タムロン Research Memo(6):2025年12月期は下期偏重となるも増収増益が続く見通し
タムロンは2025年12月期に増収増益を見込んでいます。レンズ交換式カメラと高付加価値品の好調な推移、監視カメラ市場の堅調な成長、ADAS普及による車載カメラ市場の2ケタ成長が原因です。売上高は9,200億円、営業利益2,000億円を目指しています。写真関連事業では自社ブランド製品の比率と新製品の売上比率が上昇し、利益率改善に寄与します。監視&FA関連事業では、監視カメラ用レンズの需要増加と新機種の投入が予想されますが、円高影響や開発費増が減益要因となります。モビリティ&ヘルスケア事業では、車載カメラ用レンズの成長が期待されますが、コストダウン要請などが利益を圧迫する見通しです。中間期は減収減益となるが、下期には業績の回復が期待されています。
1. 2025年12月期の業績見通し
2025年12月期における市場環境について同社は、主要市場であるレンズ交換式カメラ・交換レンズ市場については数量で横ばいとなるものの、高付加価値品が堅調に推移することで金額ベースでは1ケタ台の増加を見込んでいる。また、監視カメラ市場は底堅いセキュリティ需要に支えられ安定成長が継続、車載カメラ市場はADASの普及拡大により2ケタ成長が続くとの認識だ。こうしたなか、連結業績は円高前提でありながら売上高で前期比4.0%増の92,000百万円、営業利益で同4.2%増の20,000百万円、経常利益で同3.6%増の20,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同1.9%増の14,800百万円と増収増益で計画している。
売上高は写真関連事業を中心にすべての事業セグメントで増収を計画しているが、営業利益は写真関連事業が連続増益となる一方で、監視&FA関連事業とモビリティ&ヘルスケア、その他事業は減益計画となっている。新規分野への研究開発費増や為替レートを円高で想定していることなどが要因だ。営業利益率はベトナム第2工場稼働に伴う立ち上げ負担や原材料費の上昇、研究開発費の増加等があるものの、プロダクトミックスの改善や増収効果等で吸収し、前期比横ばいの21.7%となる見通し。
2025年12月期の為替前提レートはUSDで145円、EURで155円としており、それぞれ前期から約6円、約9円の円高を想定しており、円高による連結業績への影響額を売上高で約32億円、営業利益で約9億円織り込んでいる※。ただ、直近の為替レート(2月18日時点、152円/USD、158円/EUR)は前提よりも円安で推移しており、為替レートが今後も同水準で推移すれば業績の上振れ要因となる。
※ 為替レート1円の変動(円高)による影響額は、USDで売上高4.0億円、営業利益0.7億円、EURで売上高0.6億円、営業利益0.5億円のマイナス要因となる。
なお、中間期業績については売上高で前年同期比8.1%減の41,200百万円、営業利益で同22.5%減の8,400百万円と減収減益で計画している。これは写真関連事業において前年同期に急増したOEM製品の反動減を見込んでいることや、監視&FA関連事業及びモビリティ&ヘルスケア、その他事業においても開発費の増加や円高影響等により減収減益で見込んでいるためだ。また、2025年1月に稼働を開始したベトナム第2工場の立ち上げ負担増や、関税リスクの高まりなど外部環境の不透明感が強まっていることもあり、中間期は控え目な計画になっているものと思われる。ただ、下期にはすべての事業セグメントで売上高、営業利益ともに上向き、前年同期比では2桁以上の増収増益に転じる計画となっている。
(1) 写真関連事業
写真関連事業の売上高は前期比4.0%増の67,400百万円、営業利益は同9.3%増の19,800百万円を計画しており、営業利益率も前期の27.9%から29.4%とさらに上昇する見通し。売上高の内訳は、自社ブランド品が同6.8%増の384億円、OEMが同0.4%増の290億円と横ばいで見込んでいる。数量ベースでは自社ブランド品が同8.5%増の51万台、OEMが同1.9%減の90万台となっており、自社ブランド品の単価が若干低下するが、円高や発売機種の構成変化によるものと見られる。
自社ブランド品の新製品投入計画は、6機種を予定しており、2024年に発売した7機種と合わせた新製品の売上比率は前期の20%から25%に上昇する見込みだ。原材料コストがここ数年、上昇傾向にあるが、新製品の販売価格は原材料コスト上昇分を考慮して設定されているため、新製品売上比率の上昇は利益率の改善要因となる。また、自社ブランド品比率(金額ベース)が前期の55%から57%に上昇することも利益率の上昇要因となる。
地域別売上高(現地通貨ベース)見通しは、欧米で前期比10%増、中国及び他アジアで同5%増、日本で同10%増となっており、低迷していた欧米市場で巻き返しを狙っている。欧米市場では従来、販売流通ルートがカメラ専門店比率の高かったことでも苦戦していたと同社では見ており、販売施策として大手家電量販店での取り扱い拡大や、デジタルマーケティングの強化によるオンライン販売の拡大に取り組む。欧米でのオンライン販売比率は現在50%程度と年々上昇しているものの、中国では70%を超えており開拓余地は大きいと見ている。また、OEMの売上計画については、顧客先の販売施策次第ということもあり、期初段階では保守的に計画を立てる傾向にある。
(2) 監視&FA関連事業
監視&FA関連事業の売上高は前期比2.3%増の12,600百万円、営業利益は同10.6%減の1,400百万円を計画している。売上高は監視カメラ用レンズやカメラモジュールの伸張によりTV会議用レンズの減収分をカバーして増収を維持するが、利益面では円高影響や新規分野での開発費増が減益要因となる。ただ、営業利益率は11.1%と2ケタ台を維持する見通しだ。
売上計画の内訳を見ると、監視カメラ用レンズは顧客先の在庫調整が一巡したことにより、市場成長並みの需要増加が見込まれ、前期比7.7%増の68億円を見込んでいる。同様にカメラモジュールについても2023年12月期に投入した新機種の販売好調が続いているほか、2024年12月期第3四半期に投入した高精細4Kカメラモジュールが通年でフル寄与することにより、同20.8%増の29億円と高成長が続く見通し。一方、FA/マシンビジョン用レンズについては同0.5%減の24億円と横ばい水準を、TV会議用レンズは市場低迷により同57.8%減の5億円に減少する見込みとなっている。
(3) モビリティ&ヘルスケア、その他事業
モビリティ&ヘルスケア、その他事業の売上高は前期比6.0%増の12,000百万円、営業利益は同23.3%減の1,900百万円を計画している。売上高は引き続き車載カメラ用レンズがけん引するが、客先からのコストダウン要請対応や為替影響、医療分野の育成並びに新規分野の要素技術開発強化にかかる費用増が減益要因となる。
売上高の内訳は、車載カメラ用レンズが前期比11.3%増の106億円と2ケタ成長を持続し、100億円事業となるほか、医療用レンズで同4.4%増の7億円となる見通し。一方、DSC/VC、ドローンなどその他レンズはDSC/VCの市場縮小により、同38.0%減の7億円を見込む。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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