アイナボHD Research Memo(5):2026年9月期は期初予想を据え置き、前期比17.1%の営業減益を予想
■今後の見通し
アイナボホールディングス<7539>の2026年9月期の業績は、売上高で98,500百万円(前期比6.7%増)、営業利益で2,100百万円(同17.1%減)、経常利益で2,600百万円(同8.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益で1,600百万円(同4.7%減)と期初予想を据え置いている。売上高は、前期に子会社化した上埜タイルの通期寄与などにより、増収を確保する見通しである。一方で利益面は、従業員の待遇改善に伴う人件費の増加を計画していること、前期に堅調であった好採算工事の売上比率低下を見込んでいることから、減益予想となっている。しかし上期が比較的堅調であったことなどを考慮すれば、通期予想が上方修正される可能性は十分に考えられる。
また子会社別の業績目標(予算)は、主力のアベルコは売上高62,600百万円(前期比1.3%増)、営業利益1,958百万円(同13.6%減)、インテルグローの売上高は14,194百万円(同4.5%増)、営業利益は258百万円(同45.8%増)、温調技研の売上高は2,450百万円(同4.2%増)、営業利益は150百万円(同58.2%減)、アベルコイマムラの売上高は5,647百万円(同64.4%増)、営業利益は91百万円(同13倍)、アルティスの売上高は590百万円(同9.9%減)、営業利益は0百万円(前期は24百万円の利益)、マニックスの売上高は10,000百万円(同4.7%増)、営業利益は100百万円(同38.9%増)、マリストの売上高は1,403百万円(同27.1%増)、営業損失は6百万円(前期は営業損失82百万円)、ミックの売上高は1,350百万円(同7.6%増)、営業利益は47百万円(同35.6%減)、上埜タイルの売上高は1,620百万円(前期比較なし)、営業利益は90百万円(同)を見込んでいる。
主力のアベルコが厳しい住宅市場環境を見込むなか、増収を確保するものの減益を予想しており、対照的にインテルグローは増収増益を維持する見通しである。温調技研は、前期の大幅伸長に対する反動もあり、売上高は伸びるものの、営業減益を見込んでいる。
アベルコイマムラについては、アベルコ大阪支店との組織統合効果が発現し、増収増益を予想している。一方でアルティス及びミックの2社は、前期に高収益物件の完工や利益率の高い販売案件が集中した反動を受け、2026年9月期は一転して減益となる見通しである。マニックス及びマリストに関しては、前期実績からの緩やかな業績改善を見込んでいる。
■中期経営計画
最終年度2028年9月期に営業利益31億円を目指す
1. 第5次中期経営計画の概要
同社は、新たに第5次中期経営計画(2026年9月期~2028年9月期)を推進している。この計画では、「事業基盤の強化」と「収益性の改善」を最優先課題とし、ビジネスモデルの変革、利益構造の再構築、DXの推進、人材への投資を重点施策として掲げている。M&Aや物流・IT基盤の整備を通じてグループ間の相乗効果を早期に生み出し、資本効率を重視した経営で株主還元の充実も図る。
(1) 定量的目標
定量的目標として、最終年度に売上高1,120億円、営業利益31億円、営業利益率2.8%、ROE8%、配当性向40%、 純資産配当率(DOE)2.6%を掲げている。
(2) 経営戦略
重要な経営戦略における具体的な各政策は以下のとおりである。
資本政策においては資本効率を高めるためROE8%を目標に掲げる。株主還元としては配当性向40%、純資産配当率(DOE)2.6%を目安とし、業績に応じたさらなる還元も検討する。投資政策においては、中長期的な成長に向けてM&Aや設備への戦略的投資を行うほか、施工研修センターや物流拠点を活用した人材への投資により工事と物流の品質向上を図る。財務政策では決算業務のスピードアップを可能にする体制を構築し、銀行借入や資本、社債などを組み合わせてグループ全体の資金調達の効率性を高める。ガバナンスの強化に向けては、リスクの把握から報告、検証に至る管理プロセスを確立して問題の早期発見と対応を徹底するとともに、内部通報制度の周知と通報者保護を強化して公正な企業風土を醸成する。DX及びIT推進においては、グループ全体のITシステムを最適化するほか、生成AIなどの先端技術を導入して業務の自動化や省力化を進め、生産性と競争力を高める。人材投資については多様な人材の確保と育成に注力し、適材適所の人員配置とナレッジの共有を進めることで、グループ全体の現場力を底上げする計画だ。
2. 橋本総業ホールディングスとの経営統合を発表
橋本総業ホールディングスは「設備商品の流通とサービスを通じて、快適な暮らしを実現する」を基本理念に掲げ、管材類、衛生陶器類、及び空調機器等の卸売業を中核とする「設備のベストコーディネーター」として事業を展開している。
現在、住宅関連業界は新設住宅着工戸数の減少や職人不足の深刻化など経営環境が厳しさを増しており、将来的には人口減少に伴う市場縮小も見込まれる。一方で、リフォーム・リニューアル需要の拡大や環境・省エネ対応へのニーズは高まりを見せている。このような環境下、両社は互いの強みである「管材・設備流通」と「内外装・住宅設備領域における販売・施工機能」を融合し、商材・販路の補完関係を構築することが、住環境インフラにおける総合的な競争力強化に不可欠であるとの認識で一致した。強固な経営基盤と新たなビジネスモデルの構築が、両社の企業価値向上及びステークホルダーへの貢献に資すると判断し、合意に至った。
現時点で詳細は未発表であるものの、今後は両社で「統合準備委員会」を設置し、経営統合に向けた具体的な協議・検討を進める。その進捗内容によっては、同社が掲げる第5次中期経営計画が変更される可能性もあり、今後の動向が注視される。
■株主還元策
2026年9月期は年間26.0円配を予定、業績次第で増配も
同社は株主還元策として、基本的に配当性向30%を目安とする方針を掲げている。この方針に基づき、2025年9月期の年間配当は26.0円(配当性向35.9%)を実施した。2026年9月期においても、年間26.0円(中間期13.0円、期末13.0円、予想配当性向37.7%)の配当を予定している。今後の業績進捗が期首計画を上振れて推移するようであれば、さらなる増配が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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