ミクニ Research Memo(4):2027年3月期は2期連続の増収増益の見通し(1)
■ミクニ<7247>の今後の見通し
1. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績は、売上高で前期比6.4%増の110,000百万円、営業利益で同2.8%増の4,300百万円、経常利益で同4.8%増の3,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同42.0%増の1,700百万円と2期連続の増収増益となる見通しである。特別損失を見込んでいないことから、親会社株主に帰属する当期純利益の増益率は、営業利益及び経常利益を上回る見込みである(2026年3月期は特別損失335百万円を計上)。なお、利益増減要因は開示されていないが、中東情勢など不透明要因が残るなか、コストダウンや数量・ミックスの改善により、労務費及び経費の増加を吸収して増益を見込んでいる。
2. 事業セグメント別見通し
事業セグメント別に見ると、商社事業は前期実績が高水準であった影響から減益を想定する一方、モビリティ事業はインド拠点が引き続きけん引役となり増益、ガステクノ事業は実施した諸施策の効果発現により損失縮小を想定している。
(1) モビリティ事業
モビリティ事業の売上高は前期比8.4%増の92,900百万円、営業利益は同3.9%増の2,840百万円を予想している。インド拠点が引き続きけん引役となり、業績が堅調に推移することを想定している。
(2) ガステクノ事業
ガステクノ事業の売上高は前期比9.7%減の4,500百万円、営業損益は同240百万円改善して100百万円の損失を予想している。これまでに実施した諸施策の効果発現により、営業損失が縮小することを想定している。
(3) 商社事業
商社事業の売上高は前期比1.1%減の10,100百万円、営業利益は同14.0%減の1,380百万円を計画している。航空機部品及び芝管理機械の需要は堅調とみられるものの、前期実績が高水準であった反動により減収減益を想定している。
(4) その他事業
その他事業の売上高は前期比横ばいの2,500百万円、営業利益は同0.6%減の180百万円を予想している。
競争力強化と成長戦略により、2034年3月期にROIC7%以上を目指す
3. 長期経営ビジョンとその施策
2034年3月期を最終年度とする長期経営ビジョン「VISION 2033」(以下、同ビジョン)では「企業特性や組織能力を活かした事業展開を行い、取引先・地域・株主・社員等の全てのステークホルダーから信頼され、安心して任せていただける企業になる」ことを目指している。同ビジョンのもと、「競争力の強化」と「企業特性を活かせる成長分野への挑戦」の2つを基本方針とし、2034年3月期にEBITDAマージン13%以上、途中年度となる2028年3月期にEBITDAマージン10%以上を達成することを定量目標として掲げている。
なお、中期経営計画は同ビジョンを実現するための実行計画と位置付けられており、同ビジョンの対象期間となる2025年3月期から2034年3月期までの10年間を1つの期間として捉えつつ、具体的な実行計画を4年間の中期経営計画として策定している。事業環境の変化が予想されることから2年ごとに中期経営計画を見直すこととして、軌道修正を図りながら同ビジョンの実現を目指している。同社では2026年度には同年度を初年度とする「中期経営計画Ver.2」(以下、中期経営計画)を策定し、成長基盤を確立する方針のもと、財務基盤の強化、「ミクニならではのビジネスモデル」の再構築、人的資本の充実及び環境対応の推進を重要課題として挙げている。
重要課題のうち、財務基盤の強化については、国内金利の上昇が続くなか、成長投資とのバランスを図ることが従来以上に重要になっている。このため、同社では投下資本の効率化、運転資金の圧縮及び有利子負債の削減を進め、財務基盤の強化と資金創出力の向上に取り組む方針である。こうした方針のもと、中期経営計画において、資本コストを上回るリターンを継続的に創出し、企業価値向上を図る観点から、主要な成果指標を従来のEBITDAマージンからROICに変更し、2033年度にはWACC(加重平均資本コスト)を上回るROIC7%水準の達成を目指している(2025年度実績は約3%)。背景には、東証がプライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請するなど、世の中の大きな流れの変化がある。なお、EBITDAマージンについては、成果指標の1つとして、引き続きモニタリングしていく方針である。
重要課題のうち、「ミクニならではのビジネスモデル」の再構築については、「総合商品計画」の推進、非モビリティ事業(ガステクノ事業、商社事業等)の成長による事業ポートフォリオの強化を重点事項として掲げている。主力のモビリティ事業では、差別化、効率化、カスタマイゼーションを中心とする事業戦略及びそれを実現するための機能戦略を策定し、これらに基づく実行計画となる総合商品計画を全社横断で推進している。総合商品計画は、自社の強みや独自性を軸としたマスタープランであり、要素技術(機能開発、設計/製造技術)を蓄積して、失敗を恐れずに、価値を高める商品化・システム化にチャレンジすることを目指している。同計画の起点となる最も重要な戦略の1つが技術戦略であり、段階的ステップを踏みながら進めていく計画である。
ステップ1は、自社の持つ要素技術を活用して「熱エネルギーを自由自在にコントロールする技術」のシステムのベースとなる取り組みのことであり、その中心となるのが、MsMV(Mikuni smart Multi Valve)という電気自動車のバッテリー等を最適温度に保つための新モジュールの開発になる。既に開発に着手しており、自社が保有する流体圧力技術と電子制御技術の2つの要素技術を併用したものである。ステップ2では、保有する要素技術を用いる製品を拡大させて、システムにおけるカバー範囲を広げていくことになり、圧力制御技術に新たな媒体を加えて製品化する取り組みが想定される。ステップ3では、さらなる新要素技術の探索・獲得を進めつつ、そうした技術を活用した製品の創出により、競合他社の追随を許さない独自性の高いシステムに進化させることが想定される。MsMVを例とすれば、現状のステップ1で冷却水制御を実施し、ステップ2ではエアコン用冷媒との連携を視野に入れ、ステップ3ではさらなる新技術と熱マネジメント領域への展開を構想する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 古川 聖治)
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