SMK Research Memo(1):2025年3月期は、増収と営業損失縮小の一方で最終赤字を計上
SMKは2025年度(2025年3月期)に売上増加と営業損失の縮小を達成しましたが、最終的には1,884百万円の赤字を計上しました。この業績はCS事業による収益がけん引しましたが、特別損失が発生したため減益となりました。2026年度(2026年3月期)には営業利益の黒字化を見込んでおり、構造改革プログラムを通じた固定費削減による改善を計画しています。改革では、不採算製品の撤退とリソースの効率的利用を進めるとともに、センサー・センシングビジネスへの注力が掲げられています。また、2025年の記念配当を含む安定した株主還元を目標とし、2026年度には年間配当金を100.0円と予想しています。
SMK<6798>は、コネクタ/スイッチ/リモコン/カメラモジュールなどの様々な電子部品を世界で製造・販売する総合電子部品メーカーである。2025年4月で100周年を迎えた歴史ある企業であり、日本のものづくりを支える重要な役割を担っている。グローバルな厳しい競争環境下にある電子部品業界において、顧客企業とのパートナーシップに基づく高機能・カスタム製品を武器に勝ち残ってきた。日本・米国・欧州・中国・アジアの16地域に製造・販売の拠点を持ち、海外売上高比率66.1%(2025年3月期)である。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.3%増の48,051百万円、営業損失が220百万円(前期は1,243百万円の損失)、経常利益が同142.9%増の549百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は1,884百万円(同489百万円の利益)となり、増収とともに営業損失が縮小し黒字化に近づいた。売上高はCS事業が前期比1,570百万円増となり、全社の増収をけん引した。車載市場(カメラ関連、E-Bike関連)、家電市場(アミューズメント関連)、産機・その他市場(再生エネルギー関連)が好調だった。SCI事業部では、家電市場ではサニタリー用/エアコン用/スマート家電用リモコンが順調に拡大した。利益面では、売上総利益が前期比24.5%増となった一方で、販管費は同9.2%増と一定の伸びに抑えた。セグメント別では、CS事部が利益を伸ばしたのに対し、SCI事業部は前期から改善しているものの損失となった。メキシコ生産子会社の退職給付費用の計上も営業利益を押し下げた。経常利益は不動産収支などにより黒字を確保した。親会社株主に帰属する当期純損失は、特別損失(構造改革プログラムにおける国内人員数の最適化に伴う費用等)を計上したため大幅な減益となったが、一過性であり、構造改革時には必然と考えられる。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.3%減の46,000百万円、営業利益が500百万円(前期は220百万円の損失)と、各段階の利益で黒字化を達成する予想である。売上高の減収要因は、円ドル相場が前期実績152.65円/米ドルから145円/米ドルと約7円の円高予想としたこと、SCI事業で住設、車載関連ユニットが低調に推移する見込みであること、CS事業ではスマホ、タブレット関連が低調に推移する見込みであることなどが挙げられる。CS事業部の売上高は同2.7%減の21,565百万円、SCI事業部の売上高は同5.3%減の24,277百万円、イノベーションセンターは同37.1%減の158百万円といずれも減収を予想する。営業利益は、前期比で720百万円の増加となり営業黒字化を達成する予想である。内訳としては、構造改革プログラムによる固定費削減(490百万円の利益貢献)、変動比率減等(606百万円の利益貢献)が増益の主要因である。セグメント別では、CS事業部が、車載・情報通信市場で前期と同水準、家電・産機市場で前期を下回る予想となったことから前期比47.3%減の808百万円と大幅な減益を予想する。一方で、SCI事業部は、原価低減による損益改善、組織のスリム化により大幅に収益性を改善し、営業利益101百万円(前期は1,308百万円の損失)と黒字を確保する予想である。2025年3月の構造改革プログラム開始以来、希望退職などを含めたリストラが本格化し、既に一定の固定費削減効果が顕在化している。今後は、集中する事業領域での成長を早期に実現できるかが、2026年3月期の業績目標達成の鍵となると弊社では考えている。
3. 成長戦略・トピック
同社は、2024年5月に、次の100年のスタートを機に長期ビジョン及び中期経営計画「SMK Next100」を策定し、推進中である。一方で、CS事業は好調に推移しているものの低成長に留まり、SCI事業は顧客の在庫調整等の長期化もあり、イノベーションセンターでは新製品・新規ビジネス化が遅れ損失が継続している。この状況を改善すべく、これまでも様々な取り組みを行ってきたが、より抜本的な取り組みにより、構造改革を加速させることが必要と判断した。構造改革プログラムでは、各事業部の不採算製品の撤退・縮小を進め、採算性や効率性の高い分野へリソースを集中していくとともに、管理部門の規模適正化を進めることで売上・利益の成長軌道への回帰を加速度的に進める。事業の選択と集中においては、エレクトロニクス・電子部品分野の成長を踏まえ、より成長性の高いCS事業への資源投下を強化し、SCI事業について製品群を見直し、不採算分野の縮小を通じ、利益体質への転換を図るとともに、センサー・センシングビジネスを新たな柱として注力する。イノベーションセンターについては、ヘルスケア分野に注力しつつ、コスト管理を徹底しつつ早期の事業化を図る。人員のリストラ・最適化に関しては、当初の計画では、100人程度(全体の10%程度)の希望退職者を想定していたが、実施結果としては、118人の応募となった。希望退職者には割増退職金または転進支援金及び再就職支援にかかわる費用が発生するため、事業構造改革費用(特別損失)として853百万円が既に計上された。また、2026年3月期予想の中で、約5億円の固定費削減効果を織り込んでいる。
4. 株主還元策
中期経営計画期間中は、事業環境の変化に対応するための財務健全性の維持を前提に、株主資本配当率(DOE)2%程度を目途とした配当を目指している。2025年3月期は、配当金140.0円(前期比40.0円増配、中間期末50.0円配、期末90.0円配)となった。同社は2025年4月に創立100周年を迎えたため、40.0円の記念配当が追加された。株主資本配当率(DOE)では2.9%(記念配当を除くと2.1%)となる。2026年3月期は、配当金100.0円(中間期末50.0円配、期末50.0円配、記念配当分を除くと前期と同じ)を予想する。
■Key Points
・2025年3月期はCS事業がけん引し増収、収益性が改善。構造改革費用等、一過性の特別損失を計上
・2026年3月期は各利益で黒字化を予想。構造改革への取り組みを積極化
・2025年3月開始の構造改革プログラムにより、事業の選択と集中、徹底した固定費削減を推進中
・業績の変動時もDOE2%を目途に安定配当。2026年3月期は年間配当金100.0円を予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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SMK Research Memo(5):2025年3月期中間期はCS事業がけん引し、増収・営業利益で黒字転換
SMK Research Memo(6):2026年3月期は各利益で黒字化予想。構造改革への取り組みを積極化
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SMK Research Memo(6):2025年3月期は各利益予想を上方修正。足元の事業環境は良好
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