスカルタ投与患者に発現しています。活動性感染症または炎症性疾患を有する患者にイエスカルタを投与しないでください。重度または生命を脅かすCRSは、トシリズマブまたはトシリズマブ・コルチステロイドの併用で、治療を行ってください。
・重度または生命を脅かす反応を含む神経毒性が、CRSを同時に発現した場合または回復後を含め、イエスカルタ投与患者に発現しています。イエスカルタ投与後、神経毒性についてモニタリングしてください。必要に応じて、支持療法および/またはコルチステロイド投与を行ってください。
・イエスカルタは、リスク評価・リスク緩和戦略(REMS)である「イエスカルタ・テカルタスREMSプログラム」に基づく制限プログラムを通じてのみ、投与可能です。
サイトカイン放出症候群(CRS)について
重度または生命を脅かす反応を含むCRSが発現しています。CRSは非ホジキンリンパ腫(NHL)患者の90%(379/422)に発現し、うちグレード3以上は9%でした。また、LBCL患者の93%(256/276)に発現し、うちグレード3以上は9%でした。イエスカルタ投与後に死亡したLBCL患者のうち4名が、死亡時にCRS事象を持続していました。ZUMA-1試験では、LBCL患者のCRS発現までの時間の中央値は投与後2日(範囲:1-12日)、継続期間の中央値は7日間(範囲:2-58日間)でした。ZUMA-7試験では、LBCL患者のCRS発現までの時間の中央値は投与後3日(範囲:1-10日)、継続期間の中央値は7日間(範囲:2-43日間)でした。ZUMA-5試験では、iNHL患者の84%(123/146)にCRSが発現し、うちグレード3以上は8%でした。イエスカルタ投与後に死亡したiNHL患者のうち1名が、死亡時にCRS事象を持続していました。iNHL患者について、CRS発現までの時間の中央値は4日(範囲:1-20日)、継続期間の中央値は6日間(範囲:1-27日間)でした。
患者全体に主に見られたCRSの症状(10%以上)は、発熱(85%)、低血圧(40%)、頻脈(32%)、悪寒(22%)、低酸素症(20%)、頭痛(15%)、倦怠感(12%)でした。CRSに関連する可能性がある重篤な事象には、不整脈(心房細動、心室頻拍を含む)、腎不全、心不全、呼吸不全、心停止、毛細血管漏出症候群、多臓器不全、血球貪食性リンパ組織症/マクロファージ活性化症候群などがあります。
トシリズマブおよび/またはコルチステロイドによるCRSの発現や重症度に対する影響について、ZUMA-1試験において、LBCL患者を対象とした2つの後続コホートで評価しました。グレード1の継続事象に対してトシリズマブおよび/またはコルチステロイドの投与を受けた患者の93%(38/41)がCRSを発現し、うちグレード3は2%(1/41)でした。グレード4または5の事象を発現した患者はいませんでした。CRS発現までの時間の中央値は2日(範囲:1-8日)、CRS継続期間の中央値は7日間(範囲:2-16日間)でした。39名の患者のコホートに対し、イエスカルタ投与日から3日間、コルチステロイドによる予防的治療が行われました。うち31名(79%)の患者がCRSを発現しましたが、トシリズマブおよび/またはコルチステロイドの投与により症状がコントロールされ、グレード3以上のCRSを発現した患者は一人もいませんでした。CRS発現までの時間の中央値は5日(範囲:1-15日)、CRS継続期間の中央値は4日間(範囲:1-10日間)でした。機序の説明については不明ですが、各患者の既存の併存疾患、ならびにグレード4および神経毒性が長引くリスクの可能性を考慮した上で、コルチステロイドによる予防的治療のリスクとベネフィットを検討してください。
イエスカルタ投与前にトシリズマブの投与が2回可能であるかを確認してください。少なくとも1日1回7日間は認定医療機関で、その後も4週間、CRSの徴候および症状について、患者をモニタリングしてください。CRSの徴候または症状が見られた場合、直ちに医師の診察を受けるよう、患者に助言してください。CRSの最初の徴候が見られた時点で、必要に応じて、支持療法、トシリズマブ、またはトシリズマブ・コルチステロイドの併用による治療を開始してください。
