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不二製油:植物性油脂と業務用チョコレートが2大コア事業、国際競争力と成長ポテンシャルは高い


不二製油は、植物性油脂と業務用チョコレートの2つのコア事業で国際的な競争力を持ち、成長ポテンシャルを有するとされています。特にチョコレート用油脂であるCBEは、カカオ価格の高騰に対する代替素材として注目され、その競争力を支える要因となっています。同社の戦略は、CBEとコンパウンドチョコレートの収益性向上、米国子会社ブラマーの再建、欧州・中国市場での投資早期収益化が柱です。2025年3月期には米国でのカカオ価格急騰が原因で減益となりましたが、今後も新製品開発と収益性の改善に注力する方針です。2026年3月期からはIFRSを適用し、売上高と事業利益の大幅な増加を見込んでいます。配当性向は一時的に高くなったものの、次期からは通常水準に回帰する予定です。

*09:40JST 不二製油:植物性油脂と業務用チョコレートが2大コア事業、国際競争力と成長ポテンシャルは高い 不二製油<2607>は、1950年に伊藤忠商事<8001>の全額出資により設立された。現在、伊藤忠商事の持ち株比率は43.9%であり、東証プライム市場に上場している。「食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献する」をミッションに掲げ、植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の4事業を展開している。売上構成比は業務用チョコレートが5割、植物性油脂が3割、残る2割を乳化・発酵素材と大豆加工素材が占める。
同社の強みは、油脂とチョコレートという2つのコア事業を併せ持つ点にあり、社内で技術連携が可能な点にある。とくにチョコレート用油脂(CBE:カカオバター代替油脂)は、価格高騰が続くカカオの代替素材として注目されており、競争力の源泉となっている。
業務用チョコレート事業では、カカオバターを使用したピュアチョコレートと、CBEを用いたコンパウンドチョコレートを展開し、法規制や市場特性に応じた柔軟な製品対応が可能である。コンパウンドチョコレートは価格面・機能面でメリットがあり、高い競争力を有する。植物性油脂事業では、フライオイルとCBEを取り扱っており、売上の約8割をフライオイル、残る2割をCBEが占める。
また、同社はグローバルのCBE市場において、三大プレイヤーの一角を占めている。欧州系の他2社がシアバターを原料とする製品に特化するのに対し、同社はシアに加えてひまわり油も使用しており、価格の安定性や調達の確実性に優れる。加えて、日本およびアジア諸国ではCBEを用いた際の表示規制が緩やかなことも、同社の競争優位を支えている。

2025年3月期は、売上高が671,211百万円(前期比19.0%増)、営業利益は9,895百万円(同45.7%減)、当期純利益は2,230百万円(同65.8%減)となった。増収となった一方で、大幅な減益となった要因は、米国子会社ブラマーにおいて、カカオ価格の急騰により先物評価損などの損失が発生したことにある。合わせて、ブラマーの主要事業であったカカオを中間素材とする加工事業は利益率が低く、米国内4工場のうち1つを閉鎖するなど構造改革を進めている。すでに、カカオの取り扱い量を従来の約40〜50%まで削減し、今後は収益性の高いチョコレート製品へのシフトを図っていく方針である。
なお、2026年3月期からIFRSを適用するため、業績管理指標は営業利益から事業利益に変更となる。売上高は800,000百万円(前期比19.2%増)、事業利益29,500百万円(前期比126.9%増)、当期利益16,500百万円(同650.0%増)の増収増益を見込んでいる。CBEやコンパウンドチョコレートの需要は堅調であり、同社製品へのニーズは継続すると見られる。

2022〜2024年度の中期経営計画「Reborn 2024」では、営業利益235億円を目標としていて実績99億円と未達に終わったが、ブラマーの損失305億円がなければ達成できていた。また、2025年4月には社長交代および大規模な機構改革が行われたことから、2026年3月期から始まる新中期経営計画の発表が当初予定より遅れている。ただし、基本方針は前中計から大きく変更されない見込みである。
今後の方針としては、以下の3点が柱となる見込みである。第一に、CBEおよびコンパウンドチョコレートの収益性向上と販売拡大。第二に、ブラマー事業の再建を通じた収益構造の健全化。第三に、中国(乳化・発酵素材)および欧州(大豆機能剤)など、既に行った大型投資の早期収益化である。
さらに、「挑戦領域」としては、動物性代替油脂やカカオを使用しないチョコレート、豆乳由来の新製品など、外部環境の変化や顧客ニーズに応える新製品群の開発にも注力している。

株主還元については、安定配当を基本方針としており、配当性向は30~40%を目安としている。2025年3月期の年間配当は52円であったが、利益が大幅に減少したため、配当性向は200.4%に達した。2026年3月期についても年間52円を予定しているが、配当性向は27.1%と通常の水準に回帰する見通しである。なお、自己株式取得については、筆頭株主である伊藤忠商事が4割以上を保有していることも踏まえ、現時点では実施の予定はないとしている。

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