年金制度は、納付した保険料に基づいて将来受け取る年金額が決定しますが、離職等の理由によって一時的に保険料を納付することが困難なケースも想定されます。
そのような場合には保険料を後払い(追納と呼ぶ)制度があります。
今回は年金制度における追納について解説します。
追納とは?
国民年金において制度として存在するもので、老齢基礎年金の年金額を計算するにあたっては、保険料の滞納期間が反映されないのはもちろんですが、保険料の免除や学生納付特例等の承認を受けた期間についても、保険料を全額納付した場合と比べて、年金額は低額になります。
追納することで、老齢基礎年金の年金額を増やすことができます。
追納保険料は社会保険料社控除の対象となり、年末調整や確定申告時に社保険料控除によって所得税や住民税の軽減も図れるので、副次的なメリットもあります。
納付猶予期間や学生納付特例期間は「年金の受給資格期間」としては計算されますが、年金額には反映されません。
保険料免除の対象
収入の減少、失業等によって国民年金の保険料を納めることが経済的に難しい方です。
学生納付特例制度を受けている方
生活保護の生活扶助を受けている方
障害年金を受けている方
は対象とはなりません。
免除は自動的に免除されることはありませんので、自身の生活環境が著しく変化した場合は該当するか否かを年金事務所に相談することが重要です。
特に前年の所得も判断材料となることや、免除にも全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があり、他にも納付猶予制度という制度もありますので、複雑な制度に部類されると考えられます。
追納しない場合は?
将来受け取れる老齢基礎年金が低額のままとなります。追納は、例えば確定申告のように必ずしなければならないものではありません。
あくまで承認を受けて後払いできる制度ゆえに強制ではありません。
追納は無限にできるわけではないために、おさえておくべき論点です。
申請先は、年金事務所で可能です。年金事務所は全国どこでも同じ機能を有していますが、時期や地域によっても混雑状況が異なる為、事前の確認が望まれます。
納付方法
申請書を提出後、日本年金機構より専用の納付書が届きますので、当該納付書を活用いただき保険料を納付する運びとなります。
派生論点として、「国民年金の保険料」はいくつかの納付方法があり、申請書を提出した後、日本年金機構から納付書が届きます。
国民年金保険料の支払い方法としては次の選択肢があります。
・金融機関や郵便局での納付
・コンビニエンスストアでの納付
・電子納付(Pay-easy)での納付
・スマートフォンアプリでの納付
老齢基礎年金を受け取ることができる方については既に年金額が決定していることもあり、追納することはできません。
注意事項
追納できるのはあくまで追納が承認された月10年以内の期間に限定されます。よって、過去の単なる滞納等については追納の対象になりません。
免除等を受けた期間のうち原則として古い期間の分から収めていく必要があります。
免除の期間や納付猶予、学生納付特例期間など複数の期間がある場合には、年金事務所に相談をするのが有用です。
3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。そのため、早めの追納が有用です。
追納制度は老後の年金額を増額させる手段の一つであるだけでなく、税法上も一定のメリットがあります。
老後の年金は自身が亡くなる月まで支給対象であるため、もし、免除等を受けた期間がある場合は十分検討に値する制度です。
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