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エブレン Research Memo(4):2027年3月期に売上高51億円、経常利益8億円を目標に掲げる


エブレンは2027年3月期に売上高51億円、経常利益8億円を目指す成長戦略を発表しました。成長を維持するため、「コア事業の強化」、「受託範囲の拡大」、「ボードコンピュータ事業の強化」、「中国子会社の戦略的活用」という4つの柱を立てています。顧客の多様なニーズに応えつつ、ノウハウを蓄積し、市場競争力を高める方針です。特にボードコンピュータ事業では、エッジコンピューティングやIoT関連の開発に重点を置いています。また、株主還元としては、上場以来毎年22%増配を続けており、今後も安定した増配を計画しています。

*14:04JST エブレン Research Memo(4):2027年3月期に売上高51億円、経常利益8億円を目標に掲げる ■成長戦略

エブレン<6599>は半導体の成長・拡大とともに社業を発展させているが、過去には通信関係が稼ぎ頭だった時代もあるなど、時代ごとの波に乗って発展してきた経緯がある。今後も時流をうまく捉えて成長を目指す考えだが、企業価値の拡大を目指すために「コア事業の強化」「受託範囲の拡大」「ボードコンピュータ事業強化」「中国子会社の戦略的活用」の、4つの戦略を掲げている。

これらを着実に実行することで、年平均成長率10~15%を目標として成長路線を堅持する考えだ。具体的な数値目標として、2027年3月期に売上高51億円、経常利益8億円を掲げている。

(1) 「コア事業の強化」
顧客メーカーの要求仕様に基づく受託設計・受託生産・長期的安定供給のビジネスモデルをさらに拡大する。これまで大手メーカーは設計・部材調達・生産などすべてのプロセスを自社で完結していたが、今後は「選択と集中」が進み、ノウハウのある専業メーカーとの協業が進みそうだ。そうしたなかで、同社は専業メーカーとしての優位性(短納期・低コスト・高品質)を生かし、顧客メーカーとの協業を通じてノウハウや設計資産を蓄積し、市場優位性の増大を目指す。

(2) 「受託範囲の拡大」
同社の顧客メーカーは、部品をバラバラで調達する事を止め、そのまま使えるユニット(完成体)で調達を希望する傾向がある。そこで同社は、受託範囲がより完成品に近い形となるよう供給体制を整備・拡充し、顧客の多様なニーズに応える態勢を整える考えである。こうして受託範囲を拡げることで、収益伸長を見込む。

(3) 「ボードコンピュータ事業強化」
4つ掲げる戦略のうち、同社が最も注力する戦略である。技術革新で小型化・低消費電力化が進み、エッジコンピューティングやIoT等の小型ワンボードコンピュータを使用して実現するFAシステム、DX(Digital Transformation)関連のシステム開発に注力する。パートナーシップを含む技術部門の増強を図り、製品開発力の向上を目指す考えだ。以下に、現在進行中の開発案件を列挙する。

・高電圧・大容量直流遮断器(洋上風力発電向送電用途)
・半導体検査用制御装置(マイクロプローバー用途)
・次世代ワイヤーボンダーコントローラー(システム制御)
・フィールドバス対応ロードセルアンプ(プラントシステム用途)
・高速モーションコントローラー(半導体製造装置用途)
・AI画像処理システム(監視カメラ用途、FAカメラ用途等)
・ショットピーニング用AEセンサーモジュール(FA用途)
・半導体製造装置用制御部(露光装置用途)
・除振装置用コントローラー(精密機械用途)

(4) 「中国子会社の戦略的活用」
中国では子会社の蘇州エブレンを展開しているが、中国・台湾を中心とした技術力と価格競争力のある現地の部材調達先の開拓を推進する。現地企業及び日系の進出企業へ、現地生産によるコスト競争力のある製品を提供する考えである。現地企業とのビジネスも、既に医療系企業などで実績を上げている。



■株主還元策
2025年3月期は記念配を含む前期を上回る配当金を予定
同社は2020年の上場以来、毎年22%の増配を継続してきた。2023年10月22日に創立満50年を迎えたことで、2024年3月期は記念配当として5.0円上乗せ配当を実施し、2024年3月期の1株当たり配当金は38.0円、配当性向は17.3%となった。2025年3月期は40.0円配、配当性向は17.2%を予定している。今後も安定した増配を継続する方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)

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