飛島HD Research Memo(4):2027年3月期は15.8%の営業増益を予想
■飛島ホールディングス<256A>の今後の見通し
2027年3月期の業績は、売上高150,000百万円(前期比7.7%増)、営業利益8,000百万円(同15.8%増)、経常利益7,000百万円(同17.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,800百万円(同0.9%減)を予想している。親会社株主に帰属する当期純利益が微減となるのは、前期に計上した新規連結に伴う特別利益(負ののれん発生益)が消失する影響による。
セグメント別の業績予想は開示されていないものの、土木及び建築事業をはじめとする建設分野における収益重視の選別受注や、コストマネジメントの徹底による利益率の改善、さらにグロース事業等におけるグループシナジーの着実な創出などにより営業増益を目指す。
■中期経営計画の概要と進捗
中期経営計画はおおむね順調。2028年3月期にROE10.0%以上を目指す
1. 中長期経営ビジョン「未来を革新するStory」の主旨と概要
同社は2024年10月1日付で、単独株式移転により飛島建設の完全親会社として設立した。これに伴い、飛島建設が2023年11月13日付で公表した中長期経営ビジョンを具体化した、新経営計画を含む「未来を革新するStory」を推進している。
同計画は、従来のグループ像から脱却し、新たな事業体制への変革を実践するためのものである。その一環となるグループビジョンでは、創業の精神を時代及び社会の変化に合わせて再定義した。培われた強みを生かしつつ、未来の産業振興と発展を支える「なくてはならない企業」であり続けることを目的としている。
さらに、この変革への道筋を示すプランとして「Innovate the future plan」を発表した。同プランは未来に向けた革新を意識し、従来の枠組みや手法にとらわれることなく、新たな価値や可能性を創造していく変革の過程を明示している。
あわせて、グループの企業価値向上に向けた具体的なアクションプラン及び定量的目標を示すため、2028年3月期を最終年度とする「中期経営計画(~2027)」を策定した。
2. 成長戦略「Innovate the future plan」の概要
同プランが掲げる「短期」「バトンゾーン」「トランスフォーメーション」という3つのプロセスにおいて、主要各事業は以下のステップに沿って変革を推進している。
主力の建設事業においては、短期的にDXによる生産性向上やデジタル技術を活用した業務見直しによる施工プロセスの省力化を推進する。続くバトンゾーンでは循環型社会への移行を見据えたリニューアル市場への対応強化及びコスト競争力向上を図り、最終的には「インフラアンチエイジング事業」へのトランスフォーメーションを目指す。
グロース事業においては、短期的に専門事業領域の拡充を進め、バトンゾーンでは特色ある技術及び独自のマーケットを持つ企業、特にインフラアンチエイジング技術を持つ企業との連携(技術開発、人財育成、官民連携)や新領域・技術開発の拡充を図り、事業体制の変革を確固たるものにする。
イノベーション事業においては、短期的に建設DXサポート事業を拡大し、バトンゾーンでは地域建設業に向けた経営バリューアップ支援サービスを推進する。最終的には「建設リスキリング事業」へのトランスフォーメーションを遂げる計画である。
同社グループは、既存事業である建設事業における足元の課題解決によって収益性の向上を推進しつつ、グロース事業及びイノベーション事業を次世代の中核候補となる育成領域と位置付け、持続的な成長に向けた投資を加速する。
3. 「中期経営計画(~2027)」の進捗
(1) 定量的目標
最終年度である2028年3月期の目標は、売上高1,600億円、営業利益96億円、経常利益81億円、当期純利益55億円、そして資本効率の指標としてROE(自己資本利益率)10.0%以上を掲げている。これに対し、2027年3月期の計画は売上高1,500億円、営業利益80億円と、最終目標に向けておおむね計画どおりに進捗している。
事業ポートフォリオの構築においては、200億円の成長戦略投資を実行し、2028年3月期に主力の建設事業で1,200億円、グロース及びイノベーション事業で400億円(売上高比率25%)の達成を目指す。2026年3月期の売上高1,392億円のうちグロース及びイノベーション事業が274億円(同約20%)まで拡大しており、ROEも2025年3月期の7.5%から9.3%へ上昇するなど、収益性と資本効率の双方が順調な推移を見せている。
また、株主還元についても反動減なく着実な積み上げを図っており、配当金は2025年3月期実績の90.0円から2026年3月期実績は105.0円、2027年3月期予想は110.0円へと増配基調を維持している。
(2) 企業価値向上へのアクションプラン
「中期経営計画(~2027)」におけるアクションプランの実践にあたっては、ホールディング機能を活用し、資本効率、事業成長、サステナビリティへの適合という3つの視点で事業ポートフォリオの不断の見直しを行い、企業価値の向上と持続的成長の実現を目指す。
具体的な戦略として、「収益基盤の拡充」「資本効率の向上」「サプライチェーンの再構築」「企業文化の変革と人財戦略の再構築」「ガバナンスの強化」「安定的な株主還元」などを掲げており、各プランに紐づくKPI(重要業績評価指標)の進捗状況はおおむね順調に推移している。
2028年3月期の最終目標に向けた足元の動向をみると、まず「収益基盤の拡充」を映す売上高に占めるリニューアル及び専門事業領域の割合は2026年3月期実績で23%となり、目標の40%への拡大を進めている。ポートフォリオ変革のカギを握るグロース事業等の売上高割合も2026年3月期実績で20%となり、目標の25%へ向けて着実に上昇している。資本効率の重要指標であるROEは2026年3月期実績で9.3%を確保し、目標である10.0%以上の達成を見込む。
さらに、人財戦略の成果を示すワークエンゲージメント偏差値は2026年3月期の50.8から目標の51以上へ、安定的な株主還元の指標となるDOE(株主資本配当率)は2026年3月期の3.8%から目標の4.0%以上に向けた施策をそれぞれ実行している。
■株主還元策
2026年3月期は年間105.0円へ増配。2027年3月期も増配を計画
同社は企業価値向上のための成長投資、及び財務健全性とのバランスを勘案し、安定的な株主還元を行うことを基本方針としている。この方針に基づき、1株当たり年間配当金は2025年3月期実績の90.0円から、2026年3月期は105.0円へと拡大し、2027年3月期についても110.0円への増配を計画している。
さらに、「中期経営計画(〜2027)」の最終年度にあたる2028年3月期には、KPIとして掲げるDOE4.0%以上の達成を目標とする。同社は中期経営計画期間中における安定配当の積み上げを意識しており、今後の業績進捗に伴うさらなる株主還元の拡充が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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