アクセルマーク---トレカとウェルネスの両輪で成長へ、暗号資産トレジャリー戦略も導入
同社の強みは、第一に、ヘルスケア領域における独自のD2C(直接販売)ブランド構築能力が挙げられる。理想の肌バランスを追求する「ニアリーフォーセブン」などの自社ブランドを立ち上げ、製薬メーカー出身の専門人材を招聘することで、製品の信頼性とマーケティングの訴求力を両立させている。第二に、長年の運用型広告で培った高度なデータ分析とデジタルマーケティングの知見である。これを活用することで、新規参入したトレカやウェルネスの領域においても、精度の高い顧客獲得とUIおよびUXの継続的な改善を自社内で行うことが可能となっており、競合他社に対する差別化ポイントとなっている。
2月12日に2026年9月期第1四半期(1Q)決算を発表、売上高321百万円、営業利益154百万円の赤字で着地した。1Q時点で売上高は通期予想に対して順調な進捗を示し、利益面も想定レンジ内で推移。先行投資を継続しつつ、通期業績予想の達成に向けた基盤は着実に整備されている。売上高はトレカ事業を中心に回復基調となり、前四半期比で大幅に増加したほか、広告事業は厳しい事業環境下においても、大口顧客からの案件獲得が寄与した。また、成長領域であるビューティー&ウェルネス事業においてウェルネスモアラボラトリーズ株式会社の子会社化を決定したほか、トータルビューティーケアブランド「ニアリーフォーセブン」をローンチし、自社化粧品の販売を開始した。
2026年9月期の通期業績予想としては、売上高1,308百万円(前期比34.4%増)、営業損益486百万円の赤字を見込んでいる。減収要因となった広告事業の低迷については、既存リソースの再配分と運用コストの最適化を断行している。広告事業から成長領域であるトレカ事業およびビューティー&ウェルネス事業を新たな成長の柱とし、事業構造の高収益化を推進。暗号資産を活用した財務戦略を展開し、事業戦略と一体となった取り組みにより、グループ全体の企業価値向上を目指す。前期からの成長戦略に基づく各種施策や事業への投資は完了し、今期から事業成長フェーズに移行している。
市場環境としても、国内のトレーディングカード市場はインバウンド需要や大人の収集家の増加が追い風となっている。2024年度の国内市場規模は3,025億円(前年比109%)に達しており、今後の拡大も見込まれている。また、ビューティー&ウェルネス事業において主にサービスを展開している国内ビューティー・パーソナルケア市場は、健康志向の高まりや高齢化社会の進展、サステナブルな製品への関心の高まりを背景に2033年には約6.9兆円規模(2024年度約4.7兆円)に達する見込みである。
今後の成長見通しとして、同社はトレカ事業とビューティー&ウェルネス事業を成長のドライバーと位置づけている。トレカ事業では、「cardéria」ブランドの店舗展開を計画しており、デュエルスペースを併設した体験型店舗と、買取に特化したローコスト店舗の両輪で全国主要都市への進出を目指す。ビューティー&ウェルネス領域では、自社ブランド「ニアリーフォーセブン」の製品ラインナップ拡充に加え、韓国のトレンドサプリメントを取り扱うウェルラボ社などの戦略的な子会社化を通じて、商品供給力と商流の確保を強化していく方針である。さらに、新たな財務戦略として、ビットコインやイーサリアムを活用した「二軸型トレジャリー戦略」を導入した。取得する暗号資産はビットコインとイーサリアムのみで、取得日は2025年11月から2028年12月、取得金額は上限金額5億円を予定している。これはインフレリスクへのヘッジのみならず、将来的な海外企業とのM&A対価としての活用や、RWA(現実資産のトークン化)分野への事業展開を見据えたものであり、事業戦略と財務戦略を一体化させることで、グループ全体の企業価値を飛躍的に向上させる狙いがある。
株主還元については、現在は将来の持続的な成長と収益基盤の確立を最優先し、積極的な成長投資を優先するフェーズにある。2025年9月期の配当は無配であるが、これはトレカ店舗の展開やウェルネス領域の新事業立ち上げ、さらには戦略的なM&Aや資本業務提携に経営資源を集中させるためである。同社は2025年10月に大規模な資金調達を決議しており、これらの資金をビューティーおよびウェルネス事業の拡大や店舗網の拡充、およびシナジー創出に資する成長投資へ機動的に投入していく方針を示している。成長戦略を確実に実行し、高収益体質への転換を果たすことで、将来的には安定した配当の実施を含めた株主還元を目指していく考えである。
総じて、アクセルマークは従来の広告事業から、将来性の高いトレカやウェルネスの領域での進化を図っている。広告事業の苦境を乗り越え、実店舗とECの融合や独自ブランドの展開、さらには最先端の暗号資産活用戦略を導入するなど、その攻めの姿勢は極めて明確である。現在は先行投資による赤字局面にあるが、戦略的な子会社化による開発体制の強化や、成長市場へのリソース集中によって、黒字化に向けた道筋は確実に整備されている。トレカ市場の熱狂と、ウェルネス領域における新たな価値創造、そして革新的な財務戦略が三位一体となり、同社が再び成長軌道へ回帰し、飛躍的な企業価値向上を実現していくか見守っておきたい。
<KM>
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