粧美堂 Research Memo(4):NB商品の「SHOBIDO」ブランド価値・付加価値向上戦略
3. NB商品の「SHOBIDO」ブランド価値・付加価値向上戦略
粧美堂<7819>は美と健康の「ニッチ分野シェアNO.1メーカーの集合体」を目指し、商品戦略はNB商品の「SHOBIDO」ブランド価値・付加価値向上と、ニッチ分野での重点カテゴリーを定めた商品開発・商品力強化を推進している。
2015年に発売開始した洗顔ブラシ「リッチホイップ」シリーズは、シリーズ累計販売数100万個を突破して2019年洗顔ブラシ市場シェアNO.1を獲得し、その後のブランドリニューアルによって使いやすさを向上させ、2021年度のグッドデザイン賞を受賞した。3年に及ぶ開発期間を経て2021年9月に発売開始した「ふたえコスメ宣言 TWOOL」ブランドについては、SNS・インフルエンサーなどデジタルプロモーションに集中した新しいブランドプロモーションにより拡販を強化している。そして「日本パッケージデザイン大賞」ボディ&ヘルスケア部門にて入選、コピーライターの登竜門である「第60回宣伝会議賞」中高生部門グランプリ・準グランプリをW受賞、世界3大デザイン賞の一つである「Red Dot in the Red Dot Design Award 2023」受賞などによってブランド力が向上した。このほかにも「デコラティブネイル ジュレリムーバー」や「はさんであがるヒートカーラー」などが人気インフルエンサーに取り上げられ、認知度が向上している。
また取扱商品の中で特に強みを発揮しているのはプチプラコスメ※である。プチプラコスメは、昨今のSNS全盛の時代において韓国コスメなどと同様に、特に若い世代を中心に広まり、新しい時代の潮流になっていくものと予想される。同社は、こうしたプチプラコスメを短期間に企画し、適正な品質管理の下で大量に供給できるノウハウに長けており、同社の成長を支える重要な要因と考えられる。
※ petit-price cosmeticsの略で、低価格でありながら流行のデザイン、色味、実際の使用感など品質面も備えた化粧品のこと。デパコスと呼ばれる一般的に百貨店で販売されている高価格帯のブランド化粧品と比較されることが多い。
キャラクターコスメについては、ディズニーやサンリオを始めとする多くのキャラクターのライセンサーと契約があり、浮き沈みなくその時々の人気キャラクターを使用した商品企画ができるうえ、「キャラクターコスメは粧美堂」という認識が業界やライセンサーに広まっていることが競合他社による参入障壁となっており、販売先に対する価格競争力なども含めて差別化要因となっていると考えられる。
売上総利益率が大幅上昇
4. 販売単価上昇により売上総利益率が大幅上昇
同社は収益性のさらなる向上に向けてNB商品を中心とする販売単価の上昇や付加価値の向上を推進している。販売単価の上昇については単純な定番商品の値上げではなく、キャラクター商品を中心に新商品発売やデザイン変更などによって単価を上昇させる戦略を推進しており、対象領域をペット用品や行楽用品などのカテゴリーにも拡大している。NB商品の単価上昇及び付加価値向上戦略の成果としてリップクリームの例を挙げると、2022年9月期から2025年9月期の3年間で販売単価が1.3倍に上昇したものの、販売数量は6倍に拡大、原価は3%増にとどまった。これにより粗利額は10倍に拡大した。こだわったモノづくりやデザイン性の向上により、原価高騰を上回る販売単価の上昇及び利益拡大を実現した。
また自社企画商品売上高・構成比及び連結粗利率を2019年9月期と2025年9月期で比較すると、2025年9月期には自社企画商品の売上高が2019年9月期比で約1.6倍に拡大し、売上構成比が同16.0ポイント上昇した。そして連結ベースの売上総利益率は2023年9月期と2024年9月期に急激な円安進行の影響で一時的に低下したものの、2025年9月期は前期比5.6ポイント上昇の31.9%となり、2019年9月期との比較で大幅な円安水準(2019年9月期は110.32円/USドル、2025年9月期は148.89円/USドル)であるにもかかわらず、2019年9月期の28.7%を大幅に上回った。これは自社企画商品の売上拡大、NB商品を中心とする単価上昇及び付加価値向上戦略の成果である。なお2025年9月期の売上総利益率上昇については、OEMが主力の均一ショップ向けにおいて、単価上昇余地が小さいため一部の低採算取引を縮小したことも寄与した。
「選択と集中」及びOEMビジネスで在庫リスク低減
5. リスク要因・収益特性と課題・対策
同社における主要なリスク要因としては、特定販売先への依存度、自社企画商品における人気変化への対応遅れや陳腐化、為替の仕入価格への影響などが挙げられる。
特定販売先への依存度については、販売先と商品の「選択と集中」によって重点販売先との取引拡大を推進した結果、売上高上位20社の構成比が約7割に高まったが、主要販売先であるPALTAC<8283>(主に大創産業向け)、セリア、ドン・キホーテ、しまむらでも、全社売上高に占める割合が各々1割前後と分散されている。さらに戦略の成果として営業効率が飛躍的に向上したこと、各社との良好なリレーションを維持していること、各社のPB戦略に同社の商品企画・開発力が関与していることなども勘案すれば、特定販売先への依存度は特に懸念材料にならないと弊社では考えている。
自社企画商品やOEM商品の企画・開発については、充実したマーケティング・企画・デザイン体制と豊富なキャラクターライセンスにより、常に消費者ニーズを見据えた企画・開発を推進し、流行への対応遅れや商品陳腐化のリスク低減を図っている。為替による仕入価格への影響については、総仕入額に占める外貨建て比率が約4割(うちUSドル建てが約9割)となっているが、為替変動対策として仕入価格上昇分の商品価格への転嫁、仕入先の見直し、実需の範囲内での為替予約などにより為替変動リスクの低減を図っている。
なお同社独自の四半期別営業利益の変動要因として、年末・年始や入園・入学などのイベントのある第1四半期(10月〜12月)及び第2四半期(1月〜3月)の構成比が高く、第4四半期(7月〜9月)は健全性を保つための在庫処分や決算賞与の支給などにより他の四半期に比べて減少する傾向がある。ただし、受注生産で返品・在庫処分リスクがないOEMビジネスの拡大などにより徐々に平準化が進んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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