ヨコレイ Research Memo(2):冷蔵倉庫事業と食品販売事業の2つの柱で事業を展開(1)
ヨコレイは戦後1948年に横浜で創業し、安全な食品の安定供給に尽力してきた企業です。同社は冷蔵倉庫事業と食品販売事業の2つを基幹事業として展開しています。国内外に多数の冷蔵倉庫を有し、高度な冷蔵冷凍技術により、多様な食品を最適な温度で保管。食品販売ではグローバルに商品を調達し国内外に提供しています。特に冷蔵倉庫では、自然対流冷却方式など独自の技術を強みとし、物流サービスの包括的提供も行っています。また、ICTサービスを活用し、顧客に対するリアルタイム情報提供やデータバックアップを行い、効率的な業務支援をしています。今後も新拠点の設置を計画しており、収容能力の拡大に取り組む姿勢を示しています。
1. 会社概要
同社は戦後間もない1948年に横浜の地で創業した。「会社は社会の公器であり、利益は奉仕の尺度である」という経営理念に基づき、77年にわたって安全・安心な食品の安定供給に貢献してきた。創業以来、冷蔵倉庫事業と食品販売事業の2つの柱で事業を展開しており、横浜から始まった事業は日本全国、世界へと広がっている。冷蔵倉庫事業では国内に53拠点、タイに5拠点の冷蔵倉庫を構えており(2024年9月末時点)、業界トップクラスの収容能力と、自然対流による冷却方式をはじめとした高度な冷蔵技術、保管システムを強みとしている。冷蔵倉庫内の温度管理においては「熱」「水」「空気」「振動」「圧力」などの多岐にわたる要素を考慮し、それに対処する必要がある。同社は75年以上にわたって冷蔵倉庫を運営するなかで様々な試行錯誤を行い、非常に繊細な温度管理技術とノウハウを獲得してきた。この冷蔵冷凍技術を武器に顧客の様々なニーズに対応している。食品販売事業においても事業活動はグローバルに展開されており、東南アジア、南米、北欧など世界各地から高品質の食品を直接調達し、国内外に販売している。また、国内においては主要漁港に事業所を展開、買参権を有し、自社にて凍結生産を行っており、早くから事業を通じて持続可能な社会の実現への貢献にも注力してきた。2030年に向けたグループの長期的方向性である「ヨコレイサステナビリティビジョン2030」の下でSDGsへの対応を加速している。
2. 事業内容
「人」「もの」「地球」にやさしい食品流通のエキスパートとして同社は、冷蔵倉庫事業と食品販売事業を主たる業務とし、国内外への安全・安心な食品の安定供給に寄与している。多種多様な低温物流ニーズに高いレベルで応える冷蔵倉庫事業では、保管のみならず通関・配送など多岐にわたる物流プロセスにおいて、高品質なサービスを提供している。食品販売事業においては、国内外の商品ニーズに的確に対応できるネットワークを生かした調達力を強みとしている。
(1) 冷蔵倉庫事業
同社は港湾、高速インター付近、産地、消費地など、食品供給の要所に冷蔵倉庫を保有している。そして、高度な冷蔵技術とノウハウを駆使し、農産物、水産物、畜産物などの原料や冷凍食品など、多様な食品を最適な温度とオペレーションで保管している。冷蔵冷凍倉庫の総収容能力約112万トンと100万トンを超えている(国内53拠点、海外5拠点。2024年9月期末実績)。収容能力は業界トップクラスであり、同社によると冷蔵倉庫専業としてはトップの収容能力があるという。冷蔵倉庫に顧客が求める要件は多岐にわたるが、主に「商品の品質を損なわず、長期にわたり維持できる設備と技術」「多種・多量の商品を保管できる収容能力」「顧客ニーズに合わせた最適な物流サービス」の3つが挙げられる。こうしたニーズに応えながら、物流の要所に多くの冷蔵倉庫を保有することによって、収容能力を高めている。同社は新・中期経営計画の下で収容能力のさらなる拡大に取り組んでおり、新たな拠点として2025年3月にベンルック物流センター(ベトナム)、4月に十勝フードバレー物流センター(北海道)、岡山CONNECT物流センター(岡山)が竣工し、今後も収容能力を順次拡大する計画である。
a) 商品の品質を損なわず、長期にわたり維持できる設備と技術
