クリーク・アンド・リバー社---3Q増収も、大手ゲームパブリッシャーの案件縮小や人材紹介サービスの成約長期化
クリーク・アンド・リバー社は、第3四半期に売上高381.02億円を記録し、前年同期比0.7%増加しましたが、営業利益は14.2%減少しました。クリエイティブ分野では、日本では売上が僅かに増加したものの、韓国では減少。映像、Web、出版分野での着実な業務展開が続く一方で、人材紹介サービスの成約が長期化しています。医療分野や会計・法曹分野では、多様なサービス展開が行われ、特に医療分野ではオンラインとリアルのハイブリッドイベントが成功しています。ゲームやAI/DX分野では、新技術やIPを活用した新たな展開が進行中です。全体としては、業績回復の兆しが見えつつも、通期業績見通しは下方修正され、配当金も減額されることになりました。
クリエイティブ分野(日本)の売上高は前年同期比0.5%増の263.04億円、セグメント利益(営業利益)は同18.0%減の18.54億円となった。映像・TV・映像技術関連分野では、エージェンシー事業は引き続き順調に推移している。プロデュース事業は、特番の受託が増加している。また、NHK出身者により設立されたウイングは、民放各局やプロダクションへの新規開拓が進み、業容を拡大している。一方で、TV番組の企画・制作を行うシオンは、同社との連携の強化及び新規開拓に取り組んでいる。動画配信サービスの取り組みに関しては、YouTubeクリエイターをサポートするMCNを運用している「The Online Creators(OC)」のサポートチャンネル数は600チャンネル(2024年11月時点)となり、VTuber事務所を中心に伸長している。ゲーム分野においては、同社及びクレイテックワークスにおいて、開発スタジオでの制作受託や、アニメやゲームのIP(知的財産)を活用した自社開発を推進している。前期後半より業界全体の景気鈍化による影響を受けていたが、徐々に新規受託が増え、緩やかな回復基調にある。XR(VR/AR/MR)の取り組みに関しては、新たな取り組みとして、自身でゲームコンテンツが作成できる「Roblox」の活用にも注力し、サービス化を進めている。Web分野においては、企業や官公庁のWeb開発やプロモーション案件の受託が伸長している。出版分野は、電子書籍取次が堅調に推移している他、スポンサー広告運用事業が順調に拡大している。また、「漫画LABO」は、累計320タイトル(2024年11月時点)を配信している。建築分野は、プロデュース事業において、観光施設設計に関する受託が増加している。AI/DX分野では、企業のDXに関する課題に対して業務支援を行う「C&R AI/DXスタジオ」を開設し、中小企業を対象とした無料のAI/DX相談窓口「DXの森」などを提供している。
クリエイティブ分野(韓国)の売上高は同14.9%減の23.26億円、セグメント損失(営業損失)は0.09億円(前年同期は0.25億円の損失)となった。韓国TV各局の業績不振により、派遣稼働者数は一進一退の状況が続いている。業績回復を目指し新規開拓や事業の再構築を進めている。出版分野では、同社との連携を高め、映像分野以外への進出やライツマネジメント事業を強化するなど収益の多様化に取り組んでいる。コンテンツ事業では、デジタルコミックWEBTOONや動画を独自に開発し好調に推移している。
医療分野の売上高は同2.0%減の43.72億円、セグメント利益(営業利益)は同10.9%減の11.38億円となった。メディカル・プリンシプル社は、医師の紹介事業や研修医・医学生を対象に全国各地で開催する研修病院合同説明会「レジナビFair」とオンライン開催の「レジナビFairオンライン」、臨床研修情報サイト「レジナビ」、若手医師向け情報収集サイト「民間医局コネクト」などのサービスを展開している。主軸の医師の紹介事業は、全国16拠点を通じて医療機関、自治体、企業への医師紹介を行う他、スポット及び定期非常勤医師のマッチングシステム「民間医局ポータル」の提供により業務の効率化を実現している。「レジナビFair」は、大規模会場でのリアル開催とオンライン開催のハイブリッド開催が定着し、順調に推移している。
会計・法曹分野の売上高は同1.7%減の18.55億円、セグメント利益(営業利益)は同17.2%減の1.00億円となった。自社主催セミナーに加え、クライアント企業・事務所との共同セミナーの積極的な開催、各種関連団体との関係強化、自社コンテンツのブランド強化などを通じて、業界内における認知度向上をはかり、エージェンシー事業のさらなる拡大に努めている。また、会計事務所・法律事務所やその顧問先の事業承継ニーズに対応する「事業承継・M&A支援サービス」を展開している他、在宅で活躍する経理・法務人材の紹介事業を行うなどサービスの拡充をはかっている。さらに法曹分野では、ビジネスローヤーのブランディングと営業を支援する「Business Lawyer's Marketing Service」など、業容拡大につながる施策を展開している。派遣事業が順調に拡大する一方で、人材紹介サービスの成約長期化による影響を受けていたが、足元の成約実績は回復基調にある。
その他の事業の売上高は同26.3%増の32.43億円、セグメント損失(営業損失)は0.85億円(同1.52億円の損失)となった。
2025年2月期通期については、同日、連結業績予想の修正を発表した。売上高が前期比1.4%増(前回予想比8.2%減)の505.00億円、営業利益が同6.2%減(同19.8%減)の38.50億円、経常利益が同5.7%減(同18.8%減)の39.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同5.9%減(同19.4%減)の25.00億円としている。また、通期連結業績予想の修正に伴い、期末配当金について、直近の1株当たり43.00円から41.00円とすることを発表した。
<NH>
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