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ADワークスグループ Research Memo(7):ROEの改善とPER向上に向けた施策を打ち出す(2)


ADワークスグループは、ROEの改善を目指し、ノンアセット事業を含む新規事業の立ち上げに注力しています。2025年から開始予定の新規事業は、不動産クラウドファンディング、区分オフィス販売、そして蓄電所開発の3つです。不動産クラウドファンディングでは、資産計上せずROEを高めることを目指し、自社プラットフォームを開設予定。区分オフィス販売では、少数の競合が存在するこの市場へ、既存の不動産ネットワークを活用して参入します。蓄電所開発事業は、国策に伴う需要を背景に、JEPXでの売電を通じて収益を得ることを計画しています。これらの事業は、非伝統的な不動産分野での拡張を模索し、企業の多角化と財務指標の向上を狙っています。これに伴い、ROEとPERの向上を図ります。

*16:37JST ADワークスグループ Research Memo(7):ROEの改善とPER向上に向けた施策を打ち出す(2) ■今後の成長見通し

(3) ノンアセット事業を含む新規事業の立ち上げ
ADワークスグループ<2982>はノンアセット事業を含む複数の新規事業を育成することによって事業ポートフォリオを拡充し、2027年度以降のROE向上につなげる考えだ。新規事業については、社内で検討された50件以上の候補の中から検証を重ね、以下の3つの事業に絞り込み、2025年から開始する予定としている。

a) 不動産クラウドファンディング事業
収益不動産再生事業の強みである仕入力やバリューアップ力、商品化力を生かして、不動産小口化事業と同じく不動産特定共同事業法に基づく商品として、不動産クラウドファンディングを通じて投資家に販売するノンアセットビジネスによる収益増を目指す。収益不動産物件については同社の資産に計上されないため、同事業が成長すればROEの上昇につながる。クラウドファンディングを行うプラットフォームも自社で開設する。2025年半ばころには1棟を手始めに募集開始する予定だ。ノンアセット化については監査法人との協議が必要となるが、売上高としては管理報酬や成功報酬、手数料等を計上することになりそうだ。

b) 区分オフィス販売事業
区分オフィス販売事業とは、オフィスビルをフロアごとに分譲販売するビジネスとなる。小規模のビルを1棟購入するよりも、同額の投資予算で好立地の中規模ビルを1フロア購入するほうが高い投資利回りを得られるケースも多く、不動産投資商品として市場を確立している。事業法人が主たる顧客となり、1件当たり数億円以上の販売価格となる。区分オフィス販売については、商品開発にあたって管理組合を組成し、各種規程を整備する必要があるなど手間がかかることも多いため、現在は未上場の(株)ボルテックス※の寡占状態となっているようだ。

※ 区分オフィス販売事業を主力事業として、2024年3月期の売上高は819億円、経常利益は86億円となっている。

同社では区分オフィス販売市場の参入企業がまだ少ないこと、主戦場となる都心部のオフィス賃貸需要が回復傾向にあること、販売ネットワークとして不動産小口化事業で構築したネットワークを活用できることなどから、今回新規参入を決定した。運営ノウハウなど確立できればオフィスビルの仕入実績もあることから、高い利益率を得られる事業として成長する可能性は十分にあると弊社では見ている。

c) 蓄電所開発事業
蓄電所開発事業とは、系統用蓄電所※を開発し、蓄電した電力を電力市場(JEPX)で売電することで収益を得る事業となる。太陽光発電所の増加や電力需要の増大等により、定置式蓄電システムの導入拡大を国策として推進しており、ESG投資事業であり安定収益も見込めることから参入を決定した。従来の不動産ビジネスとは領域が異なるものの、最適な用地確保に向けては、従来の豊富な不動産取引実績が生かせると考えている。

※ 電力ネットワーク(発電所や送電線、変電所、配電設備等の電力系統)や太陽光発電等の再生可能エネルギー発電所などに直接接続され、充電した電気を家庭や工場などに送電可能な蓄電池システムのこと。

蓄電所の規模としては、一般家庭用として利用できる中規模以下の蓄電所を開発することにしており、2025年春頃に用地購入と工事契約を行う予定だ。今後も太陽光発電所の増加に伴って、発電した電力を貯める蓄電所の需要は拡大する見込みで、事業リスクは低いと弊社では見ている。同社では、将来的に蓄電所の販売ビジネスを行うことも視野に入れているようで今後の動向が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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