本記事は、ウェルスナビチャンネルの動画「長期投資は、○○に従わないことが大切」の内容をもとに作成しています。
資産運用の王道である「長期・積立・分散」。この中で、「分散」投資が一番難しいと回答される方が一定数いますが、実は同じくらい難しいのが「長期」投資です。今回は、長期的に投資を続けるためのポイントについてご紹介します。
利益確定のために出金したお金はどうする？
資産運用を始めたばかりの時期は、リターンがマイナスとプラスを行き来する、不安定な状況が続くことが多くあります。評価額がマイナスからプラスに転じると、「今のうちに出金して利益を確定させたい」と思う方もいるでしょう。
利益確定のために出金を行うと、資産は現金として手元に戻ります。しかし、資産運用に回していたお金は生活費などすぐに使うお金ではなく、将来使うお金として確保していた資産だと思います。そのため、タイミングに応じて再び投資をする可能性が高いのではないでしょうか。
投資を再開するタイミングを見極めるのは難しい
仮に、相場が下落したところで再投資をすれば、理論上はリターンを大きくすることができます。一方で、予想に反して相場が上昇を続けると、運用を続けていれば得られたリターンを逃してしまうことになります。
例えば、コロナ・ショックでは、株価がショック前の水準まで回復した直後に、一定割合の方が運用を中断しました。しかし、その後も株価は上昇し続けたため、資産を売却された一定割合の方が高値で再投資をすることになりました。
淡々と続けていれば得られたはずのリターンを、逃してしまうことになり、「売らなければよかった」と後悔した方もいたはずです。相場の動きを予測することはプロでも難しいといわれています。だからこそ、相場の動きにあわせて行動を変えるのではなく、淡々と資産運用を続けることが大切です。
人は得より損に敏感
仮に、相場の動きが分かっていても、的確な判断ができるとは限りません。なぜなら人の判断は直感に左右されやすいからです。
1つの例をご紹介します。
Aさんは株価が高い時期から投資を始め、Bさんは株価が下がり切った時期から投資を始めました。年間で同じ120万円を毎月積み立てた結果、より資産を増やしたのはAさんでした。Aさんは株価が下がる局面でも積立を続けたことで、安く多く買えたため、リターンが高くなりました。しかし、直感的にBさんの方がリターンが高そう、と思われた方が多いのではないでしょうか。
私たちは損失を極端に嫌うため、株価が下がる局面をできる限り避けたいと思ってしまいます。
行動経済学の研究によると、同じ金額であれば、「損をすること」による感情の揺れが、「得をすること」による感情の揺れの約2倍になるそうです。
ＡさんよりもBさんの資産運用を好ましく感じるのはごく自然なことです。ただし、資産を増やすという観点からは、自然な感情に従うことが正解とは限りません。
まとめ：長期投資は「直感」に従わないことが大切
過去の例からは、損失を避けようと資産運用を中断してしまうと、淡々と運用を続けていれば得られたリターンを逃してしまうこともあります。長期投資では、一時的にリターンがマイナスになることもありますが、短期で成果が出ないことは必ずしも失敗ではありません。
あらかじめ決めた方針で淡々と運用し続け、長い目でリターンを考えていくことが、長期投資を成功させるカギになります。
