ダイナパック Research Memo(4):包装材の多様なニーズに国内外で対応可能な点が強み
4. 事業の特徴と強み
同社の事業の特徴について見ると、段ボールの業界別売上構成比では、業界平均と比べて電気器具・機械器具の構成比がやや高い点が挙げられる。また、加工食品分野では主要株主でもあるカゴメ<2811>が主要顧客となっている。
その他にも同社は業界で初めて大型の段ボール専用デジタル印刷機を導入し(2016年)、段ボールを使った販促ツールの企画・制作を開始するなど新たな取り組みに積極的にチャレンジしている点も特徴と言える。デジタル印刷機の導入によって、高精細印刷、小ロット対応、短納期、バリアブル印刷(言語、デザインの違いなどの印刷分けが容易)、大判印刷などが可能となり、付加価値の向上につながっている。特に、小ロット・短納期対応が可能なため、新商品発売イベント関連ツールや展示会・イベントブースの什器などで実績を積み重ねており、業界での認知度も高く新たな商談獲得のためのドアノックツールとしての役割も担っている。
同社の強みは、第1に国内において中部エリアから東北エリアまでグループ会社もあわせて19の製造拠点を持つほか、海外でも東南アジア・中国あわせて8拠点を展開するなど国内外で事業基盤を確立している点が挙げられる。国内が低調だったとしても海外の成長を取り込むことで収益の拡大が可能である。
第2に、大ロットから中小ロット品まで対応可能な生産体制を構築している点が挙げられ、中小ロット品の受注獲得に際しては大手製紙メーカーグループに対する強みとなる。また、緩衝材の設計開発力の高さも強みとなる。家電製品等の工業用製品の段ボールでは配送時の衝撃を吸収するために緩衝材が用いられるが、いかに効率よく(材料費を少なく)衝撃を吸収する緩衝材を作れるかは、設計開発力にかかっている。同社は長年蓄積してきたノウハウをもとに効率の良い緩衝材の設計が可能であり、こうした点が家電メーカーなどから評価され、工業用製品向けの売上構成比が高い一因になっていると考えられる。
第3に、中小メーカーに対する強みとして、品質管理や環境対策など年々厳しくなる顧客要求に対応可能な経営体力を持つ点が挙げられる。品質管理面では、外観検査装置を製造ラインに実装することが求められているほか、食品メーカー向けでは防虫管理対策なども必須となる。また、環境対策への企業の意識が高まるなかで、温室効果ガス削減や資源リサイクルの取り組みを行っていること、FSC(R)認証※を取得していることなどを取引開始の必須要件とする企業が増加傾向にある。これらの体制を整備するには一定の投資が必要で、経営体力のない中小企業に対する優位点となる。
※ FSC(R)認証制度:森林の管理や伐採が、環境や地域社会に配慮されているかどうかを信頼できるシステムで評価認証し、その森林から生産された木材、木材製品(紙製品含む)に認証マークを付け、市場に流通させている制度。同社は認証を受けた原料を使用した包装資材を提供しており、国内のすべての事業拠点が認証されている。
第4に、同社グループは段ボールだけでなく印刷紙器や軟包装材など様々な包装材を手掛けており、包装材に関する顧客の多様なニーズにワンストップで対応可能な点もほかの段ボール専業メーカーにはない強みと言える。
■業績動向
2025年12月期はM&A効果や生産性の向上等により過去最高業績を更新
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の連結業績は、売上高で前期比7.3%増の67,083百万円、営業利益で同68.1%増の2,881百万円、経常利益で同44.1%増の3,557百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同6.6%増の3,178百万円となった。売上高は5期連続の増収、営業利益は2期ぶりの増益、経常利益は7期連続の増益となり、すべての項目で過去最高を更新した。また、2025年5月に期初計画から上方修正した会社計画に対してもおおむね計画どおりに着地した。ここ数年来、取り組んできた生産性向上の取り組みや製品価格改定効果により営業利益率は前期の2.7%から4.3%に上昇し、直近10年間では最高水準となった。
2025年の段ボール業界の国内生産量が前年比0.7%減(確報値)と若干減少するなかで、同社グループの国内販売量は前期比0.5%増と堅調に推移した。加工食品分野の販売数量が主要顧客向けを中心に前年を上回ったほか、衛生用紙や麺業界向けの販売量が堅調に推移した。麺業界向けについてはコメ不足が追い風となったようだ。また、人件費や物流費、資材価格の高騰に対応するため製品価格の改定に取り組んだ結果、国内事業の売上高は同3.7%増の51,469百万円となった。価格改定効果により3%程度の増収要因になったと見られる。
一方、海外事業については2024年12月期第1四半期末から連結対象に加わったTKT※がフル寄与したことに加えて、2025年12月期第4四半期から加わったHoang Hai※が寄与したこともあり、同21.1%増の15,614百万円と2ケタ成長が続いた。地域別ではTKT、Hoang Haiの寄与によりベトナムが同29.4%増の12,238百万円となり、中国も日系企業の顧客開拓が進んだことで同6.0%増の1,471百万円となった。ベトナムを除く東南アジアは、マレーシアの低迷が響いて同7.1%減の1,904百万円となった。
※ 子会社化前の売上規模は、TKTが30億円強、Hoang Haiが50億円強の水準であった。
部門別売上高では、段ボールが前期比4.8%増の49,191百万円、印刷紙器が同4.0%増の6,699百万円といずれも販売数量増や製品価格改定効果によって堅調に推移したほか、軟包装材がTKTのフル寄与により同30.3%増の8,078百万円と大きく伸長した。その他売上高も同5.9%増の3,114百万円となった。
売上原価率は前期の81.0%から79.6%と1.4ポイント改善した。生産数量増加に伴う操業度効果や価格改定効果に加えて、各事業拠点で進めている設備効率化活動により時間当たり生産量が増加するなど生産性が向上したことが要因だ。設備効率化活動とは設備のトラブルや生産品目の変更による製造ラインの停止によって発生するロスを極力削減する取り組みのことで、設備の自主保全なども含めて10年来取り組んでいる活動となる。また、最も生産性の高い事業拠点をロールモデルとして、ほかの事業拠点にもそのノウハウを共有していく取り組みも推進している。時間当たり生産量が増加したことで、残業時間削減による労務費の抑制効果も出ている。
販管費率は前期の16.2%から16.1%と若干低下した。金額ベースでは685百万円の増加となったが、このうちのれん償却額がM&Aの実施により116百万円増加の306百万円となった。そのほか人件費や物流費が主な増加要因となったが、効率化を推進したことで対売上比率では横ばい水準となった。同社では間接部門においてもペーパーレス化や経費の節減に取り組んでおり、販管費率の改善に寄与した。
なお、特別利益として投資有価証券売却益1,719百万円を計上した一方で、特別損失として減損損失162百万円、投資有価証券評価損158百万円等を計上した。前期と比べて特別利益が減少したため、経常利益の増益率に対して当期純利益の増益率は小幅にとどまった。
事業セグメント別の業績では、主力の包装材関連事業が売上高で前期比7.0%増の70,460百万円、営業利益で同63.3%増の3,097百万円となり、不動産賃貸事業が売上高で同11.7%増の402百万円、営業利益で同13.2%増の338百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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