国民年金制度には原則として3つの被保険者の種別があります。
保険料の納付が不要な種別もあれば、毎月一定額を納付しなければならない種別もあり、将来受給できる年金額も様々です。今回は国民年金制度上に存在する被保険者の種別について解説します。
3つの種別とは?
(1) 国民年金第1号被保険者
自営業者やフリーランサーが加入するこの種別は、原則として、その月の保険料を翌月末日までに納めなければなりません。
保険料は全国どこに住んでいても同じ金額であるため、地域によって得失は生じません。この種別の特徴としては、将来の年金額が低額であることです。
理由として、制度上、国民年金だけにしか加入できていない状態であるため、当然、国民年金から支給される老齢基礎年金のみが将来の年金額ということです。
もちろん、不動産収入や他の定期的な収入源があれば話は別ですが、そのような定期的な収入源が全くない場合は老齢基礎年金が主たる収入となるでしょう。
そのような国民年金第一号被保険者の選択肢としては次の制度があります。
付加年金
これは国民年金第1号被保険者だけが加入できる制度であり、保険料は毎月定額の400円です。
当該保険料納めることによって年金額としては加入数× 200円が老齢基礎年金と一緒に受給することができるため、いわゆる2年で元が取れる年金とも言われています。
国民年金基金
他年金同様に、国民年金第1号被保険者に限って加入できる制度であり、いわゆる老齢基礎年金の上乗せにあたる給付制度です。保険料は付加年金とは異なり、一律ではなく、また、付加年金と国民年金基金は同時に両方に加入することができず、選択制となります。
(2) 国民年金第2号被保険者
いわゆる厚生年金への加入者のことを指しており、すなわち、国民年金第2号被保険者は、厚生年金の加入者ということになります。
将来受給できる年金についても、国民年金第1号被保険者よりも当然多くなります。理由として国民年金第2号被保険者は国民年金と厚生年金の両方に加入していることとなるためです。
具体的には、65歳から国民年金からと厚生年金からの両方から年金の受給ができるようになると言うことです。よって、国民年金第2号被保険者は付加年金、国民年金基金には加入することはできません。
(3) 国民年金第3号被保険者
国民年金第2号被保険者の被扶養配偶者です。
あくまで国民年金第2号被保険者の被扶養配偶者であるため、扶養親族であっても、国民年金第2号被保険者から見た親や子供は国民年金第3号被保険者にはなりません。
この種別の特徴としては、国民年金第2号被保険者の保険料納付のみで、制度上65歳から貿易基礎年金が給付されることとなります。
また、健康保険制度においても、国民年金第2号被保険者の健康保険料の納付のみを持って被保険者証が交付され、医療機関でも国民年金第2号被保険者と同様に原則として3割負担で受診することが可能です。
年金額としては、国民年金3号被保険者のみであった場合には、65歳から老齢基礎年金のみが給付されることがあるため、国民年金第1号被保険者と同様に給付される年金は、老齢基礎年金のみであるため、年金額が低額であることです。
各種別に共通する補填策
もちろん国民年金第2号被保険者であっても、安定した老後生活を送りたいと言うニーズは考えられますし、特に第1号被保険者や第3号被保険者であれば、第2号被保険者よりもより検討する必要性は高いものと考えられます。
そこで、どの種別でも、選択可能な上乗せ給付としてはiDeCoが挙げられます。
iDeCoとして納付できる保険料については、国民年金第1号被保険者が最も多く納付できるように制度設計されています。
長い職業生活において、現在は国民年金第1号被保険者であったとしても、転職によって年金第2号被保険者や一時的に国民年金第3号被保険者になると言うことも考えられます。
そのような場合であっても、iDeCoは変更の手続きをすることによって継続することが可能ですので、種別の変更があったからといって、これまで納付した保険料が全て無駄になると言う事はありません。
また、iDeCoは第3号被保険者であっても、保険料を納付する事は可能です。
注意点としては、第2号被保険者が年末調整や確定申告によって、第3号被保険者が納めるべき保険料を代わりに納付したとしても、当該保険料を控除の対象にすることはできません。
なぜなら、当該保険料は本人が納付すべきものであり、この点は国民健康保険料や国民年金保険料とは異なっている点であるため、注意が必要です。
活用できる制度は活用しましょう
雇用の流動化やさまざまな働き方がクローズアップされており、一生涯同じ種別で働き続けると言うケースは多くはないでしょう。
よって年金定期便等を通じて、将来の年金受給額を把握し、活用できる制度を活用してより充実した老後の生活を変えるような準備を進めることが重要です。
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