アッヴィ、最も患者数の多い指定難病「炎症性腸疾患(IBD)」に関する意識調査を実施
アッヴィ合同会社
アッヴィ、最も患者数の多い指定難病※1「炎症性腸疾患(IBD)」に関する意識調査を実施
●最も推計患者数の多い指定難病※1にもかかわらず、社会一般の9割がIBDの詳細について認知せず、IBDの認知度、理解度の低さが明確に。
●IBD患者さんが困っていることについて、一般の方との認識のギャップが明らかに。特に「外見や見た目からは病気であることが分からず、理解を得られにくいこと」への認識の違いが見られた。
●現在の生活満足度に関して、症状が落ち着いている寛解期のIBD患者さんでは高い満足度を示す結果となり、適切な治療がウェルビーイングスコア※2の向上につながることが示唆される。
●治療の進展と共に、社会とIBD患者さんがお互いを理解し歩み寄ることで、「ウェルビーイングスコア」の高い社会を目指す。
アッヴィ合同会社(本社:東京都港区、社長:ジェームス・フェリシアーノ)は、炎症性腸疾患(IBD)患者さんと一般の方、合計791人を対象に実施したIBDの認知度・理解度および患者さんの生活意識に関する調査(2020年3月実施)の結果を本日発表します。
指定難病であるIBDは、大腸や小腸など消化管に炎症が起こり、腫瘍を合併することもある疾患で、主に潰瘍性大腸炎とクローン病があります。原因は不明で、根治させる方法がいまだに見つかっていません。主な症状が”下痢”や“腹痛”という身近な症状から、周りに疾患であると気づかれにくい難病とも言えます。症状が悪化した「活動期」と症状が落ち着いている「寛解期」を繰り返すのも特徴のひとつです。
調査の結果は以下の通りです。
■最も患者数の多い指定難病※1にもかかわらず、IBDの認知度、理解度の低さが明確に
~ IBDの認知は1割以下、具体的な症状の認知は3割以下~
「あなたは炎症性腸疾患(IBD)-潰瘍性大腸炎/クローン病を知っていますか」という質問に対して、一般の56.0%が「全く知らない」、34.8%が「聞いたことはあるが、どんな病気かは全く知らない」と回答し、合わせて9割以上(90.8%)がIBDという疾患の詳細を知らず、IBDの疾患認知は1割以下(9.3%)にとどまる結果でした。(図①)
※1 厚生労働省衛生行政報告例(平成30年度末現在)より
※2 ウェルビーイングスコアとは:本調査を行うにあたり、アッヴィ独自に「心身共に健全な状態」を数値化したもの。算出方法はp.5参照
【図①】Q:あなたは炎症性腸疾患(IBD)-潰瘍性大腸炎/クローン病を知っていますか。
対象:一般の方全体 400人 (単一回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202105104668-O1-n51CGa4B】
また、IBDについて「どんな病気かよく知っている」、「どんな病気かある程度知っている」、「聞いたことがあるがどんな病気かは全く知らない」と回答した人を対象に、知っているIBDの症状や病態を12項目の選択肢と共に質問したところ、最も多かった回答は「この中に知っていることは一つもない」(36.4%)でした。さらに、具体的な症状や病態など疾患についての認知率は全回答項目で3割を下回りました。この結果から、IBDという疾患名について認知している人に関しても、症状や病態を具体的に認識している人が少ないことが分かり、IBDという疾患の認知度・理解度双方の低さが明らかになりました。(図②)
【図②】Q:IBDについて「どんな病気かよく知っている」、「どんな病気かある程度知っている」、「聞いたことがあるがどんな病気かは全く知らない」と回答した方に伺います。IBDについてあなたがご存知のことを全てお選びください。
対象:IBDを「どんな病気かよく知っている」、「どんな病気かある程度知っている」、「聞いたことがあるがどんな病気かは全く知らない」と回答した一般の方 176人(複数回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202105104668-O2-TeLbvxTM】
■IBD患者さんが日常生活で困っていることのひとつ、「外見や見た目からは病気であることが分からず、理解を得られにくいこと」は、一般の認識と違いが見られた
IBD患者さんを対象に、日常生活で困っていることを尋ねたところ、「薬を飲んだり通院をし続けなければいけないこと」(50.8%)が最も多い結果となりました。一方、一般の方にIBDの症状(※下に詳細記述)を説明し、自分がIBDになったら困ると思う症状を尋ねたところ、1位が「痛みがつらいこと」(61.4%)となり、実際の患者さんとの認識に差異が見られました。
また、IBD患者さんは困っていることの4位に「外見や見た目からは病気であることが分からず、理解を得られにくいこと」を挙げましたが、一般の方の回答では11位とギャップがあり、見た目ではわからない症状が多いIBDの疾患理解の難しさが浮き彫りとなりました。(図③)
【図③】
患者さんQ:IBDによる症状の影響で普段の生活の中でどのような困ったことがありますか。
対象:IBD患者さん 391人 (複数回答)
一 般の方Q:もしあなたがIBDの症状になったとしたら、どれが生活に与える支障が大きいですか。
対象:一般の方 399人 (複数回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202105104668-O3-kW880N97】
<IBDの症状の説明>※図③の質問で一般の方へ説明した内容。調査アンケートより転載。
炎症性腸疾患(IBD)は、大腸や小腸など消化管に炎症が起こり潰瘍ができる病気で、主に潰瘍性大腸炎とクローン病があります。いずれも原因は不明で、現在、根治させる方法がまだ見つかっていません。
近年、日本でも患者数が増加しており、10歳代後半から30歳代前半と若い世代に多く発症します。病状によっては長期入院や手術、食事制限、トイレが心配で外出困難になるなど、日常の就学、就労生活に大きな支障が出ます。
潰瘍性大腸炎は、繰り返す下痢、血便、腹痛、発熱や体重減少などが主な症状としてあり、典型的な症状は1日5~10回前後の下痢、血便が続きます。
病気の症状や重症度は患者さんごとに異なり、便に少し血が付着する程度の軽症から、1日に20回以上も下痢、血便があり、貧血や腹痛、発熱を伴う重症の方まで様々です。
