日本創発G Research Memo(3):優良な技術・顧客・コンテンツ資産を積み上げるM&A戦略
3. M&A戦略
日本創発グループ<7814>はM&Aを活用して業容を拡大しているが規模の拡大だけをM&A戦略の目的としているわけではなく、デジタル化の進展など事業環境の変化に迅速に対応し、グループシナジーによって成長分野での高付加価値サービスの提供を推進するため、優良な技術・顧客・コンテンツ資産を積み上げることを目的としている。そして同社グループは伝統的な印刷製造技術のみならず、什器等のプロダクツを含む多様なデザイン力、3D-CAD・3D-CGを軸とする映像クリエイティブ力、立体音響、AR・VRを含むIT構築力などの高い専門技術を有し、クリエイティブサービスに係る企画、印刷、コンテンツ・プロダクツ制作、オンラインプロモーション、メディア配信、効果測定、運用改善コンサルティングなど多様なソリューションにより、クリエイティブサービスをトータルでカバーできる「創るチカラ」を強みとするプロフェッショナル・グループというユニークな企業体となっている。
新たにグループインしたスタジオアウトリガーはIPコンテンツに関するソリューションを展開している。横浜マテリアルはオリジナルのクリスタル記念品を製造・販売している。法人向け周年記念や社内表彰、個人向けお祝い記念品やペットメモリアルなどクリスタル記念品の老舗ブランドである。DNTIは最先端のデジタル技術を活用し、企業のDXやモダナイゼーション(シンプル化とDXの最適融合)を支援している。フジプラス(子会社のフジプラス・ワン及びトライワーク彦根を含む)は1923年創業以来の印刷業を中心として、クリエイティブ、印刷プロダクツ、デジタルコンテンツ、マーケティング分野など幅広いサービスを提供している。
シルキー・アクトはクリアファイルなどPET・PP素材を中心とした製品を製造する印刷会社で、イベントやライブ向けのグッズ提案にも注力している。自社一貫生産体制や大手広告代理店等からの直接受注などを強みとしている。トラストは卓上カレンダーやノベルティの企画・製造を展開し、すべての製品が特許・実用新案を取得するなど独自の商品開発力に強みを持っている。バークインスタイルが子会社化したウエストマネージメントは、国内在住・海外招聘の外国人モデルに特化したモデルマネジメント事業を展開している。
サンメックは、食品・化粧品用ラベルや工業製品用ラベルなどシール印刷という特殊なカテゴリーの印刷事業を展開している。鈴木松風堂は1893年に京都市で創業し、紙筒(紙管)と紙管状の円形パッケージ製造技術をベースとして、酒類・化粧品・菓子類などの包装資材や化粧箱等の製造を展開している。紋郎美術工房はFRP(繊維強化プラスチック)を利用し、テーマパークや博覧会施設の大型立体造形物・モニュメント、各種施設の建築装飾の設計・製作・施工など高度な芸術的要素を伴うニーズに対応した作品を提供している。建築資材用途の需要も増加している。
日本サンプルは1945年創業で、本物さながらの細部にこだわる技術力により、企業向けオーダーメイドでクオリティの高い食品サンプルの製造販売を行っている。特にチョコレートなどの小さなお菓子の商品に強みがある。また新和製作所(子会社のムサシパッケージを含む)は紙製パッケージやディスプレイに特化し、主にドラッグストアや各携帯ショップなど小売店頭の販促ツールや化粧箱等の製造を手掛けている。社内一貫体制によりワンストップで短納期・低コスト・高品質の製品を提供できる強みがある。
なお同社は、2021年12月期に兵庫県西宮市で最大規模を誇る小西印刷所を子会社化、2022年12月期に大阪市に本社を置くジャパンブロードキャストソリューションズを子会社化、奈良県を中心に事業展開する大光宣伝を子会社化、2023年12月期に中部エリアを地盤とする飯島製本を子会社化、2024年12月期に大阪府を地盤とするSakae Plus及びアイ・ディー・エーを子会社化、2025年12月期に大阪府を地盤とするフジプラスを子会社化、名古屋市に本社を置くトラストを子会社化するなど、首都圏以外におけるM&Aも積極化している。特に重点エリアを特定しているわけではないが、結果的に関東・中部・関西の各エリア内においてシナジー創出を高める体制が構築されつつある。
主要経営指標として営業利益ベースEBITDAを重視
4. 主要経営指標
同社はM&Aを活用しているため、のれん償却や金融費用などを考慮し、経営指標としてEBITDAを重視している。なお従来は経常利益ベースEBITDA(=経常利益+減価償却費+のれん償却額+金融費用)を重要指標としていたが、事業規模が拡大した持分法適用子会社の連結子会社化を進めたことに伴い、2024年12月期より営業利益ベースEBITDA(=営業利益+減価償却費+のれん償却額)に変更した。2025年12月期の営業利益ベースEBITDAは前期比15.5%減の5,322百万円、EBITDAマージンは同1.8ポイント低下して6.1%となった。原材料費の増加、人件費の増加、グループ企業間の合併再編(ロールアップ)に伴う関連費用などによって営業利益が同30.8%減益となり、営業利益ベースEBITDAも減益となった。
事業環境の変化に迅速に対応
5. リスク要因と課題・対策
同社が属するクリエイティブサービス業界において収益に影響を与える一般的なリスク要因としては、景気低迷による企業の販促投資抑制、デジタル化進展に伴う商業印刷物の減少、競合激化による受注条件の悪化、技術革新への対応遅れ、情報セキュリティ管理・システム障害、人材確保・育成、法的規制などがある。
こうしたリスク要因への対策として同社は、デジタル化の進展など事業環境の変化に迅速に対応し、事業資産の配分を適切に変更させることで競合優位性を維持している。成長分野においてグループシナジーによる高付加価値サービスの提供を推進するため、M&Aも活用して優良な技術・顧客・コンテンツ資産を積み上げながら、ITメディア セールスプロモーション分野やプロダクツ分野への業容拡大を推進するとともに、ニーズの変化に対応するため商材ポートフォリオ、人材ポートフォリオ、事業ポートフォリオの最適化を柔軟に進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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