同社は顧客から預かった食品を高い品質を維持したまま保管している。これを可能にしているのが、独自の冷蔵冷凍技術と保管システムだ。同社は「自然対流冷却方式」という冷却方式を大手で唯一採用している。これは天井を冷やし、自然対流を起こすことで倉庫全体を冷やす方式で、食品の一部分に冷風が当たることで発生する冷却ムラや冷凍焼けを防止する。さらに湿度や温度の変化を一定に保てるため品質保持にも最適で、水産品の保管において効果を発揮している。
また、同社社員が庫内オペレーションを行っている点も特長である。豊富な商品知識と冷凍ノウハウ・技術力を備えた自社社員が荷物管理を直接行うことで、顧客からの信頼を得ている。高品質を担保する貨物の取り扱い方法や配置などのノウハウは次世代の社員へと代々伝承している。2020年には、横浜みらいHRD(Human Resource Development)と横浜みらいサテライトという2つの人材育成施設が完成した。社員へのノウハウのさらなる伝承と社員オペレーションの高度化を目指す。
そのほか、低温式陽圧プラットフォーム、超低温冷蔵庫、多彩な温度帯のチルド庫、急速凍結庫をはじめとする高度な冷蔵冷凍技術を有しており、冷蔵、冷凍、低温、常温の4温度帯に対応可能である。また、庫内での迅速・正確な作業を可能にする電動式移動ラック(カーゴナビゲーションシステムと連動)、到着時間の事前予約を行えるトラック予約受付システムなどのシステムも備え、倉庫内作業の効率化も実現している。
b) 顧客ニーズに合わせた最適な物流サービス
冷蔵倉庫事業においては、顧客のニーズに合わせた最適な物流アウトソーシングサービス、最新の物流情報を迅速に提供するICTサービスも手掛けている。物流アウトソーシングサービスでは、通関から保管・配送までのプロセスにおいて、多様なサービスを提供している。これら多様なサービスを顧客のニーズに合わせて組み合わせることで、業務効率の改善と物流コストの削減に寄与している。加えて、高度なサービスとシステムの融合、経験豊富なスタッフにより、ジャスト・イン・タイムの物流を実現している。
通関サービスにおいては、世界各地からの食材の輸入や日本各地からの輸出を全国6拠点(東京通関部、横浜通関部、名古屋通関部、大阪通関部、神戸通関部、九州通関部)の重要拠点に設けた通関事業部門(税関から認定を受けた「AEO通関業者」)が迅速にサポートしており、税関申告、厚生労働省申請、動物検疫、植物検疫等に対応している。保管業務に関しては、同社が保有する国内の冷蔵倉庫での保管サービスを提供している。配送サービスに関しては、同社の提携先ネットワークを生かした配送網を構築し、顧客の輸送をサポートしている。
ICTサービスでは、顧客のニーズに対応した各種ICTサービスを提供している。同社ICTサービスの特徴はメインシステムの自社開発にあり、顧客の幅広いニーズにも柔軟に対応可能である。加えて、システムの堅牢性確保にも注力しており、BCP(事業継続計画)の観点からホストコンピューターのデータセンター化を行うとともにデータバックアップ機能を充実させている。ICTサービスではYIS(YOKOREI Information System:ワイズ)サービスとEDI(Electronic Data Interchange)サービスを提供している。YISを利用することで、顧客はインターネット経由で入出庫実績、通関状況、在庫情報をリアルタイムで確認できる。重量情報が直接基幹データベースにリアルタイムでアップデートされるため、不定貫貨物を取り扱っている顧客もタイムリーに重量把握が可能になる。加えて、顧客の利便性をさらに高めるためにメールによる不足分の自動通知、入出庫のオンライン予約など、順次サービスの拡充に努めている。EDIサービスでは、顧客のニーズに合わせて40数社とEDIで取引しており、送受信しているデータの種類は、入・出庫依頼データ、入・出庫実績データ、在庫報告データ、請求データなどである。また、顧客の希望に応じて、指定フォーマットの帳票や専用用紙の帳票の発行業務も行っている。現在稼働しているEDI手順は、JX、ebxML、FTP、SFTPの4種類である。同社では自社開発である強みを生かし、EDIサービスによって顧客の業務効率化を支援している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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