アイシン Research Memo(4):2026年3月期第3四半期は、顧客の生産増を背景に34.8%の営業増益
1. 2026年3月期第3四半期の業績概要
(1) 損益状況
2026年3月期第3四半期の連結業績は、売上収益が3,769,158百万円(前年同期比4.6%増)、営業利益が156,338百万円(同34.8%増)、税引前利益が177,525百万円(同92.1%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益が107,375百万円(同115.7%増)と、増収・大幅増益となった。
売上収益は、円高の影響があったが得意先の車両生産台数及びパワートレインユニット販売台数等の増加により増収となった。損益面では、主に製品構成の変化(HEV向け増加等)によって売上総利益率が11.6%(前年同期は10.8%)へ改善した。販管費においては、人的投資などを継続したが固定費やその他費用を抑えたことから前年同期比0.3%減となった。この結果、営業利益は前年同期比34.8%増となった。さらに営業外損益で、前年同期に比べて金融費用(主に為替差損)が27,149百万円減少したこと、持分法による投資の売却損16,217百万円が消失したことなどから、税引前利益及び四半期利益の増益率はさらに高くなった。
営業利益の増減を分析すると、売上収益及び構成の変動で100億円増、為替変動で18億円減、原材料/輸送費の削減で120億円増、企業体質改善努力や構造改革効果で640億円増、人材や将来への投資で240億円減、関税の影響で198億円減であった。
財務基盤は安定、手元の現金及び預金は4,105億円と豊富。親会社所有者帰属持分比率は48.6%
(2) 財務状況
2026年3月期第3四半期末の流動資産は1,772,452百万円(前期末比57,544百万円減)となったが、主に、現金及び現金同等物の減少41,099百万円、営業債権及びその他の債権の減少70,692百万円、棚卸資産の増加47,089百万円による。非流動資産は2,600,369百万円(同145,765百万円増)となったが、主に、有形固定資産の減少2,309百万円、無形資産の増加1,192百万円、使用権資産の減少2,123百万円、その他の金融資産の増加149,774百万円による。
一方で、負債合計は1,965,267百万円(前期末比86,068百万円減)となったが、主に流動負債のうち、営業債務及びその他の債務の減少148,053百万円、社債及び借入金の増加6,998百万円、非流動負債のうち、社債及び借入金の減少4,930百万円、退職給付に係る負債の増加4,758百万円、繰延税金負債の増加50,860百万円による。資本合計は2,407,554百万円(同174,289百万円増)となったが、自己株式の減少6,756百万円、配当金支払いに伴う利益剰余金の減少18,203百万円などによる。この結果、2026年3月期第3四半期末の親会社所有者帰属持分比率は48.6%(前期末は46.1%)となった。
(3) キャッシュ・フローの状況
2026年3月期第3四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは269,060百万円の収入となった。主な収入科目は、税引前四半期利益177,525百万円、減価償却費197,247百万円、営業債権及びその他の債権の減少111,985百万円などで、主な支出科目は、棚卸資産の増加19,805百万円、営業債務及びその他の債務の減少131,269百万円、法人所得税の支払額41,949百万円などである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、174,883百万円の支出となったが、主に有形固定資産の取得による支出175,049百万円、無形資産の取得による支出13,319百万円、リース債権の回収による収入16,521百万円などによる。財務活動によるキャッシュ・フローは158,580百万円の支出となったが、主な支出は長短借入金の減少862百万円、リース負債の返済25,892百万円、自己株式の取得76,024百万円、配当金の支払額44,874百万円などである。この結果、現金及び現金同等物は41,099百万円の減少となり、2026年3月期第3四半期末残高は410,591百万円となった。
所在地別では日本と米国がけん引、得意先別ではトヨタ向けが好調
2. セグメント別状況
(1) 所在地別売上収益及び営業利益
所在地別売上収益では、日本が1,846,097百万円(前年同期比3.1%増)、北米が863,074百万円(同10.9%増)、欧州が201,887百万円(同3.8%減)、中国が443,519百万円(同1.9%減)、アジア他が414,578百万円(同11.5%増)となった。
所在地別営業利益は、日本が48,456百万円(前年同期比26.4%増)、北米が17,979百万円(同1,252.8%増)、欧州が4,931百万円(同111.7%増)、中国が30,801百万円(同9.2%増)、アジア他が53,282百万円(同13.2%増)と、各地域とも増益となった。
(2) 得意先別売上収益
得意先別売上収益では、自動車部品が36,765億円(前年同期比4.6%増)、エナジーソリューション関連他が925億円(同6.1%増)、となった。自動車部品のうち、トヨタグループ向けは26,354億円(同7.3%増)、OEM・その他が10,411億円(同1.7%減)であった。
さらにOEM・その他の内訳は、スズキが1,587億円(同14.3%増)、Stellantisが1,409億円(同15.2%減)、VW&Audiが1,127億円(同6.1%減)、ボルボが640億円(同8.2%減)、ホンダが583億円(同6.1%減)、三菱が561億円(10.7%増)、日産が489億円(同6.5%減)、吉利汽車が411億円(同3.9%減)、第一汽車が351億円(同2.7%減)、いすゞが327億円(同10.5%増)、その他OEMが2,926億円(同0.8%増)であった。
(3) 製品別売上収益
製品別売上収益では、自動車部品のうち、パワートレイン関連が20,201億円(前年同期比1.9%増)、走行安全関連が8,149億円(同9.9%増)、車体関連が7,225億円(同4.9%増)、LBS関連他が1,190億円(同17.2%増)であった。各製品ともに伸びているが、特にパワートレイン以外の製品の伸び率が高く、事業領域が広がっている点は注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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