クローン病は、口から肛門までの消化管のあらゆる部位に病変が生じる可能性がある疾患で、下痢、血便、腹痛などの消化器症状に加え、発熱、体重減少などが見られます。腸に深い潰瘍ができ、さらに症状が進むと腸に穴があいたり、腸が狭くなり詰まってしまいます。その結果、最終的には手術で腸を切除することもあります。
■現在の生活満足度に関して、寛解期のIBD患者さんで高い満足度を示す結果となり、適切な治療がウェルビーイングスコア(p.5参照)の向上につながることが示唆される
現在の生活の満足度について尋ねたところ、「非常に良い」、「やや良い」と回答した人の割合は、症状が落ち着いている「寛解期」のIBD患者さんでは49.5%、一般の方は46.6%、症状が悪化した「活動期」のIBD患者さんでは36.6%となりました。(図④)
【図④】Q:総合的にみて、現在のあなたの生活の満足度は次のどれにあてはまると思いますか。
対象:全回答者 791人 (単一回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202105104668-O5-E51VBH9N】
現在の生活満足度を世代別にみると、10代から30代の一般の方で「非常に良い」と回答した割合は8.0%だったのに対し、 同じ世代の「寛解期」のIBD患者さんでは16.3%と、2倍の開きがありました。この結果から、適切な治療方法によって症状をコントロールすることが、これからの社会を支える世代を含めたIBD患者さんの生活満足度の向上につながると考えられます。(図④)
【図④】Q:総合的にみて、現在のあなたの生活の満足度は次のどれにあてはまると思いますか。
対象:10代~30代の回答者 393人 (単一回答)【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202105104668-O6-IPzXTZ2S】
さらに、現在の生活の満足度をより詳細に、健康、社会生活(仕事、学校、勉強など)、睡眠、収入、人間関係などの10項目毎に計り「ウェルビーイングスコア(p.5参照)」として、一般の方とIBD患者さんを比較しました。その結果、睡眠、社会生活、意欲、収入、恋愛の5項目で、症状が落ち着いている「寛解期」のIBD患者さんのスコアが高い結果を示しました。(図⑤)
これらの結果から、適切な治療方法によってIBDの症状をコントロールすることが、前向きな気持ちを生み出し生活満足度の向上につながると考えられます。
【図⑤】Q: あなたの現在の生活における満足度に関する各項目を評価するとしたら、以下のそれぞれは10点満点中何点になりますか。それぞれ1点を最低点、10点を最高点としてあてはまるものを1つお選びください。
対象:全回答者 791人(単一回答)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202105104668-O7-n66k0M12】
※ウェルビーイングスコアとは
現在の生活の満足度を尋ねる本アンケート調査を実施・分析するにあたって、一般の方とIBD患者さんを対象に「心身共に健全な状態」を計測、数値化するためにアッヴィが独自に作成したものです。現在の生活における満足度について、1点を最低点、10点を最高点とした10点満点で計測します。評価対象は生活全体、また生活に関する10項目(健康、食生活、睡眠の質/時間、社会生活(仕事、学校、勉強など)、意欲(前向きな気持ち、やる気)、収入/経済状況、住まい、家庭/家族との関わり、恋愛、交友関係・人付き合い(家族や恋人以外))です。
本調査を監修いただいた、札幌医科大学医学部 消化器内科学講座 教授 仲瀬裕志(なかせ・ひろし)先生は、次のように述べています。「IBDは、下痢や腹痛によるトイレの回数の急増や、食事の制限など患者さんの生活に様々な影響があります。それにより、IBD患者さんは行動範囲、対人関係、心理面など様々な面で生活の質の低下が指摘されています。IBDの発症は、これから社会で活躍する世代である10-20代で多く報告されていますが、現時点では完治につながる治療法がなく、患者さんの人生を通じての影響がとても大きい指定難病です。
しかし、今回の調査結果からは、症状が落ち着いている寛解期のIBD患者さんはウェルビーイングスコアが高く、身体的、精神的、また社会的にも良好な状態であることがうかがえます。このことから、適切な治療によって症状がコントロールでき寛解状態が維持できれば、難病であってもIBD患者さんは仕事や社会との関わりを持つことができ、積極的に活躍できると推測されます。
近年、治療の進歩により長期的に症状を抑える、疾患コントロールが可能となり、患者さんの生活の質が改善できるようになりました。治療の進展と同時に、社会がIBDについて理解することで、IBD患者さんの社会との関わりが進む結果、患者さんのウェルビーイングが向上し、心身共に良い状態を保ち続けることができる、一人ひとりの人生が豊かな社会の実現をめざしていきたいと思います」
【調査概要】
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M102977/202105104668/_prw_PT1fl_9skK7j9G.png】
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。患者さん一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、神経疾患、アイケア、ウイルス、ウイメンズヘルス、消化器疾患、さらにアラガンエステティクスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Twitterアカウント@abbvie、Facebook、LinkedInやInstagramでも情報を公開しています。
日本においては、1,300人を超える社員が、医療用医薬品の開発、輸入、製造販売に従事しています。自己免疫疾患、新生児、肝疾患、神経疾患、がんの各領域を中心に、患者さんの生活に大きく貢献できることを願っています。詳しくは、www.abbvie.co.jpをご覧ください。
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