フォースタートアップス:株価は2倍化も、成長軌道に回帰で国策も追い風
■企業概要
同社は企業向け人材紹介を中核とした成長産業支援事業を展開している。従前はタレントエージェンシー&オープンイノベーション事業とベンチャーキャピタル事業の2つにセグメントが分かれていたが、今期第1四半期決算からヒューマンキャピタル、オープンイノベーション、ベンチャーキャピタルの3事業への報告セグメント変更を実行している。
主力のヒューマンキャピタル事業は、スタートアップ企業等への人材紹介サービスが収益の柱で、VCとともに起業をサポートする起業支援やコンサルティングサービスも行っている。人材紹介の手数料は、転職者の理論年収×料率で算出され、コンサルティング手数料は、原則月額固定報酬×契約期間にて算出されいる。同社の顧客は、Forbes起業家ランキングに代表される注目される起業家・スタートアップ企業で、日本を代表するスタートアップエコシステムビルダーとのネットワークが最大の強みとなり、実際に上場企業ではタイミーやラクスル、メルカリなどの支援実績を持っており、スタートアップ企業の求める幹部人材像を把握して効果的な支援を実行している。また、起業支援では、主にベンチャーキャピタルと連携し、起業家候補者をサポート、現時点では7社の支援実績を公表している。
オープンイノベーション事業では、(1)日本のスタートアップ・エコシステムの発展を目的に、(2)行政・地方公共団体のスタートアップ関連事業を行う「Public Affairs」、25,000社以上のスタートアップ企業情報を網羅した「STARTUP DB」、(3)グローバルな成長産業カンファレンス「GRIC」、と3つのサービスを展開しています。「Public Affairs」では、内閣府が定めた「スタートアップ・エコシステム拠点都市」8拠点中7拠点で事業受託・協力機関として参画しており、地方各所からのスタートアップ創出を掲げる国策を支援している。「STARTUP DB」は、新規事業創出や競争力拡大を狙う大手企業やCVC/VCを中心に導入されており、金融機関、調査会社など幅広い業種でも利用されている。直近では、保有するスタートアップ情報のネットワークを活かし、スタートアップM&A仲介をストライクと共同で展開することを表明するなど新規事業も推進している。
■業績
2026年3月期第1四半期の売上高は前年同期と比較して28.9%増の1,116百万円、営業利益は同じく2.7倍の212百万円と増収・大幅増益、過去最高の四半期業績を達成している。利益率の高いヒューマンキャピタル事業の成長に加え、前期に発生していたオフィス移転に伴う一時費用の反動減で利益率が改善している。主力のヒューマンキャピタル事業のみで、四半期売上高・受注高がともに初めて1,000百万円を超えており、前期第4四半期から行った事業方針転換の効果で好転している。当初計画を上回っており、質を重視しすぎた事業運営から量を拡大する事業運営への意識転換を図った中で、受注単価を維持したまま受注件数も増加。「社員1人あたりの人材紹介決定数 (生産性)」は未だ上昇の余地があり、課題が解決したとはいえないものの、事業停滞感を払拭し再び成長軌道に回帰してる。また、オープンイノベーション事業は、Public Affairs・STARTUP DB がそれぞれ順調に成長しており、好調な事業状況を背景にクロスセル強化や新サービス開発へ注力している。
通期の売上高は前期と比較して16.4%増の4,300百万円、営業利益は同じく43.5%増の650百万円と増収増益を見込んでいるが、売上高、段階利益ともに第1四半期時点で通期予想進捗率25%を上回る水準であり、今後の計画が修正されるのか注目しておきたいところだ。
■市場環境と成長戦略
市場環境としては、社会課題の解決策の1つとして「スタートアップ支援」が重要と日本政府が認識しており、2022年に「スタートアップ育成5カ年計画」が公表されて国策となっている。スタートアップが生まれ成長すること、大企業がスタートアップ企業と組んでオープンイノベーションを推進することが経済の持続的な成長につながると捉えられており、スタートアップへの投資額を「2027年度に10兆円規模(2022年の10倍超)」にする方針。また、コロナ禍で一度縮小した人材紹介市場規模も、コロナ前の水準を超え過去最高値を超えているが、今後も日本の労働人口減少を背景に人材確保・採用難易度の上昇が見込まれ、転職が当たり前の選択肢となると市場規模も拡大を続けていく可能性があろう。
このような環境下で、同社はスタートアップ企業のミドル・ハイレイヤー人材を中心に支援しており、スタートアップ業界における高い実績とブランド認知度を誇っている。同社グループが人材支援を行うスタートアップ企業はいずれ上場していく可能性が高い状況となっているため、上場後も関係を継続することで徐々に顧客層がグロース・日系大企業に広がっていく想定となる。また、ヒューマンキャピタル・オープンイノベーションに長年取り組んできたノウハウのほか、既に保有している「STARTUP DB」の25,000社以上の企業データなど、未公開情報を可視化しシナジーを創出することで参入障壁となる。
すでに効果は出てきているが、今期以降からさらなる生産性向上の効果、二重家賃等の本社移転の影響の影響がなくなり、利益面での再成長が想定される。定量的な数値では、既存事業の売上高において成長率約15%~20%となるレンジ目標を設定しており、増益を基本としながらマーケティング等へ積極投資を行う予定となる。加えて、新規事業/M&Aによる非線形の成長を狙う従来よりも利益成長を重視した計画を開示している。Pre-IPOフェーズのシェア拡大・人材育成の強化を推進していくなか、既存のヒューマンキャピタルの成長に加えて「Public Affairs」の成長にも期待でき、創業以来8期連続増収中の同社の動向には注目しておきたい。
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