ダイナパック Research Memo(5):M&A資金を借入金で充当し、自己資本比率は若干低下
2. 財務状況と経営指標
2025年12月期末の資産合計は前期末比8,069百万円増加の84,874百万円となった。Hoang Haiを第4四半期より連結化したことに加えて、丸中紙工の株式を2025年10月に取得し、期末より連結の範囲に含めたことが主な増加要因となった。主要項目別で見ると、流動資産では現金及び預金が1,178百万円、売上債権が1,216百万円、たな卸資産が784百万円それぞれ増加した。固定資産では投資有価証券の売却及び時価の下落によって投資有価証券が2,164百万円減少した一方で、新規に2社を連結化したことにより有形固定資産が伴い有形固定資産が4,020百万円、のれんが3,113百万円増加※した。
※ 新規連結時点ののれんは、Hoang Haiが3,078百万円、丸中紙工が234百万円。
負債合計は前期末比6,360百万円増加の37,034百万円となった。M&A資金を借入金で充当したことにより、有利子負債が3,693百万円増加したほか、新規2社を連結化したことにより仕入債務などの流動負債が増加した。純資産合計は同1,709百万円増加の47,840百万円となった。配当金支出700百万円、自己株式取得508百万円等の株主還元を実施した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益3,178百万円を計上したことにより株主資本が1,982百万円増加したほか、Hoang Haiの連結化等により非支配株主持分が703百万円増加した。また、投資有価証券の売却や評価損を計上したものの、保有株式の時価上昇によりその他有価証券評価差額金は901百万円の減少にとどまり、期末時点で8,778百万円のプラスとなっている。
経営の安全性指標を見ると、自己資本比率は前期末の59.7%から55.2%に低下し、有利子負債比率が7.8%から15.6%に上昇するなど財務体質はやや悪化した。積極的なM&Aを実施したことで有利子負債残高が積み上がったことが主因だ。ただ、財務の健全性を懸念するほどの水準ではなく、今後も80億円を超える投資有価証券含み益を活用しながら、M&A戦略を推進し収益拡大を目指す方針に変わりない。収益性を見ると、ROAで4.4%、ROEで6.9%、営業利益率で4.3%といずれも上昇した。ROEは前期比0.2ポイント上昇したが、3つの構成要素に分解すると総資産回転率が0.79回、売上高当期純利益率が4.7%とそれぞれ横ばい水準だったのに対して、財務レバレッジが1.67倍から1.81倍に拡大しており、ROEの上昇に寄与した。
2026年12月期もM&A効果で増収、営業利益と経常利益で増益見込む
3. 2026年12月期業績見通し
2026年12月期の連結業績は、売上高で前期比8.8%増の73,000百万円、営業利益で同7.6%増の3,100百万円、経常利益で同1.2%増の3,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同21.3%減の2,500百万円となる見通し。当期は2024年12月期からスタートした中期経営計画の最終年度となり、当初目標値(売上高700億円、営業利益30億円)を上回る業績を目指す。
売上高については、前第4四半期より連結化したHoang Haiが通年でフル寄与することや丸中紙工を新たに連結化することが増収要因となる。また、既存事業についても国内は新規顧客開拓効果により販売数量で微増となり、前期に実施した製品価格改定の効果が通年で寄与することで売上高は堅調な伸びを見込む。海外事業についても、TKTや中国子会社で増収が続くほか、前期に低迷した東南アジアも微増収を想定している。
利益面では、段ボール原紙メーカーが2026年に入って10%程度の値上げを実施するなど、材料価格の上昇が見込まれるが、増収効果や生産性の向上で吸収し増益を確保する見通しだ。また、材料費の値上げ分に関しては製品価格に転嫁すべく顧客との価格交渉を開始しているが、業績計画には若干程度しか織り込んでいない。
営業外収支は前期比で約2億円悪化する計画だが、前期に計上した為替差益213百万円が無くなることを前提としている。また、親会社株主に帰属する当期純利益については、現時点で特別利益を見込んでいないため減益計画となっているが、投資有価証券の売却について状況に応じて検討していく方針であることから、その動向次第で上振れする可能性もある。
なお、中間期の業績はM&A効果により売上高で前年同期比10.8%増の35,000百万円と2ケタ成長を見込む一方で、材料価格上昇の影響により営業利益は同8.3%減の1,300百万円と減益で計画しており、下期から増益に転じる見通しだ。下期については前下期に計上したM&Aに係るアドバイザリー費用が無くなることも増益要因となる。
■中期経営計画
中期経営計画は順調に進捗、経営数値目標はほぼすべて達成する見通し
1. 中期経営計画の概要
同社はグループの2030年度の「ありたい姿」として、1)国内・海外ともに拠点近隣に根差した「特色ある事業力」を武器として、市場で存在感を示すこと、2)価値を生む仕事に喜びを感じ、使命感を持つ仲間が国地域・性別・人種を超えて活躍すること、3)高能率により高収益を計上し、高賃金を実現することの3点を掲げ、これらを実現していくための成長戦略を策定し、2024年12月期から2026年12月期までの3ヶ年の中期経営計画として発表した(2024年2月発表)。
積極的な成長投資(M&Aなど)により、事業基盤の強化と収益拡大を図るとともに、収益力に応じた株主還元施策(増配や自己株式取得など)によって企業価値向上を図ることを骨子とし、経営数値目標として売上高700億円、営業利益30億円、営業利益率4.3%、ROE5.0%以上を掲げた。2025年12月期までの業績進捗状況は売上高で当初計画を上回るペースで推移し、営業利益もおおむね順調に拡大している。2026年12月期は既述のとおり売上高、営業利益ともに当初の目標値を上回る計画を立てており、ROEについても業績が計画どおりに着地すれば目標とする5.0%以上を達成する見通しだ。なお、M&Aについては今後もシナジーが見込める案件であれば、国内外問わず前向きに検討していく方針に変わりない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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