品川リフラ Research Memo(9):第6次中期経営計画は最終年度。次期中期経営計画では事業環境へ対応(2)
■品川リフラ<5351>の中長期の成長戦略
2. 第6次中期経営計画の重点方針と「セクター戦略の深化」のつづき
(2) 断熱材セクター
断熱材セクターは、「環境負荷を低減する断熱製品のグローバル供給」「成長市場(半導体製造装置業界など)向け拡販に対応する技術開発力の強化」「積極的なM&Aの推進」をセクタービジョンに掲げている。2027年3月期の売上高は220億円(2024年3月期比18.4%増)、EBITDAは51億円(同24.4%増)、営業利益は42億円(同22.0%増)、ROICは11.0%(同0.1ポイント上昇)を目標とする。ROICは、持続的成長に向けた投資を拡大するため横ばいを見込む。2027年3月期の期初段階では売上高185億円、EBITDA34億円、営業利益28億円を見込む。
セクター戦略は、脱炭素、省力化、合理化、IT化などへの投資を積極的に展開し、生産基盤を強化する。今後の成長が期待できる半導体製造装置関連やリチウムイオン電池用の部材、断熱性に加えて耐火性も兼ね備えた建築用不燃材などを拡販する。既にイソライト工業の耐熱性断熱ファイバーブランケットは、建築用エキスパンションジョイント耐火帯として、国内公共スタジアムへの採用が予定されている。そのほか、コア事業である耐火断熱煉瓦及びセラミックファイバーの製造販売の持続的成長、成長分野での拡販、海外向けの拡販を強化し、年5%の持続的な成長を目指す。
(3) 先端機材セクター
先端機材セクターは、「金属代替品としての構造材料から、先端産業における機能性材料への軸足移行」「技術開発力と生産能力の拡充」「M&AやJVによる事業拡大」をセクタービジョンに掲げている。2027年3月期の売上高は54億円(2024年3月期比52.1%増)、EBITDAは8億円、営業利益は4億円とそれぞれ2024年3月期の4倍、ROICは9.9%(同5.9ポイント上昇)を目標としている。2027年3月期の期初段階では売上高48億円、EBITDA4億円、営業利益はわずかながら損失を見込む。同セクターはファインセラミックスや無機塗料・無機接着剤など「高付加価値」に属する製品を取り扱っている。主力のファインセラミックスは、金属や樹脂などの素材と比べて耐熱性・耐食性や機械的強度などで優れ、半導体・自動車・産業用機械など幅広い分野で需要の伸びが見込まれる。生産能力の増強、競争力強化が重要な課題であり、米国での高性能ポンプの需要増に対応するため、セラミック部材の増産を進めている。無機塗料・無機接着剤は、耐火物研究の成果を応用し、耐熱性・電気絶縁性・耐候性や離型性に特長を持つ。加工工程の移設や自動加工機導入など、積極的な設備投資により生産能力を拡大している。
新たな成長分野として、半導体製造装置向け部材、航空機向け関連製品、特殊蒸着材、航空宇宙業界向け特殊耐熱セラミックス、リチウムイオン電池向け部材、高機能金属製造用ノズル、高機能無機塗料・無機接着剤、鉄鋼向け窒化ケイ素ロールなどの市場参入と拡販を図る。第6次中期経営計画期間は、半導体製造装置分野での拡販を図るとともに、第7次中期経営計画期間で本格参入をねらう航空宇宙・エネルギー関連製品の開発強化と生産基盤整備期と位置付けている。その生産能力強化のため、第6次中期経営計画期間では約30億円の設備投資を計画し、岡山県瀬戸内市に新工場を建設した。2026年2月に稼働した新工場では、ファインセラミックス製品の原料工程と後工程を担い、既存工場(岡山県備前市)との2工場体制により、生産能力の拡大と高精度加工品需要への対応を図る。高機能金属製造用ファインセラミックスノズルや高機能無機塗料・無機接着剤は既に販売を開始しており、窒化ケイ素ロールは第6次中期経営計画期間中の開発完了を予定している。2024年3月に買収したコムイノベーションとは緊密な技術連携により、半導体製造装置市場向けファインセラミックス製品の開発を強化している。
(4) エンジニアリングセクター
エンジニアリングセクターは、「カーボンニュートラル案件の確実な受注」「成長が見込まれる工業炉分野(非鉄、各種窯炉)への積極参入」「工事対応力の強化(新技術の開発、工事体制の見直し、M&Aの推進)」をセクタービジョンとする。2027年3月期の目標はReframaxの買収を織り込み、売上高は449億円(2024年3月期比82.9%増)、EBITDAは42億円(同121.1%増)、営業利益は37億円(同114.5%増)を目標とする。2027年3月期の期初段階では売上高501億円、EBITDA42億円、営業利益21億円を見込む。
国内粗鋼生産の縮小やカーボンニュートラルの加速といった経営環境の変化に直面している。同社は、既存分野への対応に加え、今後の成長分野を見据えた新事業創出への挑戦を重要な課題と認識している。カーボンニュートラル開発案件では、高炉メーカーが進めるスタンプチャージコークス炉の新設、カーボンリサイクル小型試験高炉建設、高品質鋼材製造小型試験電気炉建設などに対し、取引先の検討段階から参画し、技術の蓄積と確実な受注につなげる戦略である。また、カーボン焼成炉など工業炉分野を成長分野として、人材を投入し受注拡大を目指す。既存分野においても、新たな施工技術や点検技術の導入・開発により働き方改革と作業効率を推進する。現在は次世代セメントレス吹付技術の開発や小型ドローンを活用した点検・測定技術の開発などを進めている。また、国内外での業務提携・M&Aを推進し、労働力を確保しながらシナジーを追求する。
3. 第7次中期経営計画の策定に向けた方向性
「ビジョン2030」や第6次中期経営計画を策定した2023年当時の想定から、事業環境は厳しさを増している。同社は経営戦略を軌道修正し、新たな成長シナリオを策定することで、環境変化に対応する方針だ。以下の方向性が現時点で示されており、今後、各セクター及び共通部門における具体的施策を検討する方針だ。
(1) 競争力の強化を通じた事業の成長
・国内外での拡販
・市場ニーズを捉えた製品開発の強化
・需要構造の変化を踏まえたグローバル生産体制の最適化
・生産プロセスにおけるコストダウンの徹底
(2) グローバル調達・供給体制の最適化
・グローバルサプライチェーンを通じた安価な原材料の調達
(3) 成長投資の推進
・グローバル市場における新たなM&AやJVの検討
(4) デジタル技術活用による競争力の強化
・DXの推進による開発・生産・エンジニアリング分野の効率化と連携の強化
(5) グループ経営・資本効率の強化
・セクターを超えたグループ連携の拡充
・ROICの改善
(執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝)
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