神経毒性について
重度または生命を脅かす反応を含む神経毒性(ICANSを含む)が発現しています。神経毒性はイエスカルタの投与を受けた全NHL患者の78%(330/422)に発現し、うちグレード3以上は25%でした。ZUMA-1試験では、LBCL患者の87%(94/108)が神経毒性を発現し、うちグレード3以上は31%、ZUMA-7試験では、患者の74%(124/168)が発現し、うちグレード3以上は25%でした。ZUMA-1試験では、LBCL患者の発現までの時間の中央値は4日(範囲:1-43日)、継続期間の中央値は17日間でした。ZUMA-7試験では、LBCL患者の神経毒性発現までの時間の中央値は5日(範囲:1-133日)、継続期間の中央値は15日間でした。神経毒性はiNHL患者の77%(112/146)に発現し、うちグレード3以上は21%でした。発現までの時間の中央値は6日(範囲:1-79日)、継続期間の中央値は16日間でした。LBCL患者における全神経毒性の98%、およびiNHL患者における全神経毒性の99%は、イエスカルタ投与後8週間以内に発現しています。LBCL患者の罹患者の87%およびiNHL患者の罹患者の74%が、イエスカルタ投与後7日以内に神経毒性を発現しています。
患者全体に見られた神経毒性の症状(10%以上)は、脳症(50%)、頭痛(43%)、振戦(29%)、めまい(21%)、失語症(17%)、せん妄(15%)、不眠症(10%)でした。最長173日間の遷延性脳症が認められました。失語症、白質脳症、構音障害、嗜眠、けいれん発作を含む重篤な事象が発現しています。脳浮腫および脳症(遅発性脳症を含む)の生命に関わるまたは重度の症例が発現しています。
トシリズマブおよび/またはコルチステロイドによる神経毒性の発現や重症度に対する影響について、ZUMA-1試験において、LBCL患者を対象とした2つの後続コホートで評価しました。グレード1の毒性発現時にコルチステロイド投与を受けた患者の78%(32/41)が神経毒性を発現し、うちグレード3は20%(8/41)でした。グレード4または5の事象を発現した患者はいませんでした。神経毒性発現までの時間の中央値は6日(範囲:1-93日)、継続期間の中央値は8日間(範囲:1-144日間)でした。39名の患者のコホートに対し、イエスカルタ投与日から3日間、コルチステロイドによる予防的治療が行われました。うち85%(33/39)の患者が神経毒性を発現し、グレード3は8%(3/39)、グレード4は5%(2/39)でした。神経毒性発現までの時間の中央値は6日(範囲:1-274日)、継続期間の中央値は12日間(範囲:1-107日間)でした。CRSおよび神経毒性のコントロールを目的としたコルチステロイドの予防的投与により、神経毒性のグレードの上昇、または神経毒性の遷延化、CRSの発現の遅延および継続期間の短縮が起こる場合があります。
少なくとも1日1回7日間は認定医療機関で、その後も4週間、神経毒性の徴候や症状について、患者をモニタリングし、速やかに治療を行ってください。
REMSについて
CRSおよび神経毒性のリスクのため、イエスカルタは「イエスカルタ・テカルタスREMSプログラム」と呼ばれる制限プログラムを通じてのみ、投与可能です。同プログラムでは、イエスカルタを調剤・投与する医療機関の登録、REMS要件の遵守、またCRSの治療に必要な場合、各患者に対し、トシリズマブをイエスカルタ投与後2時間以内にその場で直ちに投与できるよう2回投与分以上確保しておくことが義務付けられています。認定医療機関は、イエスカルタを処方、調剤または投与する医療提供者に対し、必ずCRSおよび神経毒性のコントロールについてトレーニングを行ってください。さらなる詳細については、www.YescartaTecartusREMS.comをご参照いただくか、1-844-454-KITE (5483).にご連絡ください。
過敏症反応
重度の過敏症反応またはアナフィラキシーを含むアレルギー反応が、イエスカルタ投与により発現することがあります。
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