品川リフラ Research Memo(9):「セクター戦略の深化」を含む重点方針と、グローバル展開・M&Aを推進(2)
「3. 第6次中期経営計画の重点方針と進捗」の続き
(3) 先端機材セクター
先端機材セクターは、「金属代替品としての構造材料から、先端産業における機能性材料への軸足移行」「技術開発力と生産能力の拡充」「M&AやJVによる事業拡大」をセクタービジョンに掲げている。2027年3月期の売上高は54億円(2024年3月期比54.3%増)、EBITDAは8億円、営業利益は4億円とそれぞれ2024年3月期の4倍、ROICは9.9%(同5.9ポイント上昇)を目標とし、各セクターの中でも特に成長が期待されている。2026年3月期は売上高42億円、EBITDA2億円を見込む。
同セクターはファインセラミックスや無機塗料・無機接着剤など「高付加価値」に属する製品を取り扱っている。主力のファインセラミックスは、金属や樹脂などの素材と比べて耐熱性・耐食性や機械的強度などで優れ、半導体・自動車・産業用機械など幅広い分野で需要の伸びが見込まれる。生産能力の増強、競争力強化が重要な課題であり、米国での高性能ポンプの需要増に対応するため、セラミック部材の増産を進めている。無機塗料・無機接着剤は、耐火物研究の成果を応用し、耐熱性・電気絶縁性・耐候性や離型性に特長を持つ。加工工程の移設や自動加工機導入など、積極的な設備投資により生産能力を拡大している。
新たな成長分野として、半導体製造装置向け部材、航空機向け関連製品、特殊蒸着材、航空宇宙業界向け特殊耐熱セラミックス、リチウムイオン電池向け部材、高機能金属製造用ノズル、高機能無機塗料・無機接着剤、鉄鋼向け窒化ケイ素ロールなどの市場参入と拡販を図る。第6次中期経営計画期間は、半導体製造装置分野へ本格参入するとともに、第7次中期経営計画期間で本格参入をねらう航空宇宙・エネルギー関連製品の開発強化と生産基盤整備期と位置付けている。その生産能力強化のため、第6次中期経営計画期間では約30億円の設備投資を計画し、岡山県瀬戸内市に新工場の建設を進めている。2026年2月の稼働を目指す新工場では、ファインセラミックス製品の原料工程と後工程を担い、既存工場で外部委託していた加工の内製化によりコスト削減を図る。高機能金属製造用ファインセラミックスノズルや高機能無機塗料・無機接着剤は既に販売を開始しており、窒化ケイ素ロールは第6次中期経営計画期間中の開発完了を予定している。2024年3月に買収したコムイノベーションとは緊密な技術連携により、半導体製造装置市場向けファインセラミックス製品の開発を強化している。
(4) エンジニアリングセクター
エンジニアリングセクターは、「カーボンニュートラル案件の確実な受注」「成長が見込まれる工業炉分野(非鉄、各種窯炉)への積極参入」「工事対応力の強化(新技術の開発、工事体制の見直し、M&Aの推進)」をセクタービジョンとする。2027年3月期の目標はReframaxの買収を織り込み、売上高は449億円(2024年3月期比83.3%増)、EBITDAは42億円(同121.1%増)、営業利益は37億円(同117.6%増)を目標とする。2026年3月期は売上高449億円、EBITDA36億円を見込む。
国内粗鋼生産の縮小やカーボンニュートラルの加速といった経営環境の変化に直面している。同社は、既存分野への対応に加え、今後の成長分野を見据えた新事業創出への挑戦を重要な課題と認識している。カーボンニュートラル開発案件では、高炉メーカーが進めるスタンプチャージコークス炉の新設、カーボンリサイクル小型試験高炉建設、高品質鋼材製造小型試験電気炉建設などに対し、取引先の検討段階から参画し、技術の蓄積と確実な受注につなげる戦略である。また、カーボン焼成炉など工業炉分野を成長分野として、人材を投入し受注拡大を目指す。既存分野においても、新たな施工技術や点検技術の導入・開発により働き方改革と作業効率を推進する。現在は次世代セメントレス吹付技術の開発や小型ドローンを活用した点検・測定技術の開発などを進めている。また、国内外での業務提携・M&Aを推進し、労働力を確保しながらシナジーを追求する。2025年5月に買収したReframaxもこの戦略の一環である。
■株主還元策
2026年3月期は今後の成長投資を優先し、配当金を据え置く
同社は株主への安定した配当を確保しつつ将来の増配を心掛け、併せて企業体質の強化のため内部留保の充実を図ることを利益配分の基本方針とする。配当性向の目標は2025年3月期より30%から40%に引き上げた。一方、配当性向を引き上げても、のれん償却額の増加により利益が圧縮されれば配当金の総額が変動することも想定されるため、利益還元の総額を維持・向上することを基本とし、キャッシュ・フローの状況を踏まえつつ総還元性向の観点から機動的な利益還元を行うこととした。2026年3月期は賃貸不動産等の売却により親会社株主に帰属する当期純利益が膨らむが、1株当たり年間配当金は90.0円(中間期45.0円、期末45.0円)と前期と同額とする。キャッシュ・フローはM&Aを含めた成長投資に優先的に振り向け企業価値の向上を図るという基本方針を堅持し、不動産売却収入は今後の成長投資へのアベイラビリティを高めるため、M&Aによって膨らんだ有利子負債の返済に充当する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘)
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