ヨコレイ Research Memo(8):ヨコレイ事業ビジョン2030の経営方針具現化に向けた取り組み推進(2)
ヨコレイは「ヨコレイ事業ビジョン2030」の一環として、中長期の成長戦略と持続可能性の向上を目指しています。主力となる食品販売事業では、国内外の生産者とのネットワークを活かし、美味しさを顧客に届ける方針を掲げています。具体的な戦略として、DXを利用した営業・コスト管理の改善、輸入商材や自社商品を含む販路拡大、ASEAN市場を中心とした海外展開を強化し、2026年9月期までにセグメント売上1,140億円、利益25億円を目指します。また、ヨコレイは「ヨコレイサステナビリティビジョン2030」も策定しました。ESGの観点から、温室効果ガスの排出削減や女性管理職の増加に取り組み、企業としての持続可能性を強化しています。このビジョンは既に「FTSE Blossom Japan Index」に選定されるなど評価されており、今後もESG投資の拡大が期待されます。
(2) 食品販売事業
「国内外(グローバル)の生産者とのネットワークを生かし、目利き力により旬や美味しさを顧客へと届ける」という事業方針を策定している。具体的には、以下の4つの改革・成長パッケージを実行し、2026年9月期にセグメント売上高1,140億円、セグメント利益25億円を目指す。
a) 収益性向上のための構造改革
新・中期経営計画第I期「創る力」においても適正な在庫管理などをはじめとした収益性向上施策を進めてきた同社は、DXによるさらなる改革に注力する。全社の営業データを見える化し、データに基づいた効果的な営業戦略を推進するほか、徹底した在庫管理に加えて、データ分析を活用した最適なコストを実現し、利益の最大化を追求する。その他の施策としては、広域に活動する営業部隊である販売推進事業部を新たに設置し、組織横断型の販売活動の推進と未開拓地域の商圏開拓などに注力する。
b) 事業品・全社取組商材の販路拡大
同社が出資している海外パートナーの商材及び国内生産品である事業品、同社の強みである調達力を生かした一括仕入れ商材である全社取組商材の販売拡大に注力し、量販店を中心とした新規顧客の開拓や既存顧客との取引深耕による業績の拡大を図る。事業品とは、ノルウェーサーモン、自社凍結加工品(前浜商材)、エビ、ペルー水産品などのことであり、全社取組商材とは、大西洋サバ、うなぎ、北海道産ホタテ、十勝産農産品などのことである。
c) 独自商品と販売網の開発
メーカー機能の強化により、多種多様な消費者のニーズに応えられる満足度の高い商品開発を推進するほか、ECサイトと直販店の開設、海外への日本食販売の推進により、販売網を模索する。B2Cビジネスにより消費者のニーズを吸い上げて、適切に製品開発に反映させる方針であり、具体的には、レンジアップ商品、新鮮な刺し身、医療食などを開発する。また、各地の買参権を生かした高付加価値製品の開発により、収益性の向上も実現する。
d) 海外における販路拡大
ASEAN市場を中心にさらなる売上の拡大を図るほか、海外パートナーの販路を活用し、欧州や北米市場の新規開拓に取り組む。これらにより2026年9月期には、海外売上高比率15%以上、海外売上高170億円の達成を目指す。
これら冷蔵倉庫事業、食品販売事業の重点施策に加えて、事業の成長スピードを加速化させる経営基盤づくりとして、ESGの観点から制度と組織の充実化を図る。具体的には、TCFD提言に即した情報開示の充実、社員のエンゲージメント向上を目的とした健康経営の実践、持続的な事業成長を支える海外リスクの監視強化などに取り組む。また、資本コストを意識した経営にもさらに注力するべく、最低限の資本収益性としてROE5%以上という目標を設定している。事業の特性上、また現在進行中の中期経営計画での重点施策により、物流施設への投資を受けた減価償却費がかさんでいるが、物流施設への投資は2026年9月期以降落ち着く見通しであり、その後は先行投資の回収期間として収益性を高め、より効率的に利益に変える方針である。これにより、PBR(株価純資産倍率)も上昇していく想定だ。
3. 持続可能な社会の実現に向けて
同社は、「ヨコレイサステナビリティビジョン2030」を策定し、持続可能な社会の実現への貢献度をさらに高めていく方針である。
同ビジョンは「ヨコレイ事業ビジョン2030」とともに同社の長期的ビジョンを定めるものである。「明るい食の未来へ〜ヨコレイは食の安定供給により、持続可能な社会の実現に貢献します〜」というビジョンの下、同社が取り組むべきマテリアリティとそれぞれの定量的な目標を定めている。マテリアリティとして「地球環境との共生」「働きがいのある職場づくり」「より高い品質・サービスの提供」「地域社会とともに発展」「経営基盤の強化・健全性の確保」という5つを特定している。「地球環境との共生」においては、再生可能エネルギーの使用拡大や自然冷媒の導入促進などによって、2030年9月期に収容能力当たりの温室効果ガス排出量を2015年比40%削減、自然冷媒の導入率に関しては、85%以上を目指している。「働きがいのある職場づくり」に関しては、2030年9月期までに働きがいを実感している従業員の割合を80%以上に高め、女性管理職の人数を2020年9月期に比べて2倍以上にする計画だ。「地球環境との共生」に関しては、既述のとおり各指標が前進した。「働きがいがある職場づくり」に関しては、働きがいを実感している従業員の割合が68.1%(2024年9月に実施したアンケートによる)となっている。また、総合職の女性比率は8.3%(2024年9月時点)となっている。
これらの持続可能な社会の実現に向けた取り組みは外部からも評価されている。実際、2023年7月には、ESG対応に優れた日本企業のパフォーマンスを測定するために設計された指数である「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に選定されたほか、各セクターにおいて相対的にESGの対応に優れた企業で構成される「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」構成銘柄にも引き続き選定されている。ウクライナ情勢によって一時的に石炭回帰などの動きが見られるものの、長期的な視点で見れば持続可能な社会への移行という潮流に変化はないと弊社は推察する。そういった時代のなかでESG関連の投資資金の流入も期待される状況である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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