テックポイント Research Memo(2):車載カメラシステム向けが業績けん引、増収増益を達成
米国のテックポイント・インクは、2024年12月期において売上高約7.1億ドル(約111億円)で、昨年から7.6%増加し、営業利益も5.8%増の約1.9億ドルを記録しました。特に車載カメラシステム向け半導体が業績を牽引し、売上高も14.9%増加しました。一方、監視カメラシステム向けは売上が減少しましたが、監視カメラ市場の低迷を車載カメラが補う形で、総売上高における車載カメラシステムの比率が上昇しています。研究開発投資も過去最高を更新し、今後の成長を支える新製品開発が進行中です。特に中国市場におけるEVメーカーBYDなどとの取引拡大も好影響を与えています。これからも新規顧客の獲得により、さらなる成長が期待されています。
1. 2024年12月期業績の概要(米国基準)
2024年12月期業績(米国基準)は、売上高70,613千米ドル(11,169百万円:前期比7.6%増)、営業利益19,077千米ドル(3,017百万円:同5.8%増)、税引前当期純利益22,172千米ドル(3,507百万円:同10.1%増)、同社株主に帰属する当期純利益19,181千米ドル(3,034百万円:同7.7%増)となった。財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標(株式報酬費用控除前の当期純利益)は20,554千米ドル(3,251百万円:同7.2%増)だった。なお、同社は一時的な変動要素と非現金損益項目のなかで、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。2024年12月期第3四半期において見直した業績予想に対する達成率は、売上高は100.1%、営業利益は106.0%、税引前当期純利益は105.9%、同社株主に帰属する当期純利益は104.0%、Non-GAAPベースの当期純利益は103.8%といずれも予想を上回った。世界の半導体需要はAI関連を除く大半の市場セグメントで在庫調整が続き、PC、スマートフォン、自動車等製品向けの最終需要の回復は鈍い。同社半導体の主要セグメントである監視カメラシステム市場においても部品需要の回復は同様で、車載カメラシステム市場では、アフターマーケット品(消耗品や交換品)は堅調なものの、純正品の需要は低調な状況が継続している。そのようななかで、同社は両部門において、これまで培った実績や製品の信頼性を背景として堅調に受注を獲得し、業績を向上させた。車載カメラシステム市場向け半導体については、2023年12月期の受注案件が量産段階に移行して安定した出荷を始めたほか、2024年12月期においても複数の新規案件を受注したことで売上高は前期比14.9%増の51,908千米ドルとなった。監視カメラシステム市場向け半導体は、部品需要の回復が本格化しなかったことに加え、一部の低価格品が伸びたことで出荷は増加したものの、売上増加には至らず、前期比8.6%減の18,705千米ドルとなった。近年は監視カメラシステム市場向けの減収を好調な車載カメラシステム市場向けの増収でカバーする傾向が続いており、全体の売上高に占める車載カメラシステム市場向けの比率は2023年12月期の68.8%から2024年12月期には73.5%と4.7ポイント増加した。
利益面では、売上総利益率は53.8%(前期比1.1ポイント増)とほぼ前期並みであったが、2024年12月期は積極的に研究開発投資を進め、研究開発費は過去最高の8,452千米ドル(同17.7%増)となった。それでも営業利益率は27.0%(同0.5ポイント減)と前期並みを維持し、各段階利益は増益にて着地した。研究開発費については、2024年12月期初頭からの積極的な新製品試作の開発投資を前提に計画されたもので、開発に係る人件費を除き最大5,000千米ドルを見込んでいたが3,300千米ドルとなった。内訳はテープアウト及びデザイン費用、及びソフトウェア費用である。投下費用自体はやや計画の最大値からは抑えられた格好となったが、2025年12月期以降の成長エンジンとして期待される戦略商品の研究開発自体は順調に進捗している。
2. 監視カメラシステム
監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は18,705千米ドルと、前期比8.6%減(前期は20,476千米ドル)だった。監視カメラメーカーが多い中国本土において、メーカーの過剰在庫調整が続いたために追加生産の回復が遅れていることに加え、米ドル高を背景に東南アジア等の消費地で低価格帯の監視カメラが伸びたものの、売上回復には至らなかったことが要因である。低価格帯の監視カメラに使われる半導体等の部品も高性能品ではなく、粗利率もそれほど高くないことから売上伸長が利益率改善につながらなかったと考えられる。ただし売上高の減収率は前期比8.6%減(2023年12月期は21.5%減)と、こちらは改善に向かっている。
3. 車載カメラシステム
車載カメラシステム市場向け半導体の売上高は51,908千米ドルと、前期比14.9%増(前期は45,169千米ドル)だった。2023年12月期受注案件の量産化が続いていることや、2024年12月期における新規顧客開拓も堅調だったことから出荷数が伸び、増収を確保した。また、顧客の新モデル製品の採用が進んだことも出荷数の増加を後押しした。さらに2024年12月期の後半には中国の電気自動車大手BYD(比亜迪股フン有限公司)に続き、同国内大手自動車メーカー2社が同社純正品を採用し、徐々に量産が始まっている。BYDでの純正品採用という実績は中国市場でも注目されており、その流れを受けて採用が決まったようである。実績の積み上げは、拡大が進む同国のEV市場において、同社製品採用の追い風になると考えられる。車載カメラシステム市場の低調はしばらく続く見込みだが、このような新モデルの継続的な市場投入や、新規顧客の積極的な獲得により受注を増加させて量産化につなげることで、業績の向上に期待する。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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