ヨコレイ Research Memo(3):冷蔵倉庫事業と食品販売事業の2つの柱で事業を展開(2)
横浜冷凍(ヨコレイ)は、冷蔵倉庫と食品販売をビジネスの柱とし、持続可能な物流システムの構築に取り組んでいます。同社は自然冷媒の導入と太陽光発電パネルの設置を推進し、温室効果ガス排出を34%削減しました。さらに、複合型マルチ物流サービスで効率化を進めています。食品販売事業では、国内外から高品質な食品を調達し、商社や外食産業に販売。海外展開も進め、2023年にベトナムで新たな拠点を設立しました。食品の安全性を確保し、トレーサビリティを重視しています。新計画「繋ぐ力」をもとに、収益性向上と販売拡大を目指しています。
c) 社会的ニーズに対応した冷蔵倉庫
同社は地球温暖化やエネルギー問題など持続可能な社会に対する関心が高まるなかで、早くから自然環境にやさしい物流システムの構築に注力してきた。具体的には、オゾン層破壊の原因となるフロン冷媒の段階的廃止と自然冷媒の導入、太陽光発電パネルの冷蔵倉庫への設置などが挙げられる。加えて、IT技術による入出庫の効率化、ペーパーレス化、トラック予約受付システムによる待機時間の削減などによっても環境負荷の軽減に取り組んでいる。これらの取り組みは着実に進んでおり、自然冷媒導入率は72.4%、太陽光発電量は11メガワットとなっている(2024年9月期末時点)。また、2015年と比べて収容能力当たりの温室効果ガス排出量は34%削減に成功している(2024年9月期末時点)。今後は、「ヨコレイサステナビリティビジョン2030」の下、さらなる環境負荷の軽減に取り組んでいく。
同社は、「複合型マルチ物流サービス」の提供にも注力することで、冷凍食品消費の増加、ドライバー不足、環境問題などの外部環境の変化に率先して対応している。複合型マルチ物流サービスとは、商品の保管・配送・仕分け・積み替えの複数機能を1つの物流センターに集約したものであり、従来、別々の物流拠点で行っていたオペレーションを1つの物流センターに集約することで、配送時の温室効果ガス排出抑制やトラックドライバー不足といった課題に対応している。今後は顧客のニーズや冷蔵倉庫の立地特性などを踏まえて、複合型マルチ物流サービスの対応が可能な倉庫を拡充する計画である。持続可能な社会の実現に貢献するために、事業活動を通じて排出する温室効果ガス抑制に対する関心が今後も高まるほか、2024年にはトラックドライバーの長時間労働規制が強化されたことで、効率的な配送方法の確立が課題となっている。これらの外部環境から同社の「複合型マルチ物流サービス」に対して底堅いニーズがあると弊社は見ている。
(2) 食品販売事業
同社事業のもう1つの柱となるのが食品販売事業だ。食品の産地・消費地に営業所を構え、国内・海外の多様な産地から高品質な食品を直接調達している。そして、これらの食品を商社、仲卸業者、食品メーカー、外食産業、流通チェーンなどの各事業者に販売しているほか、海外への輸出も積極的に行っている。経験豊富な営業担当者が世界の生産地・生産者を選定し、仕入・販売まで一貫して手掛けるビジネススタイルを確立している。同社の消費地型営業所は国内の主要都市に設置しており、量販、外食チェーンや仲卸業者のニーズに応え、加工製品や製品原料をタイムリーに提供している。産地型営業所は国内の漁港や農産地など水産物や農産物の産地に展開している。原料サプライヤーとして現地の担当者が自らの目で高品質な水産・畜産・農産品を見極め、調達を行っている。また産地に営業所を置くことによって、供給量などを適宜把握できるため、ある産地の供給量が少なくなりそうであればほかの産地から融通するなど柔軟な対応を行うことで、環境変化に強い供給体制の構築にもつながっている。これら国内並びに世界各国に張り巡らされた調達ネットワークを生かして、サーモン、サバ、アジ、イカ、トビコ、エビ、ポーク、チキンなど多岐にわたる食材を調達している。
同社は、海外展開にも注力してきた。1989年にTHAI YOKOREI CO.,LTD.を設立し、バンコクの営業所を東南アジア地域のハブとして稼働させたことを皮切りに、2009年には海外に広域ネットワークを持つ水産物専門商社からの営業譲渡(のちに(株)アライアンスシーフーズとして子会社化)、2020年には同社グループの(株)クローバートレーディングとアライアンスシーフーズの完全合併、2023年にはVIETNAM YOKOREI CO.,LTD.(現 連結子会社)の設立と海外強化のための基盤づくりを確実に進めてきた。さらに近年は、主要調達先である東南アジアや北欧をはじめ、北米、南米、オーストラリアにもネットワークを拡大しているほか、国際的に評価の高い日本の水産物の海外輸出にも注力している。
また、パートナー企業であるHofseth International AS(ホフセス)の養殖場において、ITを活用した徹底した生育環境の管理、厳選された飼料などによって、健康的で質の良い脂の乗ったサーモントラウトを育てている。特に同サーモンに対する顧客からの評価は高く、取扱量の拡大が続いている。
食品を扱ううえで重要となる食品の安全・安心の確保については、各営業担当者が原料の調達から同社拠点での輸入、輸出、保管、仕分け、凍結、販売までを一元管理することで、各プロセスにおける食品のトレーサビリティ(複数段階における食品の移動を把握すること)を確保し、高品質を維持している。
現在は、2024年9月期を初年度とする新・中期経営計画第II期「繋ぐ力」の下で、収益性の向上や同社の強みを生かせる事業品(ノルウェーサーモンなど)・全社取組商材(北海道産ホタテなど)の販売拡大、独自商品の開発などの重点施策に注力し、売上の拡大と収益性の向上を実現する計画だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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