川辺 Research Memo(3):身の回り品事業を主力としてフレグランス事業も展開
1. 事業別及び品目別売上高構成比
川辺<8123>は、ハンカチーフ、スカーフ・マフラー、タオル・雑貨等を販売する身の回り品事業を主力として、香水等を販売するフレグランス事業も展開している。2025年3月期の事業別売上高構成比は身の回り品事業が83.3%、フラグランス事業が16.7%となった。過去5期(2021年3月期~2025年3月期)の推移を見ると、事業別売上高構成比は身の回り品事業が8割強、フレグランス事業が1割強、品目別売上高構成比はハンカチーフが6割強、スカーフ・マフラーが1割前後、タオル・雑貨等が1割前後、フレグランスが1割強で推移している。
全体の業績では、2021年3月期と2022年3月期はコロナ禍の影響を受けて売上高が落ち込み、経常損失を計上したが、2023年3月期以降は人流回復に伴って同社の売上高も回復基調となり、経常利益も黒字基調となった。また、フレグランス事業はコロナ禍以前から収益性改善を課題としていたが、2023年8月に販売開始した「CREED」の好調なども寄与して2024年3月期以降は黒字基調となった。
2. 販路別売上高構成比
販路別では百貨店向けを主力として、量販店・専門店・小売店・卸売事業者等に卸売販売している。また直営小売店において雑貨やフレグランスを小売販売している。2025年3月期の販路別売上高構成比は百貨店が49.3%、量販店が10.8%、専門店・小売店・その他(卸売事業者向けを含む)が39.9%となった。
過去5期の販路別売上高構成比の推移を見ると、百貨店向けはおおむね40%台で推移している。2021年3月期までは地方百貨店を中心とする閉店に伴う売場面積減少やコロナ禍の影響などにより低下傾向となったが、2022年3月期以降は百貨店への人流回復やインバウンド需要に伴って構成比が上昇傾向となっている。百貨店販路においては消費者ニーズ・消費トレンドを捉え、ブランドライセンスの見直し・入れ替えを継続的に行っている。量販店に関しては2021年3月期の17.0%から、2025年3月期には10.8%まで低下した。一部の国内大手量販店の閉店や衣料品・身の回り品売場面積縮小の流れなどにより、構成比の低下が継続している。
専門店・小売店・その他の構成比はおおむね40%前後で推移している。新規販路開拓を継続的に推進し、特に外資系大手量販店との取引が拡大基調となっているため、今後は売上高構成比が上昇する可能性がある。また直営小売事業として、2025年3月期末時点で身の回り品事業の直営店「プレイヤーズ自由が丘」を13店舗、フレグランス事業の直営店を6店舗展開している。「プレイヤーズ自由が丘」ではバッグ以外の品揃えの充実、フレグランス事業の直営店では希少性の高いメゾン系ブランド中心の品揃えを強化している。EC販売では、フレグランスを含めて販売コンテンツを拡充するとともに、SNSと連動させた集客増及び増収を推進している。
なお今後は、身の回り品とフレグランスを融合した新たなリテールショップの展開も推進する方針だ。2024年5月に開催した展示会「2024 Autumn & Winter collection いいものみつけた。」では、創業101年目のチャレンジとして同社独自のサステナブルなコンセプトショップ「カラーレスカラーズ グリーン」を新たに提案した。より魅力的なショッピング体験を消費者へ提供するとともに、様々な組み合わせのオリジナルギフトBOXによってギフト需要を喚起するなど、服飾雑貨売場全体の価値向上によって収益拡大につなげる。
3. 主要ブランド
同社は海外有名ブランドを主力としているが、消費トレンドの変化に対応したブランドの新規導入・S&B(スクラップ・アンド・ビルド)や、消費者ニーズの多様化に対応した自社オリジナルブランドの企画・開発・拡販も強化している。
身の回り品事業の主力ブランドとしては、ハンカチーフでは「POLO RALPH LAUREN(ポロ ラルフ ローレン)」「LANVIN COLLECTION(ランバン コレクション)」「LANVIN en Bleu(ランバン オン ブルー)」「PEANUTS(ピーナッツ)」「JILL STUART(ジルスチュアート)」「Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)」「nicolai bergmann(ニコライ バーグマン)」「Kate spade NEW YORK(ケイト・スペード ニューヨーク)」「DORAEMON(ドラえもん)」などがあり、2025年2月には新ブランド「BOSS(ボス)」の販売を開始した。スカーフ・マフラーでは自社ブランドの「Natural Basic(ナチュラルベーシック)」、自社ブランドの「felice regalo(フェリーチェレガーロ)」などがある。雑貨・その他ではバッグのハウスブランド「マザーズバッグ」を直営小売店「プレイヤーズ自由が丘」の主力商材としている。
フレグランス事業では、「Salvatore Ferragamo(サルヴァトーレ・フェラガモ)」や、「CREED」(2023年7月に日本国内における独占輸入販売権を取得)を主力として、「Miller Harris(ミラー ハリス)」「ACQUA DI PARMA(アクア ディ パルマ)」などメゾン系ブランドも発掘して積極投入している。直近では、2024年12月に「BVLGARI ALLEGRA COLLECTION(ブルガリ アレーグラ コレクション)」の国内百貨店における初の常設フレグランスコーナーショップを、2025年3月には「Van Cleef & Arpels(ヴァン クリーフ&アーペル)」の国内百貨店における初の常設フレグランスコーナーショップをそれぞれ新宿高島屋に設置した。
売上高はギフト需要や冬季需要などの特性
4. 収益特性・リスク要因と課題・対策
収益特性及びリスク要因としては、季節要因、景気や天候の消費マインドへの影響、消費トレンドの変化、主力販売先である百貨店や量販店の閉店・売場面積縮小、導入品のライセンス契約変更などがある。季節要因としては、ハンカチーフは海外有名ブランドが主力のため毎期3月の新生活開始に伴うギフト需要が最大のマーケットとなり、スカーフ・マフラーは防寒商品のため秋・冬シーズンが需要期となる。百貨店や量販店の閉店・売場面積減少というリスク要因に対しては、新規販路(専門店、小売店、外資系量販店など)の開拓、直営小売・EC販売の拡大、百貨店以外でのイベント企画・運営などを推進している。
導入ブランドのライセンス契約については、ライセンス供給側に起きるM&Aや経営方針転換などが発生する可能性があるが、対策として消費トレンド変化を捉えた新規ブランド導入やS&Bを積極推進している。なお為替変動影響については、身の回り品事業の海外有名ブランドの仕入は総合商社などを経由した国内仕入が大半を占めているが、フレグランス事業の海外有名ブランドの仕入は直接輸入が大半を占めているため為替変動による影響を受ける可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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