unerry Research Memo(5):2025年6月期は増収増益。ユーザーID数が8.5億に成長
1. 2025年6月期の業績
2025年6月期の業績は、売上高3,726百万円(前期比31.4%増)、営業利益311百万円(同74.2%増)、経常利益315百万円(同133.4%増)、当期純利益331百万円(同386.1%増)と大幅な増収増益となった。通期業績予想比(計画値)は、売上高が0.5%未達(3,746百万円)、営業利益が29.7%超過(240百万円)、経常利益が31.3%超過(240百万円)、当期純利益が139.5%超過(138百万円)と、売上高はほぼ予想どおり、利益は大幅な増益となった。なおROEは18%と、前期末比13ポイント上昇し、業績予想比でも10ポイント上昇した。売上面では、重要指標に掲げるリカーリング顧客数が前期の109社から140社に拡大したほか、NRRは116%、リカーリング年間顧客単価も前期並みの23百万円を維持し、いずれも堅調に推移した。リカーリング売上高が着実に積み上がったことが増収の一番の要因で、各期において新規に獲得した顧客に対するクロスセルやアップセルが堅調なことに起因する。また2025年6月期の実績として、「Beacon Bank」のユーザーID数※が前期の4.2億から8.5億と倍増、年間データ量も1.0兆件から1.9兆件とほぼ倍増となった。連携アプリ数は120から150に、登録ビーコン数は217万個から225万個に増加した。ユーザーID数倍増の要因は主に連携アプリ数の増加によるもので、優良な連携アプリの確保に成功したことが大きい。この結果、ユーザーID数(8.5億)はワールドワイドで10位にランクし、グローバルTOP10ビッグデータカンパニーの地位を確立した。
※ アプリ等を通じて取得したデータの2025年1~6月時点におけるアクティブユーザー数。
売上面の事業別の状況は、主力の小売・外食向けのリテールDX事業では売上高が前期比33%増の2,690百万円となった。高単価を維持しながらリカーリング顧客基盤が着実に成長したほか、上位顧客への各種拡張サービスのクロスセルの成功により、安定成長を遂げた。他社との協業として、2024年8月にはCriteo(株)と実店舗における集客支援を、2025年1月に資本業務提携した(株)DearOneとはスマホアプリソリューション事業の拡大を、同年3月には楽天インサイト(株)と連携して位置情報による調査分析向上を進めた。また、自社開発した「ショッパーみえーる」のリニューアルを行い、サービスの使い勝手や拡張性を高めたことで、高レベルのサービスを求める上位顧客へのクロスセルが可能となり成果が現れているようだ。
消費財メーカー向けのリテールメディア事業では売上高が同59%増の450百万円となった。連携する小売情報や配信ID数が増加した結果、ユーザーであるメーカーの商品力が強化され好評を博したほか、販売パートナーである三菱食品からの売上高が好調だった。三菱食品との共同推進事業は売上高が順調に伸び、2025年6月期第4四半期時点で業務提携前の2023年6月期第4四半期比3.3倍に成長した。
不動産・自治体・官公庁向けのスマートシティ事業は売上高が同3%増の533百万円とおおむね前期並みだった。自治体や公共交通事業者との連携が30都道府県に拡大するとともに、京王電鉄<9008>をはじめとする京王グループ等と連携して「地域密着型車両メディア」でスマートサービスの実装を推進し、東京地下鉄<9023>(東京メトロ)等とは移動データを基軸としたマーケティングプラットフォームの共創を開始した。事業推進の担い手となる、対象業界へのビジネス経験のある専門人材の採用が遅れたこともあって売上高は前期並みとなったが、既に人材を確保しており、2026年6月期から再成長する見込みだ。
小売・外食・スポーツ向けのグローバル事業では、売上高は同630%増の53百万円となった。売上高拡大施策として、サービスをインバウンドサービス、海外出店支援サービス、日本出店支援サービス、海外企業支援サービスに4区分して拡張した。これにより、インバウンドサービスにおいて分析・可視化や行動変容サービス案件が増加したほか、海外出店支援サービスにおいて海外進出を狙う国内企業からの引き合いが増加する等、業績に弾みが付いた。
サービス別の売上高では、行動変容サービスが1,772百万円(前期比49%増)と大きく伸長し、分析・可視化サービスが1,189百万円(前期比37%増)と続いた。後述するが、同社の顧客導入シナリオでは、分析・可視化サービスにより潜在顧客を明確にし、行動変容サービスで集客と購買を高め、One to Oneサービスで各顧客の環境と需要に即したデータ取得を実現した後、分析・可視化の強化を図る、という循環型のフライホイールプロダクト戦略※を敷いている。2025年6月期は、行動変容サービスが大きく伸びていることから、765百万円(同1%減)と前期並みのOne to Oneサービスが今後伸長する可能性はありそうだ。
※ 「Beacon Bank」を基盤に複数プロダクトを連携する仕組みの強化。
利益面では、粗利率はサービス別の売上高ミックスと粗利率増減による変動はあるものの、全体平均は50%前後を推移しており、2025年6月期も50%を確保した(なお、同社は売上高から直接原価を除いた数値を粗利とし、売上高に対する比率を粗利率として開示しているため、間接原価が売上原価に含まれる損益計算書上の売上総利益率とは異なる)。販管費については今後の成長に向けての投資として人件費・採用費が前期比で40.0%増となったが、増収効果もあって全体の販管費率は31.0%と平年並みを維持している。その結果営業利益率は8.4%となり、営業利益も前期比74.2%増と最高益を大きく更新した。なお当期純利益の増加率が高い理由は、最近の経営環境と業績を鑑み、税効果会計上の会社分類を見直した結果、将来減算一時差異に対して繰延税金資産を追加計上し、法人税等が減少したためである。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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