川辺 Research Memo(5):次期中期経営計画では「価格転嫁」から「価値転嫁」へのシフトを示す
1. 「中期経営計画2023NEXT」
川辺<8123>は2023年6月に「中期経営計画2023NEXT」(2024年3月期~2026年3月期)を策定した。同計画を「次の100年に向けた未来作りの一歩」と位置付け、3年後の目指すべき姿(スローガン)に「すべての中心は心。心を動かす企業になる。」を掲げた。定量目標は2026年3月期売上高14,550百万円、経常利益300百万円、配当性向40%以上としている。定量目標の達成状況として、売上高については目標値に届かない見込みだが、経常利益については目標値300百万円に対して、既に2024年3月期で355百万円と前倒しで達成済みで、2025年3月期が417百万円、2026年3月期も379百万円予想としている。進捗率はおおむね順調であり、収益力の向上が進んでいると弊社では評価している。
基本戦略としては、親会社の一広を含めた同社グループの強みである「川上の製造から川下の販売までカバーする垂直型のサプライチェーン」を生かし、新規販路の開拓、子会社レインボーワールドのプリント工場・MADE IN JAPANのプリント技術を活用した「モノづくり」と「新たなオリジナルブランド」の強化、ブランド力向上と顧客満足度向上、生産性向上やコスト削減による収益確保、人材育成、サステナビリティ事業への取り組みを強化する。また3ヶ年を3つのフェーズに分け、1年目は「再生フェーズ」として基本事業再生と人材育成、2年目は「展開フェーズ」としてオリジナル商品開発と新規販路開拓の強化を進めた。そして最終年度となる3年目は「結実フェーズ」として次の計画に向けた準備に取り組む方針としている。
2. 次期中期経営計画の基本方針
次期中期経営計画(2026年5月頃に公表予定)については、単に人件費や原材料費の高騰に対応した「価格転嫁」ではなく、同社の強みである「川上の製造から川下の販売までカバーする垂直型のサプライチェーン」を生かし、消費者が価値を感じる商材を企画・開発・製造・販売して付加価値向上につながる「価値転嫁」へビジネスモデルを転換し、顧客創造・収益拡大・企業価値向上へつなげる基本方針を示している。
3. 弊社の視点
同社は「中期経営計画2023NEXT」で掲げた経常利益目標を前倒しで達成した。そしてコロナ禍以前から収益性改善が課題となっていたフレグランス事業も2024年3月期以降に黒字基調となった。この収益性改善は、同社グループの強みである「垂直型のサプライチェーン」を生かす各種取り組みの成果と弊社では評価している。同社の岡野将之(おかの まさゆき)代表取締役社長は「現中期経営計画の進捗状況はおおむね順調と考えている。次期中期経営計画では、不透明な事業環境の下でも持続的な収益力向上を実現するため、この3期の成果も踏まえて「価格転嫁」から「価値転嫁」へのビジネスモデル転換を進めていきたい」と意気込みを語った。このビジネスモデル転換によって同社が新たな成長ステージに向かう可能性があると弊社では考えている。
■株主還元策
2026年3月期の予想配当性向は40.4%。スタンダード市場上場維持基準に適合
配当政策は経営基盤や財務体質の強化を図りつつ、業績に裏付けられた成果配分を行うことを基本方針とし、利益水準や配当性向を考慮して決定するとしている。この基本方針に基づいて、2025年3月期の配当は、前期に実施した創業100周年記念配当30.00円を除いた普通配当ベースでは前期と同額の50.00円であり、その配当性向は22.2%となった。2026年3月期の配当予想は前期と同額の50.00円(期末一括、普通配当50.00円)としている。予想配当性向は40.4%となり、「中期経営計画2023NEXT」で掲げた2026年3月期の配当性向40%以上目標を達成する見込みだ。
株主優待制度については毎年3月末時点の保有株主を対象として実施している。保有株式数に応じて自社製品(100株以上は小売値2,000円相当、300株以上は5,000円相当、500株以上は7,000円相当、1,000株以上は10,000円相当)を贈呈する。
なお、同社は2022年4月に実施された東証の市場区分見直しでスタンダード市場を選択し、2021年12月22日付でスタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を作成・開示していたが、2025年3月31日時点でスタンダード市場の上場維持基準に適合した。今後も上場維持基準の適合を維持すべく業績の向上を図るとともに、株主還元策やIR活動も強化して持続的な企業価値の向上に取り組む